第300話「この世の果てで歌を踊る美少女」


『さぁ、長かったミスコンもついに最終審査を残すのみとなりました! 最後の審査をクリアしミスコンの栄光に輝くのは誰なのか!? その運命を制する最終審査は――、

 美少女は歌に合わせて踊れるのも当たり前!

 名付けて【この世の果てで歌を踊る美少女】ダンス対決です!』


「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!」」」


『今から課題曲として【君が代リミックスバージョン】を流します。参加者の皆さんはその音楽に合わせて創作ダンスを披露してください♪』


「…………」 ぷるぷる


(何それぇええええええええええ!? 【君が代リミックスバージョン】って何!? てか、当たり前のように創作ダンスとか言っているけど、そんなの簡単にできるの!?)


「わぁー【君が代リミックスバージョン】懐かしいねー。確か、一年の体育のダンスの授業で踊ったなー」

「桃井先輩も踊ったんですか? 実は私も今の体育がこのダンスの授業なんですよ」

「妹ちゃんはちょうど、今習っているんだねー? じゃあ、有利だー!」

「でも、桃井先輩だって去年授業受けているんじゃないですか~?」

「えへへ、そうだねー♪」

「だから、この曲なんでしょうね。女子なら体育でこの曲は聞いてますし、ダンスも授業で習いますから」

「…………」 ぷるぷる


(男子なのでダンスの授業習ってませんけどぉおおおおおおおおおおお! そうか、女子は体育でダンスの授業があるのか。だから、ダンスと……しかし、俺はダンスなんて未経験だぞ!? さて、どうするか……)


『では行きます! 音楽~♪ スタート!』


【君が代リミックスバージョン】~♪


「…………」ぷるぷる


(仕方ない。ここは俺が唯一踊れるダンス……『ハゲハゲユカイ』でも踊って誤魔化そう)



「吉田! 俺、ダンスとかよく分からないけど、一体どれが上手いダンス何だ!?」

「ウェーイ!」

「そ、そうだな……とりあえず、一番派手なのが凄いんじゃないか?」

「なるほどな! 流石は吉田! 頭が派手なだけあるぜ!」

「ハゲェーイ!」

「おい、テメェら! それは一体どういう意味だ!? て、てか、俺はハゲてねぇからな!」


(しかし、なんだろう? あの謎の美少女が踊っているダンスがどうにも俺が好きなアニメのED曲のダンスのようにしか……)


『最終審査の即興ダンス! 特に注目が高いのはこの二人だぁあああああああああ!』


「なんだか皆の前で踊るのって恥ずかしいよねー♪」 メロン~♪ ←メロンが揺れる音

「…………」 ぷるぷる~♪ ←偽メロンが揺れる音 


(やべぇ! もしかして、この位置って特等席なのでは!? 真横で巨大メロンが見放題とか俺得――ん? なんか、胸に違和感が……)


「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!」」」


『いやぁ~、男子の反応って何でこんなにも愚かなんですかねぇ~? 会場の男子の視線を二人の無駄乳が集めに集めています!』


「もぉー! 皆、エッチなのはメッ! だからねー?」メロン~♪ ←メロンが揺れる音

「…………」 ぷるぷる……


『おおっと! ここで謎の美少女Aさんが男子の視線に耐え切れずダンスを止めてしゃがみ込んでしまったぁあああああ!』


「…………」 ぷるぷる……


(やべぇええええええええ! 踊った所為でペッタンコ大佐姉ヶ崎先輩がセットしてくれた五重層型胸パッドがズレ落ちたぁああああああああああああああ!

 こ、このままだと、胸パッドごと女装がバレるかも……)



「安藤くん、急にダンスを止めちゃったけど……どうしたのかしら?」

「センパイ、早くダンスを再開しないとミスコン勝てませんよぉ~!」

「ヤバいですわね……。多分ですけど、あれは安藤くんの胸パッドが外れて動くに動けないんですわ」


「「え!?」」


「幸いなことに会場の皆さんはまだ気づいていないみたいですわね」


(わたくしですから、安藤の胸パッドがズレたことに気づきましたが……)


「しかし、このままパッドが外れた状態でダンスを続行するのは不可能ですわね」

「お姉ちゃん! でも、このままじゃ――」

「最悪、安藤くんの女装がバレてミスコン優勝どころじゃないわね……」


「「「…………」」」


(((それは流石にマズい……)))


「せ、センパイ……」


『文化祭のミスコンに関しては今回姉ヶ崎妹に全部任せているんだよ。なのに、途中でトラブルが起きたから『お前には無理だ』って勝手に決めつけるのは……

 その方が『無責任』だし、何より姉ヶ崎妹に失礼だろ?』


(そう、センパイはアタシに任せてくれた……。

 だったら、アタシが何とかしないとダメじゃん! 考えろ……。こういう時、センパイだったら、どうするか? 考えて考えて――よし!)


