第32話 Finalize Find 行き止まり
「どういうことだ…サクラさん」
「はい…亜紀人 様には、御自分の誕生の経緯をご自分で、御理解される様にと…そのための資料は、このお部屋に準備させていただいております」
「なるほどね…」
「…彩矢子 様は、それが一番の方法だとおっしゃってました」
「違うよ…叔母は、自分でも理解し難い部分があるんだよ、でなければ僕を…僕達のセカンドモデルを造るさ」
「セカンドモデル…」
「そうさ、僕を連れ戻す必要は無いだろ?代わりがいれば」
「そうかもしれませんね…私には解りかねます」
「いいんだ…じゃあ、とりあえず資料から読んでみるよ…理解できればいいんだけどね」
「大丈夫ですよ、あなたは…失礼しました」
「いいよ…デザイナーズベビーの成功例なんだろ?」
「はい」
なにかあれば…と言い残しサクラは部屋から出て行った。
こう読め、と言わんばかりにキチッと整理されている。
プロジェクトの発端は『完全な人間』の姿であった。
男女の産み分けができるようになり、髪の色、瞳の色を選べるようになるまで20年以上掛かった。
DNAの解析は終わっても、倫理の観点から、その先の認可は降りない。
想像したのだ…神を。
不死を夢見たり、病を恐れる権力者と研究者の好奇心が結びついた。
デザイナーズベビーとして僕が産まれるまでは、想像以上に長い時間があり、そのぶん犠牲になった命があったということだ。
でも…神は産まれない。
さらなる年月を重ねるよりは、自らスペックを上げたほうが早いという、1人の科学者がデザイナーズベビープロジェクトを立ち上げた。
神を創造するための人間を造るという逆転の発想。
そう…彼らにとって、タマゴが先でもニワトリが先でもいいのだ。
必要なのは、より高次元へ進むための船。
そのプロジェクトは『
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