そこに横たわるうさぎ。
ウサギのくるみを連れて実家へと帰省していた時の事。
久しぶりに来た実家であるにも関わらず、幸いにもくるみはちゃんと覚えていたようで、実家に着いたその瞬間から大ハシャギ。
玄関先から風呂場にいたるまで、全ての部屋をダッシュで嬉しそうに走り回っていました。
結構ビビりな性格だからどうなる事かと心配してたけど、この調子なら大丈夫そうだな…
そう思ったむむは、くるみの事を遠目で見れるような位置に移動して、スマホをいじりながらくるみの事を軽く眺めていました。
ちなみにくるみの中では何とも奇妙な自分ルールというものが存在しているようで。
とりあえず我が家では、『くるみがどこかで横たわったら、飼い主もその横に同じように横たわって数分間くるみの事を撫でつづけなければならない』という何とも不思議なイベントが日々発生しているのでありました。
しかも頑固なくるみは、彼女が納得するまでこちらが撫で続けなければ、絶対にケージの中へは入ってくれません。
そう、それはRPGなどによくある『何をどうあがこうと強制的に始まっちゃう決して避けようのないイベント』と同じようなものなのです。
そのイベントは、自宅だったら大体リビングで発生するのですが、実家に遊びに来ていたくるみはあろう事か…
何故か玄関の土間の部分で横たわっていました。
…くるみちゃん…
むむそこで一緒に横たわるの、
マジで嫌なんですけど。
放置された数々の靴達に紛れながら横たわっているくるみの姿は、さながらファーで出来たブーティのようです。
しかもいつまで経っても撫でに来ないむむの事に怒りを感じはじめたくるみは、やたら小刻みに体を震わせたりしています。
仕方がないのでむむはくるみの目の前にある廊下の上で横たわり、くるみを自分の方へといざなう事にしました。
するとこの作戦が意外にも大成功!
すぐにくるみはむむの元へと駆け寄ってきて、目の前でゴロンと横たわってくれました。
…やった!これでやっと解放される!
むむがそう思ったのも束の間…
なんとむむに撫でられていたはずのくるみは、すくっとその場で立ち上がり、勢いよく走り出したかと思うと、またもや玄関の土間でゴロン。
その姿はさながら
『さ、あなたの願いは叶えたわよ!
次はこっちで寝転びましょう!』
とでも言わんばかりの表情です。
せっかく数分間撫でて撫でて撫でまわしまくったのに、結局玄関で一緒に寝転ぶ事を要求されてしまうむむ山むむすけでありましたとさ。
…でも絶対玄関なんかで寝たりはしないけどね。
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