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トルコのエルドアン首相がTVに映った時のことだ。
「この人って何の人だっけ」
と母が言った。
「トルコの大統領じゃね?なんかアメリカを見限ってロシアに寝返ったらしいよ。
いいのかどうかは知らないけど、相当な食わせモノなんじゃね?
少なくとも、安倍晋三よりは、よほど有能だと思うね。」
「いつまでもアメリカべったりじゃねぇー」
といったところで弟がはぁーあ、みたいな溜め息をつきやがった。
ネトウヨには俺達家族の安倍晋三批判が余程不快だったらしい。
ため息をつくなら働いてからにして欲しい。
そうすれば、誰もお前に文句は言わねぇよ。
労働者層は右翼にかぶれ、インテリは左翼に走る。
それはごく普通の傾向だと思うのだが、弟はそんな事は認めない。
いつだって、どこからか借りパクしてきた自分に理解可能なネットのなるべく簡単な理論を
テープレコーダーみたいに繰り返しているだけだ。
高卒プロレタリアートのネトウヨ弟が
俺様のような、大学で宗教学を専攻してた虚学系インテリゲンチヤのパヨクに何を言えるというのか。
俺がセネガル人や中国人やペルー人やドイツ人とお話して知った事は
ネットで知り得たものが全ての、弟の世界ではあってはならない都合の悪い事だらけだ。
今日も弟はTwitterで民進党を貶めるだけのセンテンスをつぶやいている。
弟は、老人世代を敵視している。
団塊世代も、就職氷河期世代も、女性も、ゆとり世代も全てが弟の憎悪と侮蔑の対象だ。
先日、父が仕事を探してきてやるから就職せいと言った。
弟は、船員の求人を探してるからアルバイトじゃないと困るとか、
まだそんな寝言をほざいている。
父の顔で雇って貰おうというのに、そんな舐めた態度で仕事されて辞められた日には父の顔に泥を塗ることになるのが弟には理解できないようだ。
そもそも弟には船員の求人など、もう来ないのだ。
弟はもう現実を受け入れられない状況に陥っている。
ここ一年、、弟は日曜日のサバゲも行かなくなった。
バイクでツーリングも行かなくなった。
部屋の外にまで、でかい機関銃とかヘルメットが鎮座しており、
外のバイクはヨレっとしてきている。
今日も弟はゲームしかしない。
ゲームするなら俺達の目に付かない場所で、死ぬまでゲームしてて欲しい。
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