第364話「今年最後のバカップル」
「安藤くん、ここがコミケ会場なのね!」
「うん、正確にはコミケ会場のある国際展示場駅だけどね? コミケ会場まではこの駅から徒歩で五分から十分くらい歩く必要があるみたいだね」
「でも、ここまで広い駅だと何処に行けばいいのか分からなくなっちゃいそうね?」
「そうだね。特に俺と朝倉さんは初のコミケだから迷わないように――」
『コミケは走らないでくださーい! 走っていいのは円盤のマラソンだけですよー!』
「「「「あばばばば……」」」」 ぞろぞろ…… ← コミケに向かう人の行列
「…………」
「…………」
((あ、この行列について行けば大丈夫な気がする……))
「それにしても、コミケって本当に沢山の人が来ているのね?」
「そうだね。スタッフさんの案内を聞いている限りだと、30分くらいは列で並んでないと会場内には入れなさそうだね」
(コミケと言ったらラノベの絵師さんが多く参加している以上、俺や朝倉さんみたいなラノベ好きとしては『一度は行ってみたいよね』という感じで今回の冬コミに初参加したわけだけど……今回は初参加だし始発は諦めて昼から来ることにして正解だったな……)
「到着はお昼からにしても電車の移動距離とかあるから早めに待ち合わせしてきたのに、既にこれだけの人がいるなんて……そりゃあ、皆始発とかで来るわけだよね」
「でも、始発とかで来ている人はこの寒さの中で何時間も列に並んで待たなきゃいけないわけだから大変よね」
「朝倉さんは大丈夫? そんなに着込んでいるようには見えないけど……寒くない?」
「え、ええ……コミケの会場内は冬で暑いって聞いたからそこまで着こまなかったのだけど……やっぱり、屋外は冬なだけあって少し寒いわね」
(うぅ~、安藤くんとのデートだからってオシャレに気を使っていたら防寒対策が少しおろそかになっちゃったわ……) スカァ~ン…… ← 冷たい風の音です
「そうだね。会場内は暑いって聞くけど外は寒いから、できればコミケの服装は何枚か重ね着して脱いだり来たりできる方が良かったかもね」
(まぁ、そんな俺もコミケは初めてだから知識はネットで調べた物なんだけどね。でも、このまま少し並ぶなら、朝倉さんが寒さで体調を崩すかもしれないな……)
「朝倉さん、良ければ俺の上着を着てよ」
「え! そんなことしたら、安藤くんが寒くないかしら?」
「でも、俺としては朝倉さんをそのままにはしておけないよ」
「あ、安藤きゅん……」
「えっと、だから……良かったら手だけでも繋いでてくれないかな?」
「それだけでいいの? でも、上着がないと流石に安藤くんも寒いんじゃ……」
「大丈夫だよ。だって、俺は……こうやって手を握って朝倉さんを感じられているだけで十分に心が暖かいからね?」
(なんて……ちょっと、カッコつけすぎたかな? でも、少しくらいは俺でも朝倉さんにいい所は見せたいしな……)
「あ、安藤くん……っ!」 うるる! ← 感動で朝倉さんの胸が膨らむ音(錯覚)
(ムキャァアアアアアアアアアアア~ッ! 安藤くんってば、なんてカッコいいの! それに、クリスマスから安藤くんもなんか積極的になってくれた気がするし……ウフフ♪
私達、ラブラブね!)
『コミケではイチャつかないでください~。違う意味で死人がでますよぉ~』
「「「「うぜぇ……」」」」」
((((コミケでイチャ付いてんじゃねえぞ! このバカップルが!!))))
【あとがき】
「皆、いつも応援してくれてありがとう。委員長よ♪
コミケに行く人は気を付けて行って来てね? 特に初参加の人は体調にはくれぐれも注意するのよ?
じゃあ、今年最後の『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。
皆、出す手は決まったかしら? わたしはもちろん決まっているわ♪
因みに、最後は『グー』な気分で終わりたいと思わないかしら?
ペタペタ・ペタりん♪
じゃん・けん・ポン♪」
グ…… ← フェイント
【グー】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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