第292話「ご指名はメロンですか?」



「おまちどうさま。ご注文の抹茶珈琲よ」

「あれ? 『萌え萌え~、スカッ!』みたいなのはやらないの?」

「山田で良ければやらせるわよ……?」

「どうもすいませんでした!」

「分かればいいのよ? クフフ♪」

「…………」


(畜生、委員長めぇ……。しかし、この抹茶珈琲、見た目はどどめ