2017年8月29日ーーDOKIDOKI☆焼肉パラダイスpart3
「「「うはー、ソースの良い匂いーー!」」」
食いしん坊トリオの皆さんは揃って同じことを口にしました。もちろん、エディオスさん、フィーさんにユティリウスさんですとも。
僕の上に乗ったままの小ちゃな食いしん坊さんはお腹の音を盛大に鳴らしながら待っててくれてます。
「さあ、第一陣が焼けたわ。最初は、
「一応ってなんだよ」
まあ、功労者なのは本当なのでお皿に全種類のお肉と適度に野菜も乗せていくよ。
山盛りのお肉にエディオスさんはお目々をキラキラ輝かせて、お皿を受け取ってくれました。
「こんな薄切りにして食うとはなー?」
「冷めるといけないから先に食べてよくてよ?」
「お、そんじゃ遠慮なく」
ファルミアさんの言葉に本当に遠慮せずにエディオスさんはフォークに焼肉ダレ付きのお肉を刺して口に入れた。
霜降り肉だけど、やっぱり熊肉は多少固いようでよく噛んでいました。
「……んっめ! 甘じょっぱいソースがよく絡んでいくらでも食えるな!」
そうしてばくばくと野菜も挟みながらがっついていきます。その間に焼いて盛り付けて渡してを繰り返していたら、なんとか全員分配り終える頃には僕の分ももらえました。クラウには多少冷めてから食べさせる予定なので、果物をあげてるよ?
「まあ、この塩で味付けされているのも美味しゅうございますわ!」
「リュシア、それにリモ二をかけるとより美味しいわよ。ちょっと貸してくれるかしら?」
「まあ、そうですの?」
「何にもつけてないのも、あとでこのソースと一緒に食べれば美味しいねー」
「野菜も甘いよ!」
『実に美味』
さてさて、僕もひと口お肉を頬張るよ?
「…………人生の中で一番美味しい焼肉」
そう口に出ちゃうくらい、ちょっと固いけど脂の甘みとタレがよくあっていくらでも食べれるのが頷ける程に。
野菜ももちろん一緒に食べるけど、お肉をさらに引き立ててくれるから子供胃袋の僕でもたくさん食べれちゃう。
アナさんがメインで釣ってきた鱒のような魚の塩焼きも脂が乗ってて実にジューシー!
四凶さん達が仕込んでくださったモツ類もトロトロジュワーっと舌の上で溶けていく。
もう本当に夢中になるしかない!
「ふゅー!」
「あ、ごめんごめん。クラウにもそろそろいいかな?」
別にお皿に盛りつけておいた皿を持って、クラウを頭から下ろした。そして、恒例のアーン。
「こりゃ、野営でも出来そうだな? タレっつーのは無理だが塩でもよさそうだ」
「栄養が偏りにくいのを防げるかもしれない。次回辺りに導入させてみるか」
「スープだけに野菜を使っても飽きるしな」
サイノスさんとセヴィルさんはこんな時でもお仕事を忘れていないようです。
だけど、手は黙々と焼肉を口に運んでいるからよっぽど気に入られたみたい。
それからお肉がなくなるまで焼いたり食べたりを繰り返していけば、絶対無理だろうと思うくらいのお肉は綺麗さっぱりなくなりました。食いしん坊さん達もだけど、主にクラウや四凶さん達がね?
僕もお腹いっぱい食べたけど、せっかく獲ってきた姫林檎を焼く準備に移ります。
「持ってきた小鍋にお水とバターとお砂糖を入れて溶かします」
ホイル焼きもいいけど、この世界にはアルミホイルがないのでこのやり方に。簡易オーブンも作れなかったしね。どっちかと言うと煮りんごかもだけど気にしちゃいけないよ?
「お砂糖が溶けたら洗った小ちゃいメロモを入れて、火を弱火にしたら蓋をして
いい具合まで煮詰まったら、蓋を開けて林檎をスプーンで軽く押す。しんなりしていたら、白ワインとシナモンもどきのスパイスを加えてしっかり絡める。
これで出来上がりです!
一人一個ずつお皿に盛り付けていくよ?
「お? 砂糖とバターのコクで食べやすいな」
「「美味しいーー」」
他の皆さんも美味しい美味しいと言ってくれました。セヴィルさんもちょっとずつかじってくれてます。
「あれー? カティア、服にソースついちゃってるよ?」
「え?」
フィーさんに言われてどこどこと服の上を見ると、ちょうど胸元辺りにタレがぺっちょりとついていた。黄色いチュニックだからくっきりと目立っちゃう。
「あー……洗濯で落ちますかね……」
紙エプロン的なの用意してなかったからってうっかりし過ぎだ。これコロネさん達の特注だから大切にしてたのに。
「僕が取ってあげるよ。上着貸して?」
「あ、はい」
なるたけ早い方がいいよねと思って、僕は躊躇うことなくチュニックを脱ぎにかかった。
途端、バタンって何か重いものが倒れる音がした。
「「「ゼル⁉︎」」」
「セヴィルさん?」
え、セヴィルさんが倒れたの⁉︎とチュニックを脱ぎ切ってからそちらを見ると、本当に微動だにせずに地面に倒れているセヴィルさんがいらした。
「どどどどうしたんですか⁉︎」
「カティのせいよ」
「へ、僕?」
ファルミアさんの言葉の意味がわからず、僕ははてなマークを浮かべるしかなかった。
「カティ? 今はその姿でも、あなたは
「あ!」
すっかり自分が子供だと思い込んでたのが仇となるなんて露知らず。だって、ブラじゃないけどキャミソール着てたから大丈夫とか認識してたのにそれもいけなかったようだ。
「それとフィー? あなたなら指一つで服を着たままでも出来るはずでしょう? いたずらにしては質が悪くてよ?」
「えっへへー、セヴィルの反応見てみたかったからー」
「……はぁー……」
それから汚れはすぐに取ってもらって服を着たんだけど、セヴィルさんはすぐに起きずに僕は自主的に看病させてもらいました。
焼きマシュマロとチョコのクッキーサンドを食べ終えても、彼は一向に起きませんでしたよ。
僕は無神経なことをしてしまったなと深く反省。
パタパタとフィーさんお手製の団扇を扇いでいたら、セヴィルさんはやっと目を覚ましてくれました!
「セヴィルさん、大丈夫ですか!」
「…………俺は」
「えっ、えーと……倒れちゃってんです」
「……ああ、あれでか」
どうやら思い出してくれたようです。
僕は今更恥ずかしくなってきて、誤魔化すために団扇をぱたぱたさせていたら、セヴィルさんがゆっくりと体を起こした。
「……カティア」
「……はい」
「いきなり無防備になるようなことをするな。肝が冷えたかと思ったぞ」
「……おっしゃる通りです」
お子ちゃま体型とは言え、中身は成人女性であることをしっかり自覚しろとこんこんと言い聞かされました。それに頷きながらも、深ーく肝に銘じることにしました。
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