第66話 姫としての行動
土の道をしばらく歩いていくと、完全に人がいなくなった。
次の村では怪奇な現象が出ているため人は近づかないらしい。
様子を見に行く人もいるにはいるが、やはり戻ってきてしまうそうだ。
「ここ最近、村の様子がおかしくなったか」
そう俺は呟きながら、先程町を出る時に購入したここ周辺の地図を見る。
測量がどの程度正確なのかに不安を覚える……だけではなく、海らしき場所に巨大なイカやら何やらの怪物が描かれている。
この地図を見た瞬間俺は、これは大丈夫なのかと不安に駆られたが、ここはファンタジーな世界なので気にしてはだめだと俺は思いなおした。
ちなみにこの大きなイカは港町の名物であるらしく、乾物にされたりして色々な場所に運ばれて売られているらしい。
そんな話を俺はシーナに説明された。
などと思い出しながら、俺は現在の場所と道、村を見ながら実際の縮尺だとどれくらいなのか、そして周辺の小国……マサトが向かったらしい小国エリス共和国と、ここ一体にある大きな城はどこなのかなどを見ていた。
そしてシーナの住んでいた城がどこなのか、今マサト達がいそうなのはどこなのかを確認する。
もともとこの世界について疎い俺はこれを見ながら幾つか説明をしてもらう。
そんなこんなで必要事項? らしいものは一通り聞いた俺。
また、ちょうど周りに人がいなそうなのもあるだろう。
ロゼッタが、
「そろそろ、情報交換と行きましょうか」
「分かったわ。そちらは何が聞きたいの? こちらは、ロゼッタ達が“彼”やあの謎の黒い箱物体に関して詳しいようだったから知りたいといったものだけれど」
「そうね、貴方の正体かしら。こちらも明かすうえで、そのあたりは知っておかないと困るもの」
「分かったわ。私の名前はシーナ・スカイメソッド。“スカイメソッド国”の第一王女です。初めまして」
ロゼッタの問いかけにあっさりと答えるシーナ。
それにロゼッタが、
「お姫様ならばもう少し大人しくしているものなのでは? 城下町などに一人で出てきて遊ぶのは、姫としての行動に問題がありますわ」
「……まるで誰かの受け売りのように私に言うのね」
「ええ。私もよく言われていますから。特にこのセレンには」
そう言ってちらりとセレンの方を見るロゼッタ。
セレンがびくと体を震わせてから、
「で、ですがロゼッタ様、貴方様は……」
「ええ、私は魔族の姫ですものね」
気軽にロゼッタはそう言ったのだった。
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