第112話(接触)

 扉の方に誰かが近づいてくる足音がする。

 中に人がいたようだ。

 だがこの状況ではこの中にいる人達を外に出ないようにしているように見える。


 部屋に打ち付けられた板、そして先ほどの“操作の樹”により操られていたであろうメイドたち、そして廊下と窓の外に走り回っていた四角い怪物。

 それもが部屋から外に出れないようにするための物といっても過言ではない。

 そこでシーナが、


「アキラ、いきなり扉を開けないで。中にいる人たちが私達に“友好”かどうかはわからないし、間違えて襲ってくるかもしれない。それと、その扉は私たち側に開くわ、距離を取った方が賢明ね」

「……そうだな」


 シーナにいわれたとおりに俺は、距離をとる。

 だが、中の足音も、扉の前で止まったままのようだ。

 そういえば先ほどから話し声が聞こえなかった。


 彼らも様子を見ているのかもしれない。

 だが今のシーナという名前で……いや、シーナという姫かどうかは彼らにもわからないか。

 そう俺が思っていると、


「私の名前はシーナ・スカイメソッド。“スカイメソッド国”の第一王女です。用があってこの城にお侵入いたしました。ご無礼をお許しください」


 そう宣言する。

 するとすぐに扉が開いた。

 中には鎧を身にまとった男性がいて、そんな人物たちに守られるようにして二人の身なりのいい男女が姿を現す。


「お久しぶりですシーナ姫。アウレッタ王です」

「アウレッタ王、お久しぶりです。ですが、今は積もる話よりも……私はしなければならないことがあります」

「それは、シーナ様の城があの“何者か”に占領されている、ということですか?」


 そこでアウレッタ王が俺達にそう告げる。

 シーナが目を大きく見開いて、


「どうしてご存じなのですか!?」

「それはシーナ様方が来る数時間前に、どうにか私たちの国にいた“何者か”を倒して、シーナ様の城が占領されていると聞き、娘たちと一緒にそちらに向かったはずです」

「娘たち?」

「はい、シーナ様の国の異世界人をお借りする関係上……シーナ様達に許可を取っていないのですか?」


 そう聞いた王が知らなかったというかのようにそういうが、シーナはすぐに、


「そのあたりのお話は後で。それでマサトはどちらに?」

「封鎖されていない方の道で、シーナ様の城の方に向かっているかと」

「そう、ではすぐに城の方に戻るわ。入れ違いになるとはね」


 そこで悔しそうにシーナが呟いたのだった。



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あとがき

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