チュン三郎のオモチャ。
実家で暮らすようになり、母から日々言葉を教えられて、かなり人間の言葉を話せるようになったチュン三郎。
むむの父親の事は、『父さん』
むむの母親の事は、『母さん』、
そしてむむの事は、ちゃんと『姉さん』と呼ぶまでに成長を遂げていました。
インコの鳴き声混じりに話す言葉って
めちゃくちゃ可愛いですよね!
そういえばチュン三郎は、ウトウトしてる時が一番独り言が多かった気がします。
何かで読んだ事があるのですが、インコは群れで生活をする生き物の為、人間社会で暮らす時には一生懸命練習して人間の言葉を覚えようとするんだそうです。
…確かに、チュン三郎も隣の部屋で過ごしている時は、壁の近くにいってずっとリビングから聞こえてくる母親達の会話を盗み聞きしては、『…プチュ…クチュン…』としきりに言っていたので、彼も必死に言葉を練習していたのかもしれません。
ちなみにメスはあまり言葉を覚えるのが得意ではないようで、単語程度の会話しかできないのに対して、オスは長文も話せるくらいおしゃべり上手な子が多いらしいです。
…どちらにせよ、インコは可愛い!
そんな風にむむの両親から溺愛されていたチュン三郎は、むむ母から沢山のオモチャを与えられていました。
そのオモチャは、ペットボトルのフタやお母さんが濡れても破れない折り紙で作った折り鶴や、ビーズの指輪。
あとは指人形くらいのサイズしかない小さなぬいぐるみ達です。
チュン三郎はいつもそれらをつっついたり、口でくわえて床に叩きつけたり、上から落としたりして遊んでいました。
そんなある日、
むむの携帯に
突然むむ母からのメールが。
内容は、
『チュンちゃんのオモチャがなくなったので、もし見つけたら持ってきて下さい。』
はて?
…チュンちゃんのオモチャ…?
そんなのウチにあるわけが
ないじゃん…
そう思って試しに
自分のカバンをガサゴソと探ってみると…
…ありました。
例の折り鶴です。
…もぉ~!
なんでむむのカバンに入ってるんだよ!?
面倒くさぁぁぁぁッ!!
この前実家にいった時に、
間違えて持ってきちゃったのかな?
そんな事を考えつつ、仕方なく実家までチュンちゃんのオモチャを届ける事に。
オモチャを渡すと
すぐに棚の上で遊びだすチュン三郎。
久々の折り鶴との再会が
とても嬉しかったのか、
やたらとハイテンションです。
「良かった。良かった。」
そう思ってむむが
一息つこうかと思ったその瞬間…
スポーン!!
あろうことかチュン三郎が、棚の上からむむのカバンめがけて、そのオモチャを投げている姿を発見したむむ。
しかもガサツなむむのカバンはいつも開きっぱなしのままなので、そのオモチャはカバンの中へと見事にホールインワン。
それを見つけたむむは大激怒!
「こらぁぁぁぁ!!どおりでカバンにオモチャが入ってるはずだよ!オモチャ入れられたらまた持ってこなきゃいけないから、こ~ゆ~のマジ辞めてくれる!?」
そう言ってむむがチュン三郎に詰め寄ると、チュン三郎は大きな声でこう言ったのです。
『…ソンナノ、分かってる!!』
…と。
「分かってないから言ってるんでしょうがぁぁぁぁぁッ!!」
いい年こいてこの時初めて、セキセイインコとガチ喧嘩をしたむむ山むむすけ。
…にしてもチュン三郎…
かなりしゃべれるように
なってるな…。
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