総括
――コンテストに応募するための『面白い』作品づくりにおいて、
この詳細な説明はほぼ意味を成さないものである。
コンテストの「はじめに」から始まる一連のコンテスト概要と、「応募作品に期待しているテーマ・構成要素」という詳細な説明のテキストに目を通して、最終的に私の出した結論が上記のものでした。
といっても、詳細な説明の内容が無意味だと言っているわけではありません。
各編集部にヒアリングをした「求める作品像」というものは、実際に出版業務に携わっている編集者の皆様によって、最前線の現場から発せられた意見として、とても貴重なものだと思います。
ただ、募集要項の中に提示する方法として、もっと上手いやり方はなかったのでしょうか?
現状、『応募作品に期待しているテーマ・構成要素』として各部門に掲載されているものは、おそらく各編集部にアンケートを取ったものが、そのまま羅列されているのだと思います。
ですが、ここにひとつ大きな落とし穴がありまして、
「どの」レーベルの編集部から「どの」意見が出たのか、一切明記されていないのです。
この状態が、本来ならば貴重な意見であるはずの詳細説明を、参考にするべきなのか、頭を悩ませる文章にしてしまっている原因ではないでしょうか。
ここでは一例として『キャラクター文芸部門』に掲載された説明を引用させていただきます。
>専門業界や変わった職業などの知識・経験に基づき、その知識を活かした主人公やヒロインが活躍するビジネスライトノベルを募集します。
>文芸とエンタテインメント作品の中間にあるような、ライトノベル・エンタメ小説で取り扱われるよりも少し重厚で、社会的テーマなども取り入れた作品を求めています。
>読んだ後に「こんな青春を送ってみたい!」 or 「送りたかった!」と思える作品。登場するキャラクターが男女ともにリアリティのある造形で、身の回りの世界で起こり得る題材を扱った物語から、爽やかな読後感があって明日への希望を持てるような作品にも挑戦してみてください。主人公を一人に限定せず、群像劇なども歓迎です。
上記3点の意見、当然のような顔で連続して並んでいます。
明らかに矛盾した意見を並べて参考にしてくださいと、言われても……。
どうしろというのだ……。
という風に、ちょっと混乱してきませんでしたか?
ですが、もし、それぞれの意見の文末に、
(A編集部)(B編集部)(C編集部)と注釈がついていたら?
それぞれのレーベルが期待する作品像を明確に理解することができたのではないでしょうか?
そして、そのレーベルの作品を参考に購入して読んでみたり、レーベルの求める傾向と自分の書きたいものの合致を見出してみたりと、創作上、参考になることが、今よりも得られた可能性があるのではないでしょうか?
けれど、募集要項には意見だけが上がり、発言元は明かされていません。
では、何故それぞれの詳細説明の発言元が非公開なのか、という理由ですが、
私はそれを、カクヨム運営様の優しさと期待感なのではないか、と感じました。
1人でも多くの読者が楽しめる作品が必要とされているのは、商業出版として当然、必要なこと。しかし、商業的な今までの感覚にとらわれていては、未知の面白さには出会えない!
ここで挙がった意見の発言元を明記した場合、応募側が無用の固定観念に縛られてしまうのでは……?
そんな懸念を、運営様が抱くのは当然のことだと思います。
コンテスト概要の「はじめに」からは、応募作品のポテンシャルを信じる運営様の気持ちが、まるできらきらと輝くように、本当に切実なまでの期待感として伝わってきました。
しかし、だからこそ申し上げたいこの気持ち。
それだけカクヨムというwebサイトに集まるユーザーに期待しているのなら、こんな中途半端な詳細説明なんて付けて欲しくなかったんだぜ……と。
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