第294話「お化け屋敷」
「それで、姉ヶ崎妹。お前は俺を何処に連れていくつもりなの?」
「アタシのクラスの出し物ですよぉ~! なんか、ウチのクラスってお化け屋敷をやっているみたいなんですけどぉー? アタシが生徒会で忙しかったせいでどんな出来なのかまだ見てないんですよねぇ~
「なら、一人で見に行けばいいじゃん……」
「センパイてば、そんなの恐くて一人で行けるわけないじゃないですかぁ~
「恐いねぇ……」
(夜中の校舎でドッキリ仕掛けた奴がよく言うよ……」
「あ! センパイ、あそこのクラスですよ
「ん、ちょうど誰か出て来たな……って、あれは――」
「ハッハッハ……ここ、この程度のお化け屋敷……ぼぼ、ボクからしたらほんの子供騙しに……すす、すぎない……ね
「でしたら、坊ちゃま。この早坂の腕にしがみつくのをやめてはいただけませんか? 最初は少し嬉しくても終始、引っ付かれては流石の早坂もうんざりしますので」
「ハッハッハ! ミス早坂、キミは一体何を言っているの……かな
これは早坂の方が最初に……」
『きゃー、坊ちゃま。この早坂恐いのは苦手なのですー』 ←棒読み
「――って、言ってしがみついて来たんじゃないか……な
「まさか、その後にマジトーンの絶叫を上げた坊ちゃまにしがみつかれるのは、この早坂も予想外でした。あと、坊ちゃま。お足がガクガク震えていますが……?」
(白銀と早坂さんか。そういえば二人には招待券を渡したって朝倉さんが言っていたな)
「おお! そこにいるのはボクのマイベストフレンド! 安藤ではないか! 今日は友人からの招待ということでわざわざ、このボク自ら足を運んできたのさ
なぁーに、気を使う必要はないからね? だって、ボク達は『親友』じゃないか……ね
「お久しぶりです。今日は坊ちゃまをご招待いただきありがとうございます」
「いや……別に、招待したのは俺じゃないんで……」
「ハッハッハ! マイベストフレンド、そんなに恥ずかしがらなくても……いいんだよ
「アハハ! 北高の生徒会長ってホントにマジでうっとおしいですよねぇ~
「姉ヶ崎妹にまで言われるとか……終わりだな」
「センパーイ! ちょっと、それどういう意味ですかー!?」
(別にアタシ、この北高の生徒会長ほどはウザくないですからねぇー!?)
「それで、結構ウチの文化祭は楽しんでいるみたいだけど……どう?」
「ハッハッハ! 庶民の暇つぶしとしては最高のショーだね
「実に素晴らしい文化祭だね! ――っと、坊ちゃまはおっしゃっております」
「中でも特に『ケバブ』あれは珍味だね! あれだけでも世界の広さをボクは味わった気分……さ
「中でも『ケバブ』は坊ちゃまも大変気に入ったみたいで、食べた後に出店の在庫全部を買い占めようとしたほどです。流石に迷惑になると思ったので、二十人分のケバブをお持ち帰りすることで、坊ちゃまを納得させましたが……」
((それでも、二十人分はお持ち帰りしたんだ……))
「では、ミスター安藤。ボクもできればキミとは多くを語り合いたいのだがね。あいにくなことにこのボクにも予定というものが立て込んでいるのは積もる話はまた後日にしようじゃないか……ね
「まだ文化祭を見て回りたいから話は今度にしようと、坊ちゃまはおっしゃっております」
「おう、もう来なくていいぞぉ~」
「ハッハッハ! ミスター安藤。そんな照れ隠しは止めたまえ、ボクとキミの仲じゃないか……ね
「うぜぇ……」
「では、私どもはこの辺で失礼します」
(なんだかんだ言ってたけど……よくよく考えたらさっきの白銀のセリフって『まだ文化祭を回りたい』というよりは『早坂さんと一緒に文化祭デートしたい』って意味だったんじゃねぇのかなぁ……。まぁ、どうでもいいけど)
「やっと、うるさいのが消えたか」
「センパイって、あの生徒会長にだけは本当に適当ですよねぇ~」
「男に好かれたって別に嬉しくないだろ……」
「へぇ~、そうですかぁー。じゃあ……アタシになら好かれても良いってことですよね
「うぜぇ……」
「もぉ~そんな照れ隠ししないで『お化け屋敷』入りましょうよ
「言ってるセリフがさっきの白銀と対して変わらないんだよなぁ……」
(まぁ、こいつの場合は『好いている』とか言って俺をからかっているだけだから、本気じゃない分マシか……?
