微エロなあんこ
空音ココロ
微エロなあんこ
「ナッツン、どら焼きってさ、ちょっとエッチな感じしない?」
「カオル、突然なに? どこがエッチなの?」
「あの円盤みたいな形がさ」
「円盤みたいな? あぁ、銅鑼の形だからねぇ。丸だよね」
「
「しないよ」
「それにさ」
「今度は何?」
「皮をめくるとか、ちょっとドキドキしない?」
「いや、まず皮だけめくらないし」
「二つに割って中身を出すとかさ」
「二つに割るかもしれないけど、中身は出さないよ」
「どら焼きってさ、男と女で言うとどっち?」
「意味わかんないwww」
「あんこを受け入れるって考えると女なんだけどさ、皮があんこを食べちゃってるわけじゃない。そうすると男じゃない?」
「どこからそう言う発想になるwww」
「端だけちょっと食べてさ、ちょっと強く持っちゃったりすると中に入ってるあんことか生クリームとか――(自主規制)」
「そんな強く持たないし、つか、なに握ってんのwww」
「皮を被ってるあんこもいつかは剥がされちゃうんだよ! だから男の子じゃない!?」
「言ってる事が全然理解できないwww」
「分かった。どら焼きを一つの性として考えたからいけないんだ。あんこと皮、それで男女になるんだ。あんこと皮、あんこと皮、うん」
「もうわかったから、あんこと皮ね」
「そう! あんこと皮、さっき皮についての話をしてたけどさ」
「うん」
「皮って『もちもち』と『ふわふわ』どっちがいい?」
「ん~、私はふわふわかな?」
「ふわふわって、まさに女の子の肌みたいじゃない!?」
「はっ?」
「『もちもち』と『ふわふわ』に更に『すべすべ』が混ざった手触りってたまらないじゃない?」
「何の話??」
「どら焼きの皮がさ、もしそれだったら皮は女の子な感じがするよね?」
「するよね? ってなに同意させようとしてるのよ」
「それに比べてあんこと来たら、真っ黒じゃないの」
「そりゃあんこだからね」
「ネットリとしてさ、絡みつくような濃厚な甘さじゃないですか」
「そう見えるだけで以外にさっぱりしてるかもよ」
「そうは言っても、お茶が欲しくなる甘さだよね」
「まぁそうかもしれないね」
「お茶! お茶が飲みたい!」
「あぁ、もう好き勝手言って……、ほら。お茶持ってきたよ」
「茶柱だ。縁起がいい! 立ってる。立ってるよ! ねぇ立ってる!」
「あぁ、もう! 立ってるうるさい!」
「どら焼きのあんこはさ」
「何? あんこに戻ったの?」
「あんこは男の子なんだよ。皮に包まれてナイーブなんだよ」
「はいはい、それで?」
「男の子を探す、皮をめくる瞬間ってちょっとドキドキしない?」
「しない」
「どんなあんこが入ってるのかな? ってさ。うぐいす餡も、ずんだ餡も、マロン餡だって、普通のあずき餡もさ、何が入ってるのかドキドキしない?」
「しない。買う時に分かってるから」
「いや、皮をめくる時の話」
「いやじゃなくて、まずさ、さっきも言ったけどさ、皮をめくらないから」
「包まれた男の子ってどちらかというと子どもだよね」
「まぁそうかもね、って何言わせてんの!」
「そうしたら皮はお母さん。皮がお母さんであんこが子供」
「お父さんは?」
「うぅ、それを聞いちゃうの? 聞くも涙、語るも涙の話なんだけど……」
「じゃあいいや」
「あっさりしてるね」
「しつこいの嫌いだからね」
「ところでさ、別に男と女じゃなくてもいいんだよね」
「は?」
「皮とあんこ、両方女でも、両方男でも良くない?」
「良くない」
「なんで? 仲いい友達みたいでさ。あんまりくっつくなよ、しょうがないだろ。ちょっとそんなところ触って比べないでよ! みたいな会話とかさ」
「良くない」
「だからなんでだって。友達なんじゃない! 別に皮とあんこ、どら焼きとして生まれた以上、別々には生きていけないのよ!」
「なに必死になってんのwww」
「離婚とか許されないし、もしメシマズの嫁や旦那に当たったらどうするのよ! それでも一生味わっていかなきゃいけないのよ」
「その例えは失礼だろwww」
「だからさ、女の子同士でもいいと思うんだよね。あんこを女の子として考えるとさ、皮に包まれてじっと待ってるって考えると健気じゃない? いろんな色に変わったりしてさ、おしゃれを楽しんでいるんだよ。可愛いじゃない?」
「そうね」
「だからナッツンはあんこなんだよ」
「どうしてそうなった」
「私はどらやきの皮でナッツンは私に丸め込まれてるの」
「包まれてるんじゃなかったの?」
「じっーと耐えてるけど皮に隠れて誰からも見えない」
「悲劇のヒロインね。それなら皮は悪者」
「それじゃあ手を取り合えないじゃない」
「でもあんこは恥ずかしがり屋だから、本当は外に出たくないんだ」
「いきなり設定増やしたな」
「だから皮がしっかり口を閉じて、周りの視線を警戒してシャットアウトするんだ」
「自作自演だね、一番怪しい視線は皮だから」
「でもある日、中のあんこが外の世界も見たいって言うんだよ」
「皮に嫌気がさしたんだね」
「だから、あなたのために一肌脱ぎましょうか? って」
「また飛躍したね」
「さぁ、手を取って。あんこはナッツン、皮は私だよ。ほら!」
「何言ってんの?」
「そう言っても手握ってくれるんだね。うれしい」
「手握ったくらいでなに?」
「まったくせっかちだねナッツンは」
「どこが? カオルははじけすぎなんだよ」
「ナッツンがどら焼きだったらいいのにな」
「言ってる意味がわからないwww」
「美味しくいただけるから」
「ねっとり絡みつく甘さ?」
「そうそう『もちもち』で『ふわふわ』で『すべすべ』なの」
「私は化けの皮くらいしか無いわよ」
「何自分で言ってるの。その皮剥いで美味しく召し上がってあげるから」
「ちょっと、何すんのよ、ちょっと、え、あ、もぅ、はぁ、ん、あぁ……」
「ナッツン甘い」
「もう、何言ってるのよ!」
「もうちょっとその『ふわふわ』を……」
「え、もう、しょうがないなぁ……」
「あぁ、まだまだ食べられる。ナッツンは別腹」
「お茶が欲しくなるんじゃなくて?」
「ナッツンまだそんなに熟成してないでしょ?」
「もぅ! 何それ?」
「さっきから、もうしか言って無いじゃない。そんなんだから美味しい所いっぱい残しちゃって……」
「ちょっと、え、あ、はぁ、ん、あぁ……、もう!腹八分目でしょ? そろそろお腹壊しちゃうよ?」
「大丈夫、まだまだいける」
「もう、これでまずいとか言ったら許さないからね。美味しかった?」
~ お し ま い ~
P.S.
「じゃあなに? あんこの美味しさについて語ればいいの? 私ピュアなんで、ピュアな美味しさしか語れませんけど?」
「ダウト!」
「仕方がないなぁ、じゃあ微エロなアンコについて……」
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