男だもの

花村こう

第1話 取り調べ

素直だな。


指紋、毛髪、凶器の所持。これだけの証拠をみせられて弁解の余地はありません。


動機は?


恋人を取られまして。


〇〇さんだな?


そうです。


記録を取るからいくつか教えてくれ。


はい。


ナイフで胸を刺し、首を切った。ナイフは持参したものか?


はい。


凶器は高級な包丁だったね。このために購入したもの?


はい。


わざわざ高価なもを?


切れ味が必要だと思ったので。


じゃあ最初から殺すつもりで彼の部屋に?


はい。


その割には指紋や毛髪と多く証拠が残っていたね。


ほとんど覚えいません。気が動転していました。


入ってすぐ殺さなかったのは?


友人だったので、躊躇はありました。


今でもその恋人のことを?


好きです。


わかった。今の話を踏まえていちから話すから間違いがあったら言ってくれ。


はい。


被害者は自室で胸と首に傷を負い倒れていた。死因は首を切られたための出血死、対して背中の傷は浅かった。このことから背中から刺したがその傷は浅く、弱った被害者の首を切ったとわかる。死後2日後、君の元恋人で当時は被害者の恋人の訪問で事件が発覚。現場に君の毛髪や指紋があったこと、近くの川から君の指紋と被害者の血の付いたナイフがみつかったことから我々警察は君の身柄を確保した。

だが取り調べの結果、犯人は君ではなかった。

真犯人は君たちが取り合った恋人かな?


はい?


君は殺すつもりで部屋へ行き刺殺したといった。被害者が背中を刺された位置だけどね、ほぼ急所で、ましてや男の力であの刃物で刺していたら即死なんだよね。背中からの傷だから抵抗があって浅くなったとは思えない。

女性なら納得だけど。。。

また操作から君を特定するのが簡単すぎた。発見まで2日もあったのに現場には指紋や君の痕跡が多すぎる。凶器も簡単に見つかったしね。


だから気が動転していて・・・


あと容疑者は部屋に入るなり迎え入れ、振り向いた彼をすぐ刺していると鑑識から報告があってさ。玄関にルミノール反応が出たんだよ。あっ血の跡のことだよ。真犯人は一応、血を拭き取っていたんだ。玄関で自分が踏んでしまい足跡が残った場所だけね。


・・・・・


女って狡猾で怖いよね。助けてって言われたのかい?


・・・・・


惚れた女に対しては、過ちから目をそらし、魅力だけが目に入る。君みたいな人がいるから男は馬鹿だって言われるのかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

男だもの 花村こう @koh_hanamura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