Q:何のチートが欲しいですか? A:効率チートが欲しいです~最強チートを手に入れて、女の子と一緒に異世界旅行無双~

ラズベリーパイ

第1話(異世界転移は突然に)

 九月に入って暑さが和らぐということもなく、そんな暑いある日、俺、定木瑛(さだきあきら)16歳は、アイスを買い食いしながら帰ってきていた。

 ソーダ味のこのアイス。

 あたりが出たらもう一本だから出ないだろうか、といったような事を考えつつ、外れを引いてしまった。


 当たった試しがないので、よくあることと片付け、特に不安すらなく俺はそのままどこかにゴミ箱はないのかと周りを見回した。

 黒々としたアスファルトと住宅街が広がるそんな道で、ごみ箱の“ご”の字も見つからない。

 そこで俺は、突如足元に開いた謎の丸い穴に落ちた。


「え?」


 すぐに俺が元居た昼間の光に満たされた光景が円の形になり……やがて点になり見えなくなる。

 あたりは暗闇に満たされて何も見えない。

 一体何が起こっているんだ、は! もしや。


「これは異世界に転移しているのでは!」

『正解でーす』

「いや、そんな答えはいらないので、俺を元の世界に戻してくれ! 読みかけのラノベが今、クライマックスなんだ!」


 そう、昨日夜遅くまでラノベを読んでいた俺は母に気づかれ電気を消され、結局今日は学校もあったがために一度も続きが読めていない。

 続きが気になって堪らなかったのに、と思っていると、


『でもこれから待っているのはファンタジーラノベの世界を身近に感じられる場所だよ。ぜひおススメ』

「いや、帰してくださいお願いします。ネットに繋がらない世界は絶対に行きたくないです」

『うーん、こちらと君達のいた世界の“時間軸”がちょっと違うから修正は必要だけれど、それでよければネットを繋げられるようにするよ!』

「では、資金は、資金はどうなっているんですか!?」


 いきなり資金ゼロからの異世界転移はさすがにきつい。

 説明してくれる人もいないだろうし援助も得られないのは大変だ。

 そう俺が言うと、


『ではサービスの一万ゴールドから~』

「それで、一体俺に何をやらせる気ですか」


 声が聞こえたので、一番初めに聞くべきことを俺は今更ながら聞くと、


『……』

「沈黙した。地雷の匂いしかしない。これはもう帰るしか……」

『あ、それはもう無理なので、次の好きなボタンから特殊能力(チート)を選んでください。押すとランダムで三つ能力が現れるので、その中から好きなものを一つどうぞ。でないとこっちで適当に選ぶ事になりますが』


 などと謎の声が聞こえた。

 そして俺はどうするか、考え始めたのだった。

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