不思議の国のうさぎさん

くりまる

第1話

夏も終わりに近づき、肌に触れる風が心地よく感じるようになった。


内藤まどか 23歳 現在フリーター。公務員の彼氏がいる。家族もいる。友達もいる。得意な事は料理と裁縫。世間から見たら私はそれなりに幸せなんだろう。


彼(角田一馬)とは1年前から結婚を前提にお付き合いをしている。同じ高校に通っていた事、彼が私に惚れた事、私も彼を好きになった事。そんな有り触れた理由から2人の関係は始まった。

高校を卒業してすぐに私たちは就職をした。私は初めての社会でたくさんの荒波に揉まれ、気づいたら23歳。そんな中で所謂「パワハラ」と言うものに会い、5年間の戦いの末、現在就活中という今に至る。


就活中の私に放たれた彼からの一言

「俺公務員じゃん?まどかは無職ってさぁ、、公務員の彼女が無職って(笑)俺の気持ち考えたことあるわけ?(笑)」

その時私の頭は真っ白になってしまった。咄嗟に出た言葉は

「ごめん。」

あろう事か私は彼に依存していたのである。どんなに酷い事を言われようが、殴られようが私にはこの人しかいない。私を捨てないで。。!この時はそう思っていた。

「俺、まどかと結婚するつもりはないから。ごめん。無理」

この言葉を言われた時、別れていれば良かったのだが、私にはこの人を手放して、1になる勇気がなかったのだ。

私の選択、それは・・・

「自分の事を好きではない人を愛し続ける」

という事だ。一般的な目で見たら、馬鹿なの?そんな男といる時間が無駄。などなど色々言い分はあるだろう。けれど、私にとって誰がなんと言おうがこの男は1人の大切なパートナーなのだ。


これは23歳フリーター、最低男に依存した私の5年間の逆転物語である。


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