異世界ユーチューバーを撃滅する神たち

ちびまるフォイ

ユーチューバーを撃滅するハウツー

「見てください。ここにいるのはハイエルフさんです。

 この人のおっぱいをツンツンしちゃいます。ツンツン、ほら、ツンツン」


「えーー、今日は王様から呼び出されたということで、

 全力でスルーしてみたいと思います。ギャハハハハ」


「はい! 見てください! この奴隷の数! これ実はね奴隷市場で買い占めたんです!

 今日はこれを全部お風呂に入れたいと思います! 奴隷風呂!!」


目に余る異世界ユーチューバ―の行動の数々。

なまじ転生時に強い能力を与えたことで誰も逆らえない環境になり、

ユーチューバ―はますますつけあがっていた。


そんな異世界ユーチューバ―を撃滅するために、4神がついに召喚された。


「ああーー! ムカつくぜ!! 何もかも最低最悪だ!! 許せねぇ!!」


怒りの神:ムカエル。


「int num x="0" printf="イエス、ユルセナイ"」


電子の神:ネトエル。


「見えます……私の目からはユーチューバ―が撃滅される未来が見えます」


視力の神:ヨクミエル。


「はわわ~。本当にうまくいくでしょうか~~……」


なんかの神:バカエル。


異世界を統べる4神が力を合わせてユーチューバ―を撃滅する作戦を考えた。


「んなもん簡単だァ!! ユーチューバ―をぶっ殺せばいい!!!」


「printf="ソウカンタンジャナイ"」


「たしかにそう見えるわねぇ、すでに神の力以上に強力になってるし……」


「はうぅ、もっと平和的に解決しましょうよぅ」


「もとはと言えば、テメェが間違えて超強い能力与えたからだろうがよォ!!」


「ひゃぅ! ご、ごめんなさいぃ~」


「ま、だが相手は所詮人間だろう? 俺っちにまかせておきなァ!!」


「printf="ドウスルノ"」


「俺っちを誰だと思ってやがる? 怒りの神だぜ?」


ムカエルはひとりで乗り出すと、怒りを操り始めた。

ユーチューバ―の動画を見た人は内容と無関係に怒り始める。



「炎上だァ!! 批判に非難! すべての怒りをぶつけてやる!! 

 ユーチューバ―の投稿意欲も燃え尽きさせてやるぜェ!!」


ムカエルのはたらきかけによって動画は見事に大炎上。

動物の赤ちゃん動画を投稿しても晒しあげられるほどになった。


結果、ユーチューバ―はますます調子に乗った。


「ああ!? どうなってやがる!! 全然投稿減ってねぇ!!」


「printf="トウゼンデショ"」


「よく見てください。炎上させたことがかえって知名度を上げています」


「はわわ~逆効果じゃないですかぁ~~」


「printf="ミテラレナイ。ワタシニマカセテ"」


今度は電子の神、ネトエルが力を使った。


「printf="コンポンヲツブセバイイ。サイショカラカンタンナコト"」


「あのぅ、具体的には何をするんですか?」


「printf="アイツカラトウコウヲウバウ"」


ネトエルは自身の力を使ってユーチューバ―の投稿していたサイトを根こそぎつぶし、

アカウントも完全凍結させた。


「見えます……! ユーチューバ―は青ざめて焦っているのが見えます……」


「すごいですぅ! ネトエルさん!」


「printf="グッジョブ"」


しかし、その状態がもったのもせいぜい数日だった。


「ネトエルさん! またユーチューバ―が動画をあげてます!」


「404 not found. 404 not found」


「ネトエルさん、しっかりしてください~~」


「見えます。どうやら別のアカウントや個人のサイトを使っているようです……」


サイトをつぶし、アカウントを撃滅したとしてもトカゲのしっぽ切り。

ユーチューバーはまた別のアカウントを作ったり、別の投稿サイトを使って投稿。


「見えます……今度は私の番ですね……!」


「ヨクミエルさん、お願いしますぅ~~」


「これまでで見えたこと、それはユーチューバーひとりを撃滅すれば

 終わりというものではありません。

 格言にもあるようにユーチューバー1人いたら、50人はいると思え、と」


「はわわ~聞いたことないですぅ~~」


「とにかく、大事なのはユーチューバーから興味を失わせること。

 炎上ではなく凍結でもなく、嫌悪感だと私には見えます」


ヨクミエルは力を使って投稿する動画に細工をほどこした。


「ヨクミエルさん、なにをしたんですか~」


「ユーチューバーからはわからないけれど、

 視聴者からはどんな動画もゲロ吐いている動画に見えるようになったわ」


「はわわっ、それは嫌です~~」


「これでフォロワーも離れてユーチューバーは孤立するのが見えます……。

 しだいに忘れ去られたユーチューバーは投稿もしなくなるでしょう」


「すごいですぅ、ヨクミエルさん!」


ヨクミエルの力はたしかに作用していたもののユーチューバーは相変わらず投稿していた。



「どうして!? 見えない、まったく原因が見えない!

 ゲロ動画なんて見ているだけで不快でしょうに!」


「はわわ~みんな、内容をちゃんと見てはいなんでしょうか~~」


「はっ……! まさかそれかも……」


ヨクミエルは視聴者の動向を観察した。

バカエルの言った通りだった。


「なんてこと……視聴者はこのユーチューバーの投稿なら

 何も考えずに高評価ボタンを押しているのが見える……。

 動画はもちろん、動画の説明文もタイトルも見てないなんて……」


「はわわっ、どうしましょう~」


「もう無理なのが見えます……。

 今なら天井を映しているだけの動画でも高評価つけられる……。

 それでユーチューバーはまた調子に乗って投稿をつづけるわ……」


「あ、あのっ! 今度は私ががんばりますぅ!」


バカエルは一念発起して立ち上がった。


「マジむかつくぜ。お前にどんな能力があるんだよォ」

「printf="バカエルハドジノカミ"」

「見えます……。あまり意味のない未来が見えます……」


他の4神からの評価はさんざんだった。

ドジをつかさどるバカエルへ誰も期待などしていなかった。


 ・

 ・

 ・


それから数日。

異世界ユーチューバーが見事に撃滅された。


「printf="マジビックリプンプンマル"」


「すげェ!! ユーチューバーが投稿を止めたじゃねぇかァ!」


「見えない……。バカエル、あなたはいったいどんな特殊能力を使ったの?

 まさか、全人類を洗脳したとか?」


「はわわっ、そんなことできないですよぅ~~」


バカエルはあわてて首を振った。


「だったら何をしたんだァ? ドジの神のお前にできることって限られてるだろォ」


「はい。なので……」


バカエルは自分の力で切り替えたサイトデザインを4神に見せた。





「高評価と低評価のボタンの位置をすり替えました。私にできのはこれくらいで……」



何も考えずに押していた視聴者は大量の低評価をユーチューバーに送りつけていた。

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