かわいいあの子
カゲトモ
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「くはぁぁぁああ」
秋特有の気持ちの良い風に吹かれながら大きく伸びをした。それから肺にたっぷりの酸素を送り込む。今度は身体中の空気を抜くように息を吐いた。
気持ちの良い天気だ。
昼間の空気は夜とは全く違う。清々しくて、どこか寂し気だ。
店のあるここら一帯は夜の飲食店が立ち並んでいるエリアで、夜は煌びやかで賑やかだが、空の明るい時間はひっそりと静まり返っている。ちなみに俺の店はそのエリアの端の方(しかも駅から遠い方)だ。
勝手口の鍵を閉めて、スマホと携帯、それからエコバックを持って道に出た。歩行者天国でもないのに、車一台通っていない。一見すると寂れた街並みの様。この時間にこの辺りにいる人は皆、準備や仕込みで来ている人だけだ。俺もその一人。
スマホを滑らして、メールをチェックする。歩きスマホを危ないと言うけれど、危ないと言うほど周りには何もない。
そのまま少し歩くと先の方で賑やかしい声が聞こえた。駅の近くには商店街があるのだ。
右手にパチンコ屋、左にミセスのブティックを通り、花屋と靴屋を過ぎて角の肉屋のコロッケの香りに腹を鳴らして歩く。さっき昼を食べて来たと言うのに、どうしてこうも揚げ物の香りを嗅ぐと腹が減るのだろう。帰りに寄って帰ろうか。
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