○○動物園の記念雑誌

前に蕁麻疹が出て皮膚科に行った時の事。


昼一番に行ったはずなのに、待合室にはすでに結構の数の患者さんが座っていました。


…こりゃあ診察してもらうまでに結構時間がかかるだろうな~…


そう思ったむむは、待合室に置いてある雑誌を適当に読んで過ごすことにしました。


どの雑誌を読もうかと、そこに置いてある色々な雑誌を一人で物色していると、『○○動物園 記念雑誌』という、とある動物園の開園何周年かを祝った雑誌を発見したむむ。


あまり難しい内容の本は読む気がしなかったので、動物が大好きなむむはとりあえずこれをペラペラと眺めながら時間を潰す事にしました。


…これなら文字を読まなくても、写真を見るだけで楽しめるもんね。


そう思ったむむが、パラパラとページをめくっていくと、当時その動物園で飼育されていた動物達の写真と共に飼育員さんの一言メモみたいなのが記事として載せられていました。


その内容は、『インコの○○ちゃんは清掃に入った飼育員さんの鼻歌を覚えて、最近よく歌っている』とか『カワウソの○○ちゃんは、カワウソのクセに泳げない』とか思わず吹き出してしまいそうな内容が多数。


笑い上戸のむむは、何度も吹き出しそうになりましたが、そこは病院の待合室。


もちろん静かにしなくてはならないのが鉄則なので、むむは吹き出してしまわないように必死に笑いを我慢をしながら、その雑誌を読み進めていきました。


さらにページをめくっていくと、『○○動物園の歴史』というコーナーに変わりました。


ふとそのページに載っていた白黒写真の中の一枚に目を止めたむむ。


そこには、ヘルメットを被ったチンパンジーがバイクにまたがった姿で撮影されていました。


その表情の勇ましいこと、勇ましいこと。


しかも記事には、『チンパンジーの○○君、○○市長よりバイクの免許を進呈される。(※但し運転は動物園内のみ)』みたいな内容が。


その写真の横にはしっかりそのチンパンジーの免許証まで載せられています。


…ちゃんと証明写真まで撮ったんだ…


そう思ったむむは、またもや吹き出しそうになりましたが、肩を震わせながらも何とか必死にこらえる事が出来ました。



…やばい、やばい。


こんなの笑わずに見ろっていう方がおかしいだろ…



そんな事を考えながら次のページをめくってみると、これまた白黒の写真だったのですが、何やら飼育員さんらしき人に両方の前足を引かれながら綺麗な二足歩行をする形で水の中に入って行っている小さな子熊の写真が…。


「なんじゃこりゃ?」


そう思ったむむが、その白黒写真の横に掲載してある記事を読んでみると、そこには…



『ヒグマの赤ちゃん、子猿4匹と一緒に近くの海水浴場へ。(※写真は飼育員と共に海水浴を楽しむヒグマの赤ちゃん。)』



…との記事が…。




ぶはぁッッ!!


もぅ無理ッッ!!




病院の待合室であるにも関わらず、その記事のおかげで耐えきれず、ついに盛大に吹き出してしまったむむ。


もはや待合室に一緒にいたご婦人達の目が痛い、痛い!


むむは吹き出してしまった事を、わざとらしい咳払いをしてごまかしながら何とかその場にとどまる事が出来ました。


…にしても、あんな面白雑誌を待合室に置いておくなんて反則だっ!!


そんな風に考えながら、『むむも動物達と一緒に海水浴とかしてみたいなぁ~』と、何だか昔の時代が羨ましくなったむむ山むむすけでありましたとさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る