一蓮托生 5

 ニュージーランドに着き、オークランドから飛行機を乗り継いでクライストチャーチに着くと、空港の出口で町子たちの名前を英語で書いてあるプラカードを持った青年がいた。アースは真っ先にその青年のもとへと走っていき、真っ赤な顔をして周りの人間を見た。通行人が、少し興味津々な顔でこちらを見ている。

「俺の名を英語で書くなっていっただろうが。なんで姓のほうを書かない?」

 珍しく焦っているアースを見て、町子は吹き出した。その姿が何だか面白くて、輝の顔からも笑みが漏れた。

「The Earthですよ。固有名詞です。それに本当のことじゃないですか」

 その青年は胸ぐらをつかまれながらも笑っていた。アースは、そんな青年の姿を見てため息をついて、青年を解放した。

「土って書かれるよりマシかもね、伯父さん。イシシ」

 町子がいたずらっぽく笑ったので、アースは頭を抱えた。青年は色黒で、優しい感じの面持ちをしていた。黒い髪だが瞳の色は緑で、珍しい色をしていた。

 アースが機嫌を直すと、青年は町子たちに自己紹介をした。

「スタンリーと言います。父がマオリ族で、母がアイルランド人です。父が母のところに来たので、英語の名前を、と、母方の祖母がつけてくれました。キウイフルーツの記憶を持つシリンです。よろしくお願いします」

 スタンリーは、輝と町子、それにエル、それぞれに握手を求めてきた。アースにも手を差し伸べてきたので、アースは渋々とその手を取って握手をした。

「天然なんだ」

 アースが、スタンリーを指さした。

「こいつに振り回されるなよ」

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