やせの大食い。
むむの友達のC子ちゃんは
ものすごい細身の子でしてな。
しかもとても色白で綺麗な上に、めちゃくちゃ清楚なお嬢様タイプに見えちゃうという、やたらスキルの高い女の子。
ですがそんな彼女にも、
ある秘密があったのです。
そう、それは――――――…
その見た目にそぐわず、
かなりの『大食い』であるという事っ!
以前にむむの家族とC子ちゃんで焼き肉に行った時も、みんながはりきりすぎて注文をしてしまったがゆえに、お肉が余っている事に気がついた彼女は、
「…出された肉は全部食うッッ!!」
と残りのお肉を
一人で全部たいらげてたし、
みんなでバーベキューをした時も、
「出された酒は、全て飲むッッ!」
…と、男友達以上に一人で
お酒を飲みまくっていました。
そんなC子ちゃんと、
ファミレスに行った時の事。
二人で定食を食べた後に、
「…まだ何か食べたいな…」
…とか言い出すC子ちゃん。
むむはさすがにお腹いっぱいだったので、
『デザートくらいなら付き合ったげるよ』と
もう一度店員さんを呼んで注文をする事に。
むむが、「…じゃあチョコレートケーキ」と注文すると、C子ちゃんも続けて注文しました。
『チキン南蛮定食』
…と。
…うおぉぉぉい!あなた今ハンバーグ定食を食べたばっかりなのに、何故にまぁた定食を頼む!?
そんなC子ちゃんの行動に、
思わずキョトンとするむむとその店員さん。
…だってテーブルのには、たった今たいらげたばかりの定食のお皿が鎮座しているのですから。
「…とりあえずこちらお下げしますね。」
不可思議そうな表情を浮かべながら、そう言って定食のお皿を下げていく店員さん。
しばらくすると、その店員さんが再び注文をした商品を運んで来てくれました。
「…え~っと、こちらがチョコレートケーキでこちらがチキン南蛮定食…」
店員さんがそう言いかけた瞬間、「ありがとうございまぁ~す」と、とびきりの笑顔で店員さんからチョコレートケーキをひったくるC子ちゃん。
仕方がなく、『?』な表情を浮かべながら、チキン南蛮定食をむむの前へ置く店員さん。
…え?間違ってますよ…?
むむがそう言おうとしたその瞬間――――…
「え~!?むむってば、さっき定食たべたばっかりなのに、まぁた定食たべるの!?すごぉ~い!!」
とか言い出すC子ちゃん。
…いやいや待て待て!
これはアンタが頼んだヤツだろ!?
必死に弁解しようとしても、
何事もなかったかのように
その場をそそくさと立ち去ってしまう
店員さん。
…あぁぁあぁ…!!
違うのぉぉぉ――――――ッッ…!!
この定食を頼んだのは
私じゃないのぉぉぉ―――――ッッ…!!
むむのそんな悲痛な心の叫びもむなしく、完全に店員さんがいなくなった事を確認したC子ちゃんは、自分の目の前にあるチョコレートケーキと、むむの前にある定食を交換しながら言いました。
「むむ、ありがと!
これで私が大食いだって事がバレなかったよ!」
…と。
…って、おい!
その場合の私はどうなる!!
小悪魔なC子ちゃんに完全にもて遊ばれてしまった、むむ山むむすけでしたとさ。
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