第24話 次の日

 その日の夜。

 一つの部屋にて、シーナと俺は眠った。

 特に何もなかった。


 俺も何もしなかったしな。

 そして次の日、朝目を覚ますとシーナの顔が目の前にあった。


「……残念、起こそうと思ったのに目を覚ましてしまったわ」

「え~、どのように起こされる予定だったのでしょうか」

「そうね、寝ている内に『貴方は私の下僕になる』と囁こうかと思っていたけれど、残念だわ」

「……」

「さあ、早く起きて朝食を食べましょう。できるだけ沢山食べたほうがいいわ……戻ってこないと聞いている範囲では、私達もしばらく戻れないかもしれない……ああ、異世界人であるアキラはそこまで食事は必要なかったから、私が頑張ればいいわね」


 シーナがそういうのを聞きながら、でも食事をしている感覚はあるんだよな、というかそんな耳元で囁いて洗脳とか、美少女の下僕は二次元で見るならまだしも三次元ではちょっと……と俺は思ったのだった。









 朝食は、バイキングのお店に行くことになった。

 朝からバイキングとなると武器を持っているので冒険者らしき人物が多いようだ。

 次々に山盛りになっている食べ物を運ぶ筋肉隆々の男たちを見送りながら俺は、あれくらい食べればあんな体つきになるのだろうか、とか、プロテインとか、昔体を鍛えるあのダンベルとかのセットが欲しかったといった記憶が脳裏に流れ、すぐに別の事を思い出した。


「シーナ、俺はギルドか何かに登録しなくていいのか? ああいった森に入るのにも身分証代わりに必要っていったものはないのか? 魔物もいるようだし」

「登録はいずれするわ。そして目的の“東の森”は私が知っている範囲ではギルドカードは必要なかったはず。……私のカードは急いでいたのもあるけれど壊されてしまったけれど、貴方のカードが一枚でもあればそこには入れるわ。でも、マサトの情報を先に手に入れたからカードを手に入れる前に行ってしまおうと思ったの」


 シーナがそう俺に説明してくれた。

 確かにそういった情報が手に入って、その人物が今危機的な状況に陥っているならカードをとりに行っている所ではない。

 そう俺が思っているとそこで俺たちの横を通り過ぎようとしていた冒険者らしいおじさんが、


「お嬢ちゃんたち、“東の森”にいくのか?」

「はい、そうですが……」

「あそこは今、ギルドカードがないとは入れないぞ。魔物が多くて危険になったから」


 そう、その冒険者のおじさんは教えてくれたのだった。

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