イセカイサイコーデス
何かの世界一
刺激を求めたら異世界についた
「はああああああああああああ!!!!???」
「…」
弟が頭おかしい人を見るようなすごーく見られて嫌な目で見てくる。
仕方ないので謝った。
「ごめんなさい」
俺は小田慶助。
しがないごく一般的な高校二年だ。
今叫んだのは十万円をこのゲームにつぎ込み、新しいカードが一枚もでなかったことに対してだ。
ね、仕方ないでしょ?
新しいカードが一枚も出ないんだよ?
十万、十万つぎ込んだんだぞ!
十万なんて週二回くらいしか課金しないんだぞ!
そして俺の弟、慶太。
俺とは正反対で、運動をこよなく愛する。
俺から言わせると変態だ。
しかし、やはり俺の兄弟。
ゲームが上手く、彼が一番得意なゲームでは世界大会の準優勝までいったらし
らしい、というのも、その日はイベントがあったので寝る時間をなくしてまでやってた。
だから見ていないんだよな~。
あのときはごめんよ、弟よ!
「しかし相変わらず暇というか…ゲーム以外におもしろいことしたいな、この世界ゲーム以外退屈でさ。」
と弟に語りかけると
「今からちょっと100km走ってくるけど、兄貴も来る?退屈ではないよ?むしろ楽しい」
ここだ、これが本当に理解できない。
あんなただ疲れるだけのこと、確かに退屈ではないだろうが、刺激がどこにあるのだろうか。
そもそも、ちょっと100km走ってくるとか言う奴と走ったら余裕で数百回死ねる。
「やめとく」
「そうか、残念だ。」
そう言うと、弟は走り去っていった。
うーん、しかし暇だ。
もう金もつきたし、ゲームやり過ぎて目が疲れてきた…。
暇暇暇。
あー、だれか俺を異世界にでもつれてってくれ。
ーーーそれは本当ですか?
うん、本当だ。
ーーーでは、あなたを異世界に召喚します。
お、マジでやったー!
ってちょっと待てよそれは本当ですか?とかあなたを異世界に召喚しますとか何だよ!
ああ、あまりに刺激が欲しくて幻聴が聞こえたんだな。
そう思っていると、俺の意識はいつの間にかなくなっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふあ~…は?」
どうやらあれから寝てたようで気がついたら…どこかにいた。
どこかってどこだって言われそうだけどどこか分かんないからどこかだからな?
わかることといえば木が多いことぐらい。
ガチでここどこだよ。
「ああああああああああ」
俺の目の前に緑の液体のようなヌメヌメしてすごーく気持ち悪い化け物が、ああああああああああと呻きながら来た!
逃げよう。
そう思って走り始めた。
「なんだ、これ」
しかし、一歩踏み込むとすごい跳んだ。
ただ走ろうとしてるのに。
これは、なんでだ?
少し考えたら、重力が少ないからだという結論になった。
ということは、ここは地球じゃないってこと?
まさか、あの謎の声マジだった?
どうするか…。
人だ!人を探そう!
もしかしたらこの世界にはもっと面白いゲームがあるかも!
異世界といえばやっぱり勇者になったり、可愛い子と付き合ったりとか典型的だもんね!
魔物も典型的だし、多分あのキモいのも魔物も一種だね。
そう思い、張り切って人を探すことにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あ、あった…。
よかった~。
探索開始から何時間たっただろうか。
町のようなものはなく、家が見つかった。
そしてあのキモいのに会いまくった。
しかし、どうやらこの辺りには魔物らしきものはあのキモいのしかいないみたいだ。
あれ以外と会わなかったから。
とりあえず、ノックしてみた。
「すいません、誰かいませんか~?」
すると鍵が開いて出てきたのは…
「ああああああああああ」
もう、何かはいわなくていいだろう。
あれが、あの気持ち悪い2度とみたくないやつが家にすんでいた。
つまりこの世界で一番栄えてるのがこのキモいやつみたいな感じなんだろうなー。
糞だ、この世界。
私、確信しましたよ!!
