第293話「負けられないお仕事(戦い)」


「まったく、ひどい目にあったぜ……」


(結局、妹の誤解はなんとか解いたが、桃井さんはわんこ焼き蕎麦をしっかり食べて『休憩時間終わっちゃうから戻るねー♪』って言って戻って行ったし……)


「朝倉さんはまだかな? あ、メッセージが来てるじゃん」


『安藤くんへ、ゴメンなさい。ちょっと、こっちのトラブルが長引きそうだから、お昼に生徒会室で合流でもいいかしら?』


「朝倉さん、忙しそうだな……。そうだ!」


『朝倉さん、良ければ俺もそっち行って手伝おうか?』


(うん、朝倉さんばっかりに仕事を任せるのも彼氏としてどうかと思うし、ここは――)


 ペタペタペタァ~ン♪ ← 着信音


『え? でも……今、私が対応しているの女子水泳部のシンクロナイズドDカップビキニスイミングって、ちょっとギリギリな出し物だけど……

 安藤くんは興味がおありなのかしらねぇ~、ウフフ♪』


『滅相もございません! お昼にまた会いましょう!』


(あぶねぇえええええええええええ! 知らないうちに特大級の地雷を踏みぬくところだった……てか『シンクロナイズドDカップビキニスイミング』って何? すげぇ気になるんだけど……)


『ウフフ……♪』 ← 安藤くんの脳裏に浮かぶ朝倉さんの恐い笑い声


(おっと、悪寒が……)


「しかし、そうなると昼休憩までどうやって時間を潰すか……」


(よし、ここはやっぱり生徒会室で隠れてラノベを――)


「あ! センパーイキャピ!


(ん、この無駄にテンションの高い声は……)


「なんだ、姉ヶ崎妹か……」

「『なんだ』って、どういう意味ですかぁー!?」

「いやいや、特に深い意味はないんだよ。ただ、朝倉さんと昼まで別行動になった所に、俺を呼ぶ声が聞こえたから『もしかして、朝倉さんかな?』とか期待しちゃうじゃん? そしたら、ただの『姉ヶ崎妹』が出て来たよってだけの感情だ」

「その扱いの差はなんですかぁー!」


(なんか、アタシの扱い雑過ぎじゃないですかぁ~?)


「てか、お前ミスコンの準備のはずだろ? 何、サボり?」

「それセンパイにだけは言われたくないんですけどぉ~キャピ?


(だって、ミスコン当日の準備は全部アタシに任せて、センパイ達はカップル同士のペアで見回りとか……それ明らかにただのデートですよねぇ~キャピ?


「因みに、アタシはミスコンの準備が大体終わったので、文化祭に不審者がいないか見張っているんですよぉ~♪」

「それ結局体のいいサボりの理由じゃねぇか……」

「というわけで、センパ~イ♪ 一緒に不審者がいないか文化祭を見張りませんかキャピ!

「まぁ、いいけど……」


(ちょうど、俺も暇だったしな……)




「いらっしゃいませー! たこやきだよー! おいしいよー!」

「いらっしゃいませー! 焼きそばだよー! おいしいよー!」

「いらっしゃるなー! ケバブだぞー? なんで買うのー! まいど……」



「センパイ~♪ この、ケバブって食べ物、初めて食べましたけど、そこそこイケますねぇ~キャピ!

「ケバブなんて秋葉原に行けば自販機並みにそこらへんで売っているぞ? 最近だと、他の地域にも屋台があるだろ」

「でも、文化祭とかじゃないとケバブって雰囲気的に買いにくいじゃないですかぁ~?」

「言うほどそうか……?」


(――というか、この展開、なんかデジャヴ感が……)


「いらっしゃいませ~♪ おっ! そこのカッ――んにゃ? もしかして、そこにいるのは……お兄ちゃ~ん???」

「い、妹……よう、またまた会ったな……」

「お兄ちゃん??? ん~? 隣にいるのは姉ヶ崎さんだよね~? おぉ~? 一体全体これはどういうことかにゃ~?」


(お兄ちゃん……桃井先輩だけでは飽き足らず、まさか姉ヶ崎さんとも浮気かにゃ……?)


(妹よ、違うんだ! これにも実は深いわけがあって……だから、その『サクラお義姉ちゃんにこのことを言ったらどうにゃるかな~?』なんて、目をしないで!?)


「あ! 安藤ちゃん、こんなところで屋台なんてやってたんだぁ~? アタシ、全然! 知らなかったぁ~キャピ!


(本当は生徒会の資料で見て知ってたけどねぇ~キャピ!


(この女……絶対に分かってて、お兄ちゃんとここに来たな……)


「あはは……姉ヶ崎さんってば、生徒会役員なのにそんなこともしらないんだ~♪

 あ、もしかして……暇そうだしお仕事もらえないのかな?」

「何それ~、マジでウケるんですけどぉ~♪ だって、アタシはこれからセンパイと文化祭の見回りっていう『お仕事デート』があるんですけどぉ~?

 ね♪ センパーイキャピ!

「お兄ちゃん……?」 ゴゴゴゴゴ!


(これは一体どういうことかにゃ……?)


(いや、妹よ! マジでこれホントもう超誤解なんだって!?)


「センパ~イ! もう、こんな出店放って『お仕事デート』に戻りませんかぁ~?

 じゃあ、安藤さん。アタシはもう行くから……『お仕事お留守番』頑張ってねぇ~キャピ!

「あ! ちょ、姉ヶ崎妹!? 引っ張るなって――」


(てか、お前少し引っ付きすぎだぞ!? しかも、腕組むな! なんか胸が……)


「お兄ちゃん!!!」


(帰ったら、ちゃんと説明してもらうから!!!)


(ぐぁああああああああああ! どうして、こうなったぁあああああああああああ!)




「いらっしゃー……ケバブ……よぉ……」





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪

 ミスコンっていつになったら始まるのかしらね……。

 さーて、次回の『何故かの』は?」



次回「おばけ屋敷」 よろしくお願いします!



「あれ? デジャヴかしら……? まぁ、いいわ。

 じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 因みに、今日は【チョキ】ピックアップデー! なんと50%の確率でわたしが【チョキ】を出しちゃうわよ♪

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 チョキかな?



    チョキかも?



パーじゃない?




         グーだったりして……

















 本当に『チョキ』を出すかもしれないわよ……?


















【パー!】


「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」


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