第10話 探し人は異世界人

 とりあえずそれらの話を聞きながら俺は、


「それで、手伝って欲しいというのは何を手伝って欲しいんだ?」


 そう聞くとシーナは少し黙ってから、


「ある人物を探して欲しいの。貴方と同じ異世界人よ」

「? 俺と同じ異世界人か。どんな人なんだろうな」

「……普通、かしら。あとお人よしではあるわね。ただ能力が戦闘にはあまり扱えないから、他の異世界人やうちの城の軍人には快く思われていなくて、城下町に住んでいるのよね。おかげで、今回の騒動の影響を受けなかったのは幸運なのか不運なのか……」

「その人の能力はどんな能力なんだ?」

「人の意識に作用する能力ね。だから洗脳の解除などにも使えたり、後は自分の見てきた光景を見せたりしていたかな。私も結構楽しませてもらったわ」

「そうなのか。でも戦闘には使えない?」

「幻影などだけじゃね。しかも彼、魔法を覚えるのが苦手だったらしくて、そのせいで城では厄介者扱い。とりあえず援助を受けて街で普通に、異世界の演劇?などを見せて、生活していたみたいね。あとは魔道具を使って一応は攻撃もできるようにしていたから、ちょっとした魔物の討伐もしていたのよね」


 とのことだった。

 しかしその人物、


「シーナはずいぶん好意的な気がするけれど」

「異世界のものを見るのは楽しかったから。そのおかげで彼が今城下町にはいないってわかっているのよね」

「そうなのか?」

「ええ、私に連絡してからだけれど、何でも可愛い女の子の頼みに断れなかったらしいわ」

「……そうか」

「それで誤魔化してあげるけれど、人がいいのはほどほどにねって話したのだけれど……まさかこんな事になるなんてね。しかも彼があちら側に渡ったら、私達の方は終わりだから、彼らよりも早く探さないと」


 切羽詰まったように呟くシーナ。

 それを聞きながら俺は、


「その人物を探せばいいのか。でも戦闘関係は俺は分からないんだが」

「さっきのあの魔法だけで十分よ。どんなチートだったかしら」

「“効率チート”」

「“効率チート”ね。また変わったものが来たわね」

「でも俺はこれがよく分からないんだ」

「杖の能力増幅と書いてあったはず……ああ、魔法についての説明から必要なのね。わかったわ、そこから私が説明してあげる」


 そうシーナが俺に、言ったのだった。

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