もう大急ぎで逃げた。
くそ、マジついてない。
気をまぎらわすために、スマホでゲームでもやるか。
そう思って、俺は常に胸ポケットにあるスマホを取りだし、画面を開いた。
すると、最悪の事態が起こっていた。
「は…嘘だろ…こんな…けん…がい…。」
当然といえば当然だが、俺は高校にいく以外ほぼ家にいるので、圏外なんて滅多にない。
いや、高校に行っても圏外なんてないんだが。
故に、見落としてた。
「くっそ…」
そう呟いてると、また気持ち悪いのがこっちを見てる。
ドンだけ居るんだよ!
そう思いつつも、俺は急いで、重力が少ないお陰で地球でより何倍も速く走れるこの足で、世界一がとれるなあなどと呑気なことを考えながら、逃げた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんでだ。
どうしてだ。
おかしいジャマイカ。
俺少し寝ている間に回りに気持ち悪いのがざっと百体くらい、並んでる。
いや、百匹?それとも百人?
まあいいや。
重要なことは…ああ、ちょうど囲まれてますねー。
うん、囲まれてる?
もしかして…。
俺は察した。
いや、みんな察した。
俺、もといみんなの察し通り俺が起き上がったと同時に俺に飛び付いてきた。
俺はなんとかジャンプして避ける。
そして、そのジャンプが高度10メートルくらいに感じられたから、スゴいビビる。
本当なんなんだよ!
重力やばすぎて草。
だが戸惑っていてはあの気持ち悪いのに捕まってしまう。
幸いにも、やつらは飛べないようだ。
うまくウサギ顔負けのジャンプをして、ウ○インボルト顔負けの走りにより、なんとか難を逃れることがてきた。
しかし、最悪なことに、逃げた先には千を越えるほどの気持ち悪いのがいそうだな~ってくらいの多さの群れがあった。
いや、家族か?
大家族すぎんだろ!
どんだけセから始まりスで終わる行為してるんだよ!
おっと、少し…イヤ少しなんてレベルじゃねえ!大分アウトなことを言った気がする…。
あは、まあ、なかったことにしよう。
すると、千を越えるほどの気持ち悪いのは一斉にこちらを見た。
う、嫌な予感。
来るな~!!!!!
来るな~!!!!!
そんな俺の願いもむなしく、やつらは俺に向かってきましたとさ。
二回祈ったのにかよ…。
糞がアアアアアアアアアアアアアアア!
異世界なんてエエエエエエエエエだアアアアアいっ嫌いイイイイイイだアアアアアアアア!!!!!!!!!!
そう発狂しつつ絶叫した俺の声は、静かな森を騒がせて、より気持ち悪いのを呼んでしまった。
なんでだよ…萎える。
また、逃げるのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イセカイサイコーーーーーーー!
アハハハハハハハハハハ。
キモチワルイノガナンダー!
タベラレヨウガナンダー!
ジンセイラクアリクナシダオ!
ウェヘヘヘヘヘヘヘヘ。
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ごめん、やめよう。
ただ皆には分かってほしい。
笑うしかないこの状況。
絶望しか見えてこないこの状況。
どうやって気持ちを切り替える?
むしろなんかいい気持ちの切り替え方あるの!?
教えて課金して爆死したとき使うから。
そしたらいつもの三倍くらい楽に課金できる。
まあ、そんなことはさておき、さっきまでですら壊れたくなるような感情だが、俺はもうパッキンだよパッキン。
だが、もうよかろう。
この森で、もしかしたら俺と同じように現世からつれてかれた人がいるかもしれない。
俺はその人たちと一緒に脱出する!
完璧な作戦もたててある。
4文字で他力本願。
作戦名「他人に任せりゃなんとかなる」
アホが自分で作戦考えるより遥かにマシだと思う。
しかし、なんにせよ人探しだなやっぱ。
一度痛い目あったが、逆に言えば痛い目にあったのは一度、諦めたらそこで冒険は終わってしまう。
こんな冒険早く終わりたいけど。
だが、諦めてはいけない。
人と会わない限り、俺は帰ることができない。
つまり二度と弟や、じじい…じゃなくて父や、クソババア…じゃなくて母と会えない…弟以外悲しくないな
嘘だ。
と言いたいという願望。
とにもかくにも、人探し大事!
人探ししなきゃ帰れないし怖くて寝れないし…助かるためにも、人探し大事!
さて、探しに行くか。
気持ち悪いのは~外。
地球人は~内。
そう思っていると、不思議なことに気持ち悪いのが来ました。
たった一体だけど。
もう慣れたワイ!
