第108話(探し物)

 使用人達の部屋に俺たちはやってきた。

 セレンが言うにはここの部屋から聞こえてくるらしい。

 だが反響してこの部屋は“うるさくて”分からないらしい。


 ちなみに大音量なため、セレンには部屋の外で敵が入り込んでこないか見張っていてもらうことに。

 もっとも、この階にいたあの黒い箱のような生物はすべて倒しておいたはずなため、新たに追加されることもないというか……ないと思いたい。

 そして俺たちは部屋の中をひっくり返すように音源を探すことにした。


 おそらくはあの村にあったような紫色の“操作の樹”があるのだろう。

 そう思って探してみるものの……問題が一つだけあることが発覚した。

 それはちょうどすぐそばの洋服を入れておくような箪笥の一つを開いたときにおこる。


 俺はそれを目撃した時すぐにしまった。


「見なかった、俺は何も見なかった……シーナ、ロゼッタ。俺、探すのはほかの場所でいいか」

「いいけれど、どうしたの?」


 不思議そうにシーナが聞いてきたが、すぐにロゼッタが、


「わかったわ。そのあたりはデリケートな問題だもの。シーナ、そっちを探す。昭はそちらの洋服を調べては? メイド服が大量にあるだけだったから」

「そうさせてもらう」


 ロゼッタにそう返すとシーナは、何よ……とぼやきながら俺の探していた場所を見て、すぐに何も言わなくなった。

 幾ら何でも無神経すぎるだろう、そこに俺が手を出すのは、と思いながらメイド服を探してみる。

 特に沢山の着替えがあるのみで見当たらない。


 どうやらこの中には無いようだ。

 ほかに探す場所はないか見てみるも、見える範囲には俺が触れそうな場所はない。

 それにシーナたちが調べたところも含めると、あれがありそうな場所はない……となると。


「もしここにあるなら、天井裏や壁に埋め込まれていたりするのか? さすがにそこまではないか」

「……天井や壁を軽くつついてみましょう。セレン、もし聞こえる音が少しでも変わったら言ってちょうだいね」


 そこで俺の言葉にロゼッタがそう言いだして、そばにあったモップで天井をたたいたり、シーナは壁をたたいていたので俺もたたいてみると、たまたまたたいた壁が、ぐっっと突然めり込んだ。

 俺は焦って手を引いた。

 そこにはちょうど、ここのカレンダーのようなものが貼られていた。

 

 俺はそのカレンダーに手を伸ばして、壁から外す。

 ピン一つで止められていて、それを引き抜き俺はカレンダーをめくったのだった。




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あとがき

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