僕の名前は「九ちゃん」。


みんなで近くの動物園へ

遊びに行った時の事。


ウサギやモルモットや

ヤギさんやブタさんに触れる

ふれあいコーナーの中では

一羽の九官鳥が鳥カゴに入れられて

吊るされていました。


むむ達がその九官鳥のカゴの下に

並べてあったモルモット達を覗いていると、

突然…


「オハヨッ」


と声をかけられました。


振り向くと、その九官鳥が

こちらに向かって「オハヨッ」と

話しています。


「すご~い!」


驚いたむむ達は、

すぐさまその九官鳥の元へと集まりました。


見るとその九官鳥のカゴには


キュウちゃん』


と記されています。


(…九ちゃんっていうのかぁ…

しゃべれる鳥だなんてすごいナァ…)


そう思ったむむは、

その九官鳥に名前を聞いてみる事にしました。


「お名前はなんていうの?」


すると九ちゃんは少し首をかしげて

こう言ったのです。


『…モルちゃん…』


…と。


…え?

九ちゃんじゃないの…?


思わずザワつき始めるむむ達。


気を取り直してもう一度聞いてみました。


「お名前は?」


すると九ちゃんは確かにそう答えたのです。


『モルちゃん』


…と。


九ちゃんのカゴの下にはモルモットの入ったケージが並べてあります。


「それはモルモットの名前じゃないの?」


『………………………。』


九ちゃんは首をかしげています。


「名前は九ちゃんっていうんじゃないの?」


むむがそう尋ねると

九ちゃんは首をかしげたまま

こう答えたのです。



『九ちゃん…



…かねぇ~?』



…と。


…って何で疑問系!?


結局最後まで九ちゃんは

本当の名前を教えてはくれませんでした。


…ってか偽名を使う鳥なんて

生まれて初めて見たわ。

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