いつかの初詣。
数年前、とある神社に初詣に行った時の事。
その日は元旦だったという事もあり、神社の境内からお賽銭箱に辿り着くまでには長蛇の列が出来ていました。
…こりゃあ自分の番が来るまで結構時間がかかるだろうな~…
そんな事を思いながらボーっとしていると、むむ達の前に並んでいた3人組の男の子達が、『お賽銭をいくら入れるか』の話で盛り上がりはじめました。
まず一人目の男の子が言いました。
「俺は『ご縁がありますように』って事で、5円玉入れるわ。」
するとそれを聞いた
二人目の男の子は続けて
「じゃあ俺はお前より幸せにしてもらう為に50円にしよう。」
…と言いました。
そんな二人のやりとりを見ていた
残りの男の子は慌てて、
「えぇ!?じゃあ俺はいくら出せばいいんだよ!?」
と言いましたが、そんな彼の様子を見た二人は、ニヤニヤと笑いながら声を揃えていいました。
「…そりゃあお前、 この流れでいくともう、500円玉を投げ込むしかねぇだろ!?」
…と。
するとその二人の言葉に対して
その男の子は、
「え~…今まで俺、賽銭にそんなに使ったこと無いよ…」
と言いながら、突然自分の財布の中身を確認しはじめました。
するとその財布の中には、むむの位置からでも 容易に確認できちゃうくらいに分厚い札束が!!
「お前何だよ!?ソレ!!」
「一体いくら入ってるんだよ!?」
その札束を見た瞬間から、口々にそう騒ぎだす男の子達。
「いや〜… 正月って結構、お金が必要だからなぁ〜…」
そう言って自分の財布の中身を再度確認する男の子。
すると一人の男の子が
「じゃあお前、もうその札束ごと全部つっこんじゃえよ!!」
と言い出すと、
もう片方の男の子も便乗して
「そうだよ!いっぱいお願い事聞いてもらえるかもしれねぇゾ!!」
とか言い出す始末。
そんな二人のやり取りに、
「やだよ!お前ら馬ッ鹿じゃねぇの!?」
と必死に拒否をする男の子の不意をついて、一人の男の子がその子の財布を奪い取ると、中身を確認しはじめました。
「やめろよ!返せよ!」
必死に抵抗する男の子をかわしながら、財布の中身を物色しはじめる二人。
そしてすぐさま同時に「あっ!」と声をあげると、顔を見合せはじめました。どうやら彼らは財布の中から何かを発見した様です。
思わず一人の男の子が言いました。
「すげーじゃん、コイツ!マスターカードとか持ってるゼ!!」
するともう一人の男の子が
「よしっ!このカードを賽銭箱に入れよう!!」
とはしゃぎながら提案しました。
「何でだよ!?そんなの入れても仕方がないだろ!?」
財布の持ち主の男の子が、その男の子の手から財布を奪い取りながら二人に向かってそう答えると、残りの二人は何故か遠い目をしながら先程までとは全く違うやけに渋味のある声で彼に向かって言ったのでした。
「そこはお前…
【願い事…プライスレス】
に決まってんだろ…?」
…と。
正月早々まるで何かのコントの一部かのような彼らのやり取りに、うっかり初笑いを奪われてしまったむむ山むむすけでしたとさ。
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