だが地球人が来ず気持ち悪いの来るとか俺のコールと逆だな…。
とりあえず、逃げた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オラオラオラオラー。
イェェェェェェパパバメパメバンバメッメメッメメメパバ!
にえさとかやとおとけぬてそとかあのとにのとらあゆそとけのねおあゆとふこておひよとのとのとねこももやぬおそとそおむ)をまもけとはともふめやへむ。
うん、これで分かるだろう。
少しずつ、壊れていってます。
精神的な問題でね。
宣言しよう!
あと三時間この世界にいたら発狂できる自信があるんだが。
架空の小説読んで異世界で活躍したいとか寝言言ってるそこの君。
やめた方がいい。
現実はこんなんだから。
困難もあるの。
ってか困難しかないの。
こんな困難だらけの…うん待てよ?
こんな困難。
あはははははは。
つまんねー。
まあ、帰りたい思いだけは伝わったよね?
これを見て神様が「ああ、なんて可哀想な人間だろうか…最悪の異世界に行くなんて…わしが救ってよろうぞよ」みたいな感じにならないかな~?
神様目線だったら色々おかしいという意見は置いといて。
いや、こういうときは女神と決まっている。
なんとなくね。
「ああ、なんと可哀想な迷える子羊…このイリー(とかそんな名前がいいなと思った)が救ってあげましょう。」
とかあればなあ…。
いや、まあ神頼みなんて不可能…うん?
この光…まさか、神が降臨したのか!
ピーーーーーー!
きた!
早速光の方に行くと、そこにいたのは…ただのハゲ。
…。
ギャーーーーーーー!
特に意味はないけどとりあえず逃げロー!
ふう…逃げきれた。
うん?
もしハゲが地球人だとしたら、俺と同じように…?
つまり俺の他・力・本・願は最初失敗でした。
は~。
むっさ萎えるわ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
困ったわ。
マジ。
あの気持ち悪いのしかいない星でどう暮らせと。
帰りたくなってきたわー。
ーーー刺激がほしいのではないのですか?
いや、帰りたくなった。
ーーーそれは本当ですか?
うん本当。
ーーーでは10時間くらい後には戻れるので我慢してください。ちなみにこちらでの1時間は地球時間で換算すると約82分の1時間ですので、こちらでは大体…820時間、日数にすると34.1666667日ですが我慢してください。
あ、しっかり電卓使って計りましたよ。
どうぞごゆっくり。
急にイッパイ喋ったな~ってお前誰だ。
おい!
誰だ!
返事がない…ガン無視されたな。
クッソ~、一体どうすれば。
こんなとこじゃ一睡もできないじゃん。
しかし1ヶ月以上ここだトゥ!
地球より時の流れが82倍遅いということだ、ちょっとふざけないでくれます?
ーーーいや、逆ですが
いくら異世界だからってこんな地球と変わるっておかしい。
ーーー…まあいいですけど、もうすぐ帰れますよー
小説ではチートゲットしてハーレムとかが王道なのに…現実とはなんとはかない。
とか思ってると茶色の髪で、目がクリッとした可愛い子が俺の目の前を通った…。
ん?
可愛い子?
やったじぇーーーうぇーーーい。
ーーーあの、もう帰れますので送ります…って聞こえてます?
「あの、私は小田慶介ともうし…ま…」
言い終わる前に俺の意識がなくなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ハア~~~~~ィ~加減にしろよ糞がァ!!!!!」
「エ…どうした、兄貴」
「いやいやあのな、異世界に飛ばされてな、ゴミとしか会わなくてな、やっとこさな、可愛い子とな、会えたと思ったらな、なんかな、意識がな、なくなったんだ。でな、気がついたらな、ここにな、いた。クッソー1ヶ月以上な、あの子とな、いれるのかとな、思ってな、期待してたよ。」
「なが多すぎてわかりずらい…焦りすぎ。つてか異世界…プックククククク…お、おうそうか…プッ。ところで…ククク異世界は…ププどうだったの~?」
こいつ…笑いこらえながらいってやがる。
さては信じてないな。
まあ俺も弟が異世界行ったとか言ったら笑うしかないのだけれど。
まあいい、俺の異世界に行った時の、マジな感想を聞かせてやろう。
「イセカイサイコーデス」
「つまり糞だったんだな」
弟よ、良く分かってるじゃん。
イセカイサイコーデス 何かの世界一 @tt12
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