「委員長センパイ、ここで会場の皆を思いっきり罵ってください!」

「え、姉ヶ崎さん!? そんなことしたら余計に注目を浴びるんじゃないかしら?」

「そうですわ! それに、そんなことしてもダンスの審査には影響しませんわよ?」

「そんなの百も承知ですぅ~! でも、お姉ちゃんも委員長センパイも何か忘れてませんかぁ~? このミスコンの審査はあくまで一種のアピールであって最終審査は会場のお客さんの投票で決まるんですよぉ~?

 つ・ま・り! 客席の心をつかめばいいんですキャピ!



『さぁ、最後のダンス審査もここで終了です! 後は観客の皆さんにどの女の子が一番魅力的だったかの投票でミスコン優勝者を決めたいと思います!

 では、最後に各参加者から一言もらってきましょう♪』


「…………」 ぷるぷる


(くそぅ……結局、ズレた胸パッドを抑えなきゃいけない所為で最後まで踊れなかった。こんなので優勝とかできるのか……?)


『では、最後に謎の美少女Aさんから一言もらって投票を始めたいと思います♪

 謎の美少女Aさん、結局、最後まで名前教えてくれませんでしたね? メガネちゃんめっちゃ司会しにくかったですが、そこんところどうでしょうか?』


「…………」 ぷるぷる


(それ、一言って言うか……最後に不満をぶつけているだけじゃない? まぁ、とにかく……委員長、これが最後のチャンスなんだから頼むぞ?)


『そうね。正直、最後のダンスは会場の醜い豚の視線が気持ち悪くて仕方なかったわ』


(委員長ぉおおおおおおおお! お前、まだその毒舌キャラでいくつもりなのぉおおおお!? ちょっと、最後くらいサービスしてもいいんじゃないですかね!)


「おい、吉田。やっぱり、あれを擁護するのはちょっと厳しくないか?」

「ウェーイ?」

「フッ、お前らはバカだなぁ……。アレも照れ隠しに決まっているだろ? ほら、耳を澄ませばあの子の内面の優しい本音が聞こえてくるはずだ……」


『ふぇええええ! またまた酷いこと言ってごめんなさいですぅうう! でも、皆に見られてると思うと恥ずかしくて……そんなにおっぱいばっかり見ないでほしいですぅうううううううう~!』 ←幻聴です


「「「ブッヒィイイイイイイイイイイイイ!」」」


「……な?」

「沢渡、聞こえるかー?」

「ウェーイ?」


「…………」 ぷるぷる


(……何でこのコメントで一部の観客は盛り上がっているんだ? しかし、こんな毒舌キャラで盛り上がるのは一部のバカだけだぞ……優勝を目指すならもっと多くを味方につけないと――)


『で、でも……こんなわたしでも……応援してくれたら……嬉しいわ……』


「「「…………え?」」」


「あ、あれ……? 吉田、俺もなんか聞こえた気がするかも?」

「う、ウェーイ……」

「……だろ?」


『と、というか! 応援しなきゃ許さないんだからね! わたしの胸によこしまな視線をぶつけた罰よ! 責任を持ってわたしに投票しなさい! もし、投票しなかったら……ぶ、豚どころじゃすまないくらいに罵ってあげるんだからね!』


「「「「「ぶ、ブヒィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」」」」」



「えっと……姉ヶ崎さん。カンペ通りに読んだけど、これで良かったのかしら?」

「い、妹……? 何であの男子達は罵られて喜んでいますの……?」

「 つまり、ギャップ萌えで・す・よキャピ!


(最初は内気な毒舌キャラで強い印象を与えて、最後の最後に少しだけデレみせれば……毒舌キャラがただの強がりだと勝手に勘違いしちゃうんだからねぇ~?)


「男の子って本当におバカさんキャピ!




 この後、圧倒的な差で謎の美少女Aがミスコンに優勝した。






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪

 この学校の男子は、もう手遅れかもしれないわね……。

 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「後夜祭」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 グーかな?



    また、グーかも?



やっぱり、グーじゃない?




         きっと、グーだったりして……

















 もしかしたら『チョキ』を出すかもしれないわよ……?


















【グー!】


「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」


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