第13話 白咲檬架の誕生日2

誕生日が特別な日になったのは、嘉がいたからだと思う。小さい頃から兄弟みたいにずっと一緒にいて、絶対1番に「おめでとう」って言うのは嘉だった。

朝、隣同士の部屋からおはようより先に言う嘉の顔を毎年見てきた。けど今年は違う。高校卒業を機に家を出た俺は、事務所から近いマンションを借りた。2LDK。頑張らないといけない。一人じゃない、嘉と一緒に。

今年の誕生日は目が覚めたら目の前に嘉の顔があった。そうして顔を緩めると「おめでとう」と髪を撫でた。

冷んやりと気持ちいい手を掴んで、もう一度布団に引きずり込む。

「うわっ、ちょっ、なに」

「ひろ、今日学校は?」

「え?あー、3限からだけど…」

「そっか、じゃあもう一回できるね」

「……はぁ?えっ、待って」

特別な日。

何度迎えても、嬉しくて堪らない。

生まれてきたことを、良かったって思える。

これから先も、ずっと嘉の隣で年をとっていきたい。

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