エッセイ：林檎さんのこと

能動的三分間〜だれかさんたちのため

りんごの季節ですね。

わたくしの郷里では、蜜の入った「ふじ」を大量に胃袋へ流し込む季節。

青森ではないのです。

ふぐすま。

はい。

林檎さんのインタビュー記事です。

林檎熱拡散隊の隊員の皆様には、すでに告知済みですね。

https://news.yahoo.co.jp/feature/825

ここで彼女はデビュー時からの、いやそれ以前からの作曲の姿勢を語っています。

優秀なプロのクリエイターとは、こんなものなのです。

いや、林檎さんという人は、こういう人なのです。

思えば。

彼女は小学生の時から、だれかのために曲を作り、演奏していました。

合唱や遊戯の時のピアノ伴奏。尺やテンポを考えて、みんなと合わせて。

十代には、目を患った友達にすてきな曲を作ってプレゼントしました。

「あおぞら」という曲。

聴かせたときに「ドリカムみたい」といわれたとか。笑

いや、全然違います。

ラテンをよく理解している、すごい才能を発揮した、とてもいい曲です。

わたしは衝撃を受けました。

tensai、という林檎さんに向けるには絶対絶対禁句の言葉が浮かびました。

１９９８年のデビュー時にはすでに広末さんなどに曲を提供していました。

なみいる百戦錬磨のライバルたちの中で、堂々と作りあげ、世に出しました。

ソロ活動では、お客さん（と彼女はよくいいます）のために作ります。

苦しみながら、身を削りながら、創造の快楽を味わっていました。

彼女のエンターティナ—としての姿勢。

みなさん、よくご存じのことと思います。

もちろん、東京事変でも、おんなじですよね。

おんなじです。

でも。

ちょっと違うのです。

〜解散だけは、自分のためでした〜

彼女はそういっています。

でも。でもね。

解散以外は、全部お客さんのためだったかというと……。

もちろん。

東京事変の活動は、ソロをやめたことでガックリきているファンのためであり、彼女自身のリハビリでもあり。

けれど、じつは。

事変のメンバーのためのプロジェクトでもありました。

渋谷陽一さんとか、内田正樹さんとかスゴいインタビュアーの前で、彼女は本音をポロリします。

いってました。

〜約２名のために頑張ってるのに、あいつらときたら〜

（注：わたしのエントリー「カリソメ乙女〜ちょっと特殊な曲？」参照を！）

「能動的三分間」は。

東京事変、再出発の門出。

ルフィーがギアを上げるときに叫ぶ合図そのもの。

彼女の渾身の一曲。

チャート１位をとり、みんなでムーンウォークをし、ウルトラＣという超絶パフォーマンスのツアーをやり遂げる、記念碑的な曲。

わたしの林檎熱が再発したきっかけの曲。

思えば。

事変の「SPORTS」には、たくさんあります。

浮雲さんやわっちさんの腕前がわかる曲が。

かれらのスゴさを示している曲が。

「生きる」詩：椎名林檎、曲：伊澤一葉

チマチマしていない大きなスケール。わっちさんの可能性を感じさせる曲。

「電波通信」詩：椎名林檎、曲：伊澤一葉

キャッチーな電子っぽい音楽。ＴＶのＣＭに流れていそう。

「シーズンサヨナラ」詩：浮雲、曲：浮雲

独特の感覚、独特の魅力。コードバッキングもアルペジオもすばらしいギター。

わっちさんのピアノもとてもいい（好きな曲だと迷わず演奏できる、といってました）。コーラスも最高ですね。さらっとした悲しみの曲。ああ。いい曲。

「FOUL」詩：浮雲、曲：浮雲

これも浮雲さんの独特の魅力を発散する曲。ロックもやるぜ。歪ませてもかっこいいぜ。ＪＰＯＰ以外のリスナーにもアピールします。

「雨天決行」詩：椎名林檎、曲：伊澤一葉

これもキャッチーです。ＣＭで使いたい！　わっちさんの曲はポップです。

「絶体絶命」詩：椎名林檎、曲：伊澤一葉＋椎名林檎

ポップ！　そして林檎さんが手助け！　なんとうらやましい！　わっちさん！

「FAIR」詞：椎名林檎、曲：浮雲

際立つ各楽器の良さと溶け合うアンサンブル。ギターも最高！　ローズピアノも最高！　この曲にハマる大人は多いと思われるジャジーな佳作。わたし一番好きです。

「乗り気」詩：椎名林檎、曲：伊澤一葉

これもキャッチーでポップ！　少女アイドルグループに歌ってほしい！

ピアノだけじゃないよ電子鍵盤も弾くよ、というようなわっちさん。

「スイートスポット」詩：椎名林檎、曲：伊澤一葉＋椎名林檎

またしても林檎さんの助太刀。この曲、ＴＶドラマで使ってほしいですよ！

「閃光少女」詩：椎名林檎、曲：亀田誠治

あ、師匠はどうでもいいでしょ、師匠は。もう売れてるんだから！笑

ドラムのハタさんもおんなじかな。

あのふたり。

彼らが事変に入る前、林檎さんはライブを聴きに行ったそうです。

その箱には、たった数名のお客さん。

でも林檎さんは、熱いまなざしで聴き入ったのです。

少女のころからちょっと姉御ハダだった林檎さん。

彼女には見えていたはずです。

彼らの輝く未来が。

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PS：最後の曲「極まる」を忘れていました。

詩：浮雲、曲：浮雲

SPORTSのなかで、一番好きな曲です。

わっちさんもこの曲が大好きだったそうで、クルマでのなかで延々と聴いていたそうです。その気持ち、ものすごく分かる気がします！

一番好きな曲は「FAIR」だと上で書きましたが、なんかね、次元が違うんです。

別の世界の曲のようです、「極まる」。

PS２：でも林檎さん。王道大好きなのは知ってるけど、ロレックス見せつけは、やめようよ。笑

あ、もしやダンナさんにもらったとか……。

なら大歓迎。