きっと忘れない
音奈
きっと忘れない
"きっと忘れない"
なんて自分勝手な言葉だろう。そんなこと言うぐらいなら、絶対忘れない、と約束してほしかった。
何も疑わずに、信じ続けられるような言葉だったら
「未央はいないの? 好きな人」
友人の声で、ハッと現実に戻った。私はどうも、考え込むと自分の世界に入ってしまう癖があるようだ。
私の返答を、ドキドキしたように待っている目が6つ。四人で食べるお弁当の時間の話題は、いつも変わらない。好きな人、気になる人、○○君がかっこよかった等々、毎日毎日同じ話ばっかりして、よく飽きないな、と思う。もちろん自分を含めて。
「いつも言ってる通り。私は好きな人なんてつくらないの!」
「あー、幼馴染の彼か」
「でもさ、『きっと忘れない、会いに来る』って言ってたからって、もう彼も忘れてるんじゃない?」
「新しい恋探したほうがいいと思うけどなー」
次々に批判される私の恋心。
確かに、幼馴染の彼とは、もう何年も会っていない。公園で、私にそのセリフを言ってきた日が、最後に会った日だ。
それでも、私は信じている。信じてる……はずだ。あの言葉が、もっと何も疑わずに、信じ続けられるような言葉だったら、私は。
もっと当たり前のように、いつまで彼のことを好きでいられるのに。
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