逆に、白銀の場合は本気で俺を好いていそうだから厄介なんだよなぁ……)
「なぁーーーーっ!?!? 貴方達! ここで一体何をしていますの!」
「お姉ちゃん!?」
「うぉ! ビビった……」
(一体誰かと思ったら……なんだ姉ヶ崎姉か)
「朝から今日の文化祭は可愛いマイスイートエンジェルの妹と一緒に回ろうと思って探し回っていたのに……安藤くん! 何で貴方がウチの可愛い可愛い妹と一緒にいるんですの! どうりで探し回ったのに見つからないわけですわ!」
「姉ヶ崎先輩、うるさいうるさい……そんな妹が見つからないくらいでヒステリックになるなよ……」
(そんなに探すくらいなら、事前に待ち合わせでもしとけよ……)
「お姉ちゃん、そういうのマジでウザいから……それに、文化祭は生徒会の仕事があるから回れないって言ったじゃん」
「妹ぉお! そんな悲しいこと言わないでくださいまし! 大体、安藤くん! 貴方達の生徒会はどうなっていますの!? ウチの可愛い妹が実の素晴らしき姉と一緒に文化祭を回る余裕がないくらいに仕事を押し付けているとかありえまんわ!
この生徒会はブラックですわ! その予定を仕組んだ責任者を出しなさいですわ!」
「いや、ウチの生徒会がブラックなのは否定しないけどよぉ……」
(姉ヶ崎妹に今回の文化祭の仕事を押し付けるように言った元々の黒幕は姉ヶ崎先輩自身だからな? 覚えてる……?)
「そもそも、生徒会の仕事があるといいながら、なんでこんな男と文化祭を回っていますの!? パワハラ! これがパワハラですのね!?」
「どっちかって言うと、俺の方がパワハラされて――」
「もぉー! お姉ちゃん、マジでウザいから……それに、センパイといるのは遊んでいるわけじゃなくて、これも仕事なの! ですよねぇ~? センパイ
「いや……だから、俺はどっちかと言うと――」
「セ・ン・パ・イ
(別に、今の状況をカメラに撮って朝倉センパイに『姉妹でセンパイと文化祭デート楽しいです
「そうなんだよなぁー! かぁーっ! 悔しいけど、これ……お仕事なんだよね」
「そ、そうですの……?」
(とても、そうには見えませんけど……でも、そう言うのなら――)
「なら、わたくしもそのお仕事ご一緒させてもらいますわ♪」
「ちょ! お姉ちゃん、腕に抱き着かないでよ……ウザい! それに、何でお姉ちゃんまで一緒にくるの!? お姉ちゃんはもう生徒会は引退したでしょ!」
「可愛いウチの妹がこの男にたぶらかされ――もとい、ちゃんと生徒会の仕事をしているのか前会長として確認するためですわ!」
「おい、ちょっと待て! そこの似非ペッタンっ子!? 今なんて言おうと――」
「似非ペッタンっ子!? 貴方こそ、なんて言いましの!」
「ふぅーん……なら、センパーイ♪ ウチのお姉ちゃんなんて放っておいて見回り続けましょう
「って……姉ヶ崎妹よ。なんでお前まで俺の腕に抱き着いて来るんだよ……」
(俺の腕に姉ヶ崎妹、姉ヶ崎妹の腕に姉ヶ崎ペッタンっ子って……なんの連結車両かな?)
「安藤くん! ウチの可愛いマイスイートエンジェルから離れなさいな! 貴方がどうしても、離れないのならわたくしも一緒にご同行させてもらいますわよ!?」
「うぜぇ……」
(離れないのは先輩の妹なんだけどなぁ……)
「アハハ、お姉ちゃん♪ 別に、ついて来るのはいいけど……アタシとセンパイが次に行くのここだけどいいのかなぁ~
「へ? こ、これは――」
【お化け屋敷】 ゴゴゴゴゴゴゴ!
「え? おい、姉ヶ崎妹よ。もしかして、お前の姉って……」
「はい! 恐いのすっごい苦手です
(へぇ~、そうか……。なら、姉ヶ崎妹よ) ← ゲス顔
(そうなんですよぉ~、ね? センパイ
「「あぁ~、お化け屋敷楽しみだな♪」」
「何でそこで息ピッタリになるんですのぉおおおおおおおおおおおお!?」
(大体、貴方達これは生徒会の仕事だって――)
「お? 姉ヶ崎妹よ。どうやら、お前の姉はお化け屋敷が恐くて一緒に来ないみたいだから、俺達だけで『視察』をしてくるか?」
「そうですねぇ~、センパイ
「ちょ、ちょっと待ちなさいな! 一体、誰が恐がってなんて……わ、わたくしも当然行くに決まってますわ!」
(しょ、所詮はただの学生の作ったまがい物……こんなの別に恐くなんてありませんわ!)
「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああ!」 ペタッンコーン……
その日、一際大きな叫び声が上がったという。
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「トラブル」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
因みに、今日も【チョキ】ピックアップデー! なんと50%の確率でわたしが【チョキ】を出しちゃうわよ♪
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
チョキかな?
チョキかも?
パーじゃない?
グーだったりして……
本当に『チョキ』を出すかもしれないわよ……?
【パー!】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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