第13話 白咲檬架の誕生日2
誕生日が特別な日になったのは、嘉がいたからだと思う。小さい頃から兄弟みたいにずっと一緒にいて、絶対1番に「おめでとう」って言うのは嘉だった。
朝、隣同士の部屋からおはようより先に言う嘉の顔を毎年見てきた。けど今年は違う。高校卒業を機に家を出た俺は、事務所から近いマンションを借りた。2LDK。頑張らないといけない。一人じゃない、嘉と一緒に。
今年の誕生日は目が覚めたら目の前に嘉の顔があった。そうして顔を緩めると「おめでとう」と髪を撫でた。
冷んやりと気持ちいい手を掴んで、もう一度布団に引きずり込む。
「うわっ、ちょっ、なに」
「ひろ、今日学校は?」
「え?あー、3限からだけど…」
「そっか、じゃあもう一回できるね」
「……はぁ?えっ、待って」
特別な日。
何度迎えても、嬉しくて堪らない。
生まれてきたことを、良かったって思える。
これから先も、ずっと嘉の隣で年をとっていきたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます