そのバンダナの正しい巻き方。
前の職場で夏祭りをする事になった時の事…
むむ達はたこ焼きの屋台を出すことになり、それぞれが持参したエプロンの着用と、三角巾がわりに配布された白いバンダナを頭に巻いて調理と接客をする事になりました。
むむと同じたこ焼き調理のメンバーに任命されたF君とYさん。
Yさんはとっとと自分のエプロンとバンダナをきちんと着けて準備万端となっているのに対して、F君は何故だかいつまでもモタモタとしています。
「…F君、どしたの?」
心配になったむむがそうF君に声をかけると、F君は困り果てた表情で言いました。
「実は僕…今までバンダナとか巻いた事がなくて…」
そう言ったF君の頭には、ねじって巻かれたバンダナの姿が…
「…何かソレ、違うくない?なんか板前さんのハチマキみたいになってるんだけど…」
そう言って、F君の頭にハチマキ状に巻かれたバンダナを指摘するむむ。
そしてそれをクスクスと笑うYさん。
「…えぇ?違うんですか…?」
そう言って困った表情のまま、頭に巻いたハチマキ状のバンダナを解いて、机の上に広げるF君。
…でもやっぱり何かが違う。
「いやいや、違うよ。まずバンダナを2つに折ってから…」
そう言うむむの目の前で、確かにキッチリと両端を綺麗に合わせながら2つに折りたたんじゃうF君。
「いや、違うよ。そう2つに折りたたむんじゃなくて、三角になるように折るんだよ。」
そう言って再びF君の間違いを指摘している時に、ちょうど他の職員さんに呼ばれてしまったむむ。
「とりあえず2つに折って出来た三角を頭に当てて結んだらいいから!!」
むむはF君にそう伝えると、ひとまずその場を離れる事にました。
その後、すぐに用事を終えてむむが戻ってくると、何故かYさんが腹を抱えて笑っています。
「…大丈夫ですか…?」
Yさんの異常なほどの大爆笑っぷりに、思わず心配になったむむが、Yさんにそう声を掛けると、YさんはF君の事を指差しながらこう言ったのです。
「…ぶふっ!ぶほっ…!…幽霊…!!」
…はぁ…?
…幽霊って、何ぞや…?
Yさんのその言葉の意味が分からず、むむがYさんに促されるがままに、F君の方に目をやってみるとそこには…
白いバンダナで額に綺麗な三角を作って、まるでテレビの幽霊コントの時かのような格好になってしまったF君の姿が…。
…って、
うぉぉぉ―――――――――――い!
どこで三角作っとんじゃい!!
そりゃどう考えても向きが逆さまだろ!!
何度言っても分かってもらえないF君に、
「…なんでこの子は周りの人の巻き方を見ながら真似をしないんだろ…?」
…と素直に疑問に思った、むむ山むむすけでしたとさ。
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