第三章 犬士達が集う一方で

登場人物紹介~悪役~

犬士達と敵対する人々


玉梓たまずさ妙椿みょうちん

 年齢:不詳

 安房国にある滝山城前城主・山下定包の妻。夫が討たれた後、「畜生道に貶め、この世の煩悩の犬と化してやる」と呪詛を残して処刑された。その後、人々の恨みや妬み等の力から、怨霊として復活。伏姫を自害に追い込んだり、妙椿という尼僧と名乗って犬士達を窮地に追い込むなど、八犬伝の悪女代表といった女性。

 性格は気位が高く、常に情緒不安定。妙椿となった後は怪しき美貌で男を狂わせ、妖術の使用や、妖を刺客として利用する。手を組んでいる素藤は、従者としている一方、裏切られる事を恐れて心を許さず、常にある程度の距離を置いている。水鏡を利用して、犬士の集結を察知したり、狭子の存在を知ったりする。また、それによって狭子の正体に気がつき、彼女を狙う事となる。



蟇田権頭素藤ひきたごんのかみもとふじ

 年齢:23歳(見た目年齢)

 身長:180㎝

 上総国にある館山城の城主。里見家の姫・浜路に横恋慕して、いろいろと画策する・・・というのが、原作での設定。しかし、今作の彼は全く違う人物である。白髪と少し色黒な肌。金色の瞳を持つ彼は、古来から生きる鬼で、鬼としての名は“蒼血鬼そうけつき”。古き時代に大陸から渡ってきた西洋の鬼(=吸血鬼のような鬼)と、日本にいた鬼の血を引く。そのため、吸血鬼ほどではないが、人間の血を好んで食らう。

性格は冷静沈着、冷酷で残忍。普段から余裕そうな笑みと、ポーカーフェイスの姿勢を崩さない。それは、平安時代頃から永きに渡って生きているからと思われる。

また、他人の反応を見て楽しむなど、Sっぽい面が強い。

狭子とは武蔵国にある大塚村近くの山林の中で出会う。しかし、彼女の事を“琥狛”と呼び、自分の物にしようとつけ狙う。また、狭子の幼馴染・染谷純一を知っている等、謎の多い人物。狭子と彼女の前世・琥狛の両方に関わりがあるため、ただの悪役だけではない不思議な男。鬼ではあるが、武器は刀を使用する。鬼は元々、身体能力が普通の人より高いため、斬りあいの大半において、刀を片手で持って戦う。犬士の中でもめっぽう強いとされている信乃とは互角以上の戦いを繰り広げられる凄腕の剣士でもある。ただし、原作と1箇所だけ忠実な設定があるが、ネタばれのため、これ以上は書きません。



牙静がぜい

 年齢:28歳(見た目年齢)

 身長:186㎝

こげ茶色の髪と金色の瞳。そして、漆黒の着物をまとい、素藤に仕える鬼。冷静沈着で寡黙。普段時や戦闘時でも、淡々とした表情を崩さない。素藤と同じ蒼血鬼で、鬼の身体能力を生かし、刀ではなく拳で戦う。偶然の賜物だが、一番最初に狭子と接触する事になる鬼。柔術の他、鬼としての能力で人間の記憶を操る事ができる。今作品のオリジナルキャラクター。



狩辞下りょうじげ

 年齢:22歳(見た目年齢)

 身長:176㎝

 素藤に仕える鬼の忍。少し肌蹴けた忍の着物を身にまとい、群青色の髪と金色の瞳を持つ。長く伸びた髪は、ポニーテールのように高く吊り上げて結ってある。好戦的な性格で、弱い者を嬲り、恐怖におののく表情が好きというとんでもない男。武器は忍び刀を使い、スピードに関しては主である素藤に引けを取らない。蒼血鬼は、吸血鬼と違って血を飲まないからと言って死ぬわけではない。ただし、彼はそれを承知していても、興味を持った獲物の血は必ず食らうという吸血鬼の本能の部分を大きく受け継いでいる。



足利成氏あしかがのなりうじ

 古賀公方。今作において、彼の出番はほとんどないが…偽物の村雨丸を献上された事から、信乃を逆賊扱いにして、お尋ね者にさせた張本人。そこから、よほどの小心者であることがよくわかる。そして、その小心者である性分を妙椿に利用され、犬猿の仲である関東管領・扇谷定正と和睦をする事となる。



扇谷定正おうぎがやつさだまさ

 関東管領。その地位は公方である成氏より下だが、今は彼に匹敵するほどの力を持ち、公方もこの人物を警戒している。また、毛野の一族や道節の一族を滅ぼした事から、この犬士達からは復讐の相手として狙われている。彼もまた、妙椿に利用されてしまう人物の一人である。



籠山逸東太縁連こみやまいっとうたよりつら

 関東管領・扇谷定正の家臣。また、毛野の父・粟飯原胤度あいはらたねのりを直接手にかけた張本人のため、毛野に狙われる。いずれは定正に取って代わろうと企む、欲深い男。原作では、いろいろと主を変えて生き延びている。



巨田助友おおたすけとも

 逸東太と同じ、定正の家臣。白井にて、外山の残党が主の命を狙っていると知り、道節に罠をしかける人物。そこから、頭の良い人間とも考えられる。逸東太と違う点は、彼と違って、主君に忠実な点である。原作では荒芽山に集っていた犬士達に追手を差し向けているが、今作ではそこまでの事はしていない。



■赤岩(偽)一角あかいわいっかく

 犬村大角の父。しかし、その正体は化け猫が一角に化けたもの。元が化け猫のため、かなり歪んだ性格をしている。



船虫ふなむし

 赤岩(偽)一角の後妻。妖婦のように婀娜っぽい女性で、性格は我儘で残忍。原作では方々に登場しては、犬士達を苦しめる悪女だが、今作では少ししか登場しない。

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