第4話 微熱
目が覚めたら、白い天井が見えた。
微かな消毒液の匂い。遠くで聞こえる人の声。
私は保健室で目が覚めた。
「あら、やっと目覚めたのね」
声が聞こえた方を見ると、白衣を着た女の人がこちらを見ていた。
「二年五組の柊 茜さんね?頭は痛くない? 」
「あ、えっと…ここは保健室…? 」
保健の先生 西原 ののかはコーヒーカップを机に置くと、コッコッと言う靴の音と共に近づいてくる。
「そう、保健室。多分貧血だと思うけど、通学の最中に気を失ったのわかる? 」
「えっ、気を失う?私が?」
「やっぱり、何も覚えてないのね。同じクラスの男の子が血相変えておぶって運んできたときはビックリしたわ」
西原は、私の額に手の平を当てて熱を測っている様だった。
「大丈夫だと思うけど、三十分ほどそのまま寝てなさい。どうせ三十分したらお昼休みだし」
「お昼休み? 」
壁の時計に眼をやると、時刻は十一時半を少し過ぎたところであった。
「さあ横になって」
西原に促されて再びベットに横になった。
「念のために熱を測ってね」
西原に体温計を手渡された。
「あの、先生」
「なあに」
「私を運んだ男の子って、一ノ瀬君ですか? 」
西原は少し思案していた。
「そう言えば名前聞くの忘れてたわ。あなたをベットに寝かせたあと暫く側に立っていたけど、授業開始のチャイムが鳴ったら、あなたを私に任せて出て行ってしまったわね」
「そ…そうですか」
私は、体温計を脇に当てた。頬が熱くなる。
「あの子、あなたの彼氏かしら? 」
西原が唐突に聞いて来た。
「えっ、なっ…なっ、何でそうなるんですか!! 」
慌てて飛び起き西原に訴える。西原はニヤニヤ笑みを浮かべていた。
「ただの幼馴染です!!」
「ふーん。そう言うことにしておくわ」
西原から意地悪くからかわれている様だった。私が西原に言い返そうとした時に、体温計がピピピと鳴った。
西原は私から体温計を取り上げ測定値を見る。
「おかしいわね、36.9度。微熱があるわ。何故かしらね?フフッ」
私は頬どころか体全体が熱くなるのを感じていた。
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