2017年11月11日ーー宝石発掘はドッキドキ!part1
「「「「宝石の日?」」」」
「ええそうよ。あんまり知られてなかった記念日だけど」
肌寒い日が続く中のある日、お昼ご飯の時にファルミアさんが唐突に告げたことが始まり。
「なんか毎日何かしら記念日がなくねぇか?」
「あらエディ、その通りよ? その日に一つだけじゃなくて複数とか数日続いたり毎月同じ数字の日とか色々だけど」
「そうですね」
記念日もあるけど、習慣だったり色々だ。
居酒屋とか焼肉店かなんかが宣伝するような肉の日とかは違うと思うけど。
「それにしても、宝石の日とは素晴らしい響きですわ。具体的に何かすることがありますの?」
やっぱり女性だからジュエリーには興味があるアナさんがちょっと興奮気味だった。
「うーん、具体的にはないのよね。日本で宝石を扱うギルドで、一定の重さを表記する単位が国内外でも採用されたとかだったわ」
「んじゃ、なんでわざわざ俺らに言うんだ?」
「うふふ、実は四凶達がね? 見回り途中に見つけた洞窟に宝石の原石が採り放題なくらい埋まってるのを見つけたのよ! 調査って名目で皆で行きましょうよ!」
「ほえー」
どこにあるかわからないけど、そんなお宝取り放題だなんて凄いことだ。
「見回りって、そんなことさせてたのかよ?」
「私達は交友国と言えども、あなたの国の配下に過ぎない。出来るだけ警戒態勢に手は貸すわ。もちろん、ヴァスシード王妃個人としてだけど」
ちょっとドキッとした。
普段は軽口を叩き合う友人同士のようなお付き合いをしてるとこしか見てないから忘れていたが、この世界の常識じゃ神様のフィーさんのすぐ下のトップはエディオスさん。
ユティリウスさんやファルミアさんが一国の王様や王妃様でも、エディオスさんとは比べようもないくらい地位の差があるんだって。
だから、二人は自国じゃトップでもここじゃエディオスさんの部下さんだそうだ。
「まーぁ、半分くらいは俺がこの近辺の美味しいもの探させてるんだけどー」
「ユティリウスさん台無しです!」
せっかく関心しかけてた空気がめちゃくちゃだ!
「ユティのそれは今に始まった事じゃないから別に珍しくないよー? けど、そんな取り放題ってどの辺りにあったの?」
「えーっと……
フィーさんの質問に、ファルミアさんが首を傾げてさらに壁際で待機中の窮奇さんに聞いた。
「…………ちょうど
「それって、クラウが卵でいたところの?」
「正確には少し離れた場所だ。あそこに直接関わる箇所ではなかったが」
「ふぅん。まったく縁も理由もなくはないかもしれないね? 一度確かめてから採掘するかどうかは決めるよ。窮奇、僕を案内して?」
「御意」
なので、すぐに出発ではなく、フィーさんと窮奇さんや他の四凶さん達が確認しに行って帰ってくるまで待機だ。
と言っても、転移の魔法を使ったから30分もかからずに戻ってきましたが。
「大丈夫。クラウとは特に関係なかったよ? まあ、神気が漏れ出たのが積もりに積もって結晶化したのだったから……宝石とはちょっと違うけど」
「「「「「え」」」」」
フィーさんの説明に僕とクラウは首を傾いだが他の皆さんにとっては重要事項だと思われたようだ。
「それってやばくねぇか?」
「まあ、神気は僕が抜いて来たからただの抜け殻だよ。だから、いーよ?」
「お前が言うならいいが……」
「フィーがそう言ってくれるなら、採掘準備よ! 皆着替えてきてちょうだいな?」
「今日はちょうど俺達が休暇の日取りであったからよかったが……」
全員お休みの日が重なるのは早々ないらしいですが、お休みの日だからセヴィルさんも強く言えないようです。
とりあえず、護衛も兼ねてサイノスさんは呼んで来てきっちり指定の採掘作業の服に着替えてから、転移魔法で採掘場に移動。
「ふぉおお!」
「ふゅふゅぅ!」
岩壁かと思ってたら、クラウがいた洞窟よりは小さめの洞窟でした。外からあの洞窟見たわけじゃないけど、高さの違いだけでそう思いました。
「入る前に、組み分けするわよ! 私はともかくとしてリュシアやカティは一人じゃ大変だもの」
なのでじゃんけんで決めるかと思いきや、ファルミアさんがささっと僕らを相手の前に立たせての決定となった。
「あ、あら」
「僕はやっぱりこうですか」
アナさんはサイノスさんと、僕は当然ながらと言う具合にセヴィルさんと組まされました。
「私はもちろんリースとだけど、護衛も兼ねてならお互いその方がいいでしょう?」
僕はそれ以外の理由は明白でも、アナさんはちょっと納得。エディオスさんと兄弟タッグ組んでも悪くないが、護衛なら将軍さんのサイノスさんの方が適任だ。
気心知らない相手じゃないもの。
「よ、よろしくお願いします」
「ふゅゆ!」
「あ、ああ……よろしく」
「他は、適当と言いたいけど……フィーとエディじゃ大変になりそうだからフィーは窮奇でエディは渾沌とね。残った二人はそれで組みなさい」
「なんか引っ掛かる言い方すんな?」
「否定出来ないけどねー?」
と言うわけで、洞窟の中に入って宝石発掘開始。
中をフィーさんの明かり魔法で室内のように明るくしてもらってから進めば、少し奥に行っただけで壁や地面に大小様々な宝石の原石が埋まっていた。
「すっごーい!」
「ふゅゆゆゆゆ!」
「まあ、素敵ですわ!」
僕とアナさんとクラウは興奮して声を上げちゃった。
「制限時間はとりあえず八つ時前ね。カティやリュシアが大丈夫と言っても、私達はプロでもなんでもないから適度がいいもの」
掘り方は男性の方が知ってるので僕はセヴィルさんに指導してもらうことに。
「どれを掘っていきますか?」
「……お前が欲しいものでいいが」
「それはダメですよ、セヴィルさんも一緒なんですから」
「ふゅゆゆゆゆ、ふゅゆぅ!」
ちょっと歩きながら皆さんと距離を開けていたら、クラウが突然声を上げた。
なんだとセヴィルさんと振り向けば、水晶のようなときんときんの結晶体にしがみついていた。
「……それが欲しいのか?」
「ふゅゆ!」
「と、採れるんでしょうか?」
「袋は
「それで片付けられるんですね……」
と言うことで、その結晶を掘り出すことに。
主に土を掘り出すのはピッケルに近い道具でセヴィルさんが。僕は軍手に近い布手袋で土をどかす作業を。
クラウは最初手伝ってくれてたけど、本当に微々たる量しか土を退かせられなかったので空中で待機してもらった。
「結構深いですねー」
「原石だからこう言うものだろう」
「セヴィルさん作業慣れてるんですね?」
「……幼い頃にはエディオスやフィルザス神に連れられてこう言うことは色々させられたからな」
「なるほど」
好奇心旺盛なあの二人に巻き込まれちゃ慣れるのも無理ないか?
「それより注意した方がいい。下が空洞になっていることが多いからな」
「はーい」
「ふゅぅ?」
クラウがぺちぺちと大っきい結晶の一つを叩いていたけど、動く気配がないからつまらなさそうにして離れた。
「それは食べ物じゃないよー?」
「ふゅぅ?」
「あ、カティアー! クラウにはそれ卵の殻と一緒で食べられるよー?」
「え」
また不思議素材なんですかこれは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます