第311話「バイトしようぜ!」
『プレゼントって言うのは【気持ちもこもった価値のある物】が一番喜ばれるのよ!』
(確かに、委員長のあの言葉には一理あると俺は思う。
朝倉さんの誕生日がクリスマスイブと被っている以上、プレゼントを二つにするかまとめるかも大きな問題だろう。しかし、そもそも女性へのプレゼントなんて何を選んだらいいかも分からない俺に二種類のプレゼントを選ぼうというのが無理な話でもある。
なら、必然的に俺が選ぶべき選択肢はプレゼントを一つにまとめるという選択肢!
そこで、手を抜いたとならないようにそれ相応の『価値があるもの』をプレゼントにするのは確かにいい方法だ……。
しかし、それには大きな問題が一つ立ちはだかるのである。
それは、ずばり――)
「お金が無い!!」
(そう! 俺は現在超金欠中なのだ! 理由はどっかのメロンさんに『超大盛特大メロンパフェ』とかを奢らされたりしたのもあるが……)
「朝倉さんとのデート予算も必要だろうし……それに、十二月が終わったら次は正月……どうせ正月もいろいろ何処か行く羽目になると考えたら……予算が圧倒的に足りない!」
(予想できる出費だけでも、ラノベ代にクリスマスイブのデート代に、プレゼント代、そして、ラノベ代に年末年始の朝倉さんとのデート代に、正月もなんやかんやで会うと考えたら……予算がマジでなくなってしまう!)
「――というわけで、お兄ちゃんバイトしようと思うんだ」
「いや、どういうわけかにゃ!? てか、お兄ちゃんがバイト!?」
(お兄ちゃんてば、家に帰るなりいきなり『お金が無い!!』なんて叫ぶからついに『ギャンブルに手を出して失敗したのかにゃ?』とか思ったけど、さっきからブツブツ言ってた独り言を聞くにどうやらサクラお義姉ちゃんのプレゼント代が無いって話かにゃ?)
「でも、お兄ちゃんなんかにできるバイトってあるの……?」
「おい、妹よ。お兄ちゃんはこれでも学校で『生徒会長』をしているんだぞ? そんなお兄ちゃんにたかがアルバイトごときできないとでも思っているのか?」
「でも……お兄ちゃんって、生徒会じゃ全然働いてないよね……?」
「いや、働いたら負けかな? って……」
「それ、仮にも『生徒会長』やっている人がしちゃダメな発言だよね!?」
「妹よ。違うんだ! ほら、生徒会の仕事は何と言うか……義務? つまり、俺が自らやりたい! と思ってやっているわけじゃないだろ?」
「それも十分に問題発言なんだよなぁ……」
「だけど、今回のアルバイトは違う! これは朝倉さんのプレゼントを買うために俺が自分から始めることなんだから『出来ない』なんてことは言わないで頑張るさ!」
「流石、お兄ちゃん! じゃあ、私もお兄ちゃんのアルバイト応援するよ♪」
(最初にお兄ちゃんがアルバイトするって言った時は、あの人付き合いとか壊滅的なお兄ちゃんにアルバイトなんてできるのかにゃ? って、心配だったけど、これなら大丈――)
「というわけで妹よ! 楽して稼げるバイトって何があると思う?」
(全然大丈夫じゃなかった!?)
「いやいや、お兄ちゃん……さっき『頑張る』って言ったばかりだよね?」
「ああ、だからなるべく楽なバイトを探すのを『頑張ろう』ってな?」
(頑張るところが違うんだよにゃぁ……)
「そもそも、サクラお義姉ちゃんの誕生日まで時間も無いんだから『楽して稼げるバイト』なんて探してないで、そこら辺のお店に片っ端から応募したらどうなのかにゃ!?」
「妹よ。分かっていないな……」 ボッチッチッ ← 指を左右に振る安藤くん
「……お兄ちゃん『分かってない』ってどういうこと?」
「いいか? お前の言う通り、確かに朝倉さんの誕生日には時間がない……だからこそ、普通のバイトではダメなんだ! 何故なら、普通のバイトを今からしても給料日が間に合わないからな!」
(だって、今からバイトを始めても給料もらえるのって来月だろ? こっちとしては年末までには資金が欲しいから、日割りとか半月で給料がもらえるアルバイトを探したいんだよな……)
「それに、俺の場合は生徒会もあるからバイトできるとしても生徒会の仕事が忙しくなる三月くらいまでなんだよなぁ……」
「あ、そうか……。それに、お兄ちゃんも来年は受験生だもんね」
「だからこそ、いろいろ融通がきいてあわよくば楽して稼げるバイトがいいんだよ」
「うん……うん? なんか納得しそうになったけど、結局お兄ちゃんが楽をしたいのは変わんないんだね……」
(でも、こんなお兄ちゃんでもできるアルバイトなんて本当にあるのかにゃ?)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
安藤くんてば本当にバイト先を見つけることができるのかしらね?
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「生徒会のクリスマス事情」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
グーかな?
また、グーかも?
やっぱり、グーじゃない?
きっと、グーだったりして……
もしかしたら、今日は『グー』を出すかもしれないわよ……?
【パー】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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