第56話 これくらいでないと
周辺に人がいた場合、黒い箱のあの怪物関係の話おしておいた方がいいのではと俺は提案した。
内部にいた時はそれどころではなかったが、地上に出てしまうとようやく一息つけたからかもしれない。
だから余裕もあってかそうシーナに聞くと、
「油断しすぎよ。気になるなら、個々の変の森に入る道の入口にいる監視員の冒険者に話しを聞くのが手っ取り早いと思うわ」
「そうか、そうだな」
「でも……人を探せるなら好都合ね。どの程度の距離を離れても遠隔操作や私達の様子を見れるのかは分からないけれど、近くにいるのかもしれないから。少なくとも洞窟内にいなかったし、今は魔物が多くてここの森の出入りは制限されているから人数が少ない」
そうシーナが言うのを聞きながら、確かにそちらの方を真っ先に考えるべきかもしれないと俺は思った。
思いながら俺は、
「それで接触した時にどうする? 戦闘になるかもしれないが」
「ここで捕まえて色々と情報をはかせるのもいいかもしれないわね」
などとシーナが笑うのを見て俺は怖いなと思った。
ただずっとどこからわからない敵の攻撃に備えるのも大変なので、今のうちに一撃加えておこうかという話になる。
寝込みを襲われるのも危険だからだ。
といった話をしてから俺達は、回りを見回す。
変わった木の葉や色をしたものが周りに生えている植物たちが支配する場所。
隠れる場所はいくらでもある。
大きな大人であっても少しかがんで足を折ってしまえば気づかれないような、そんな場所が幾つもある。
このどこかに隠れて、今度は彼自身の目で俺達を見ているのだろうか?
観察者が逆に観察されているような不気味な状況だと俺は思う。
けれど自分の優位をその敵の方は、疑っていないのかもしれない。
そう思いながら俺は“効率チート”を使う。
地図上の表記によってあらわされるそれを見ると、どうやら洞窟のある崖の上に誰かがいるらしい。
周囲の状況を見ても、他に人間であるような反応があるのは、入口の所にいた冒険者と俺たち位のものだ。
怪しい人物がそこにいるが、かといっていきなり攻撃するのはどうかと俺は考えていると、
「“氷の矢”」
突如シーナが魔法を使う。
しかもロゼッタやセレンもだ。
目標となる場所は俺が見つけたその場所。
次々と氷の矢を打ち付けるその様子を見て俺は、これぐらいでないとこの世界では生き抜けないかと思った。
そこで、氷の魔法を防ぐような壁のようなものが幾つも現れたのだった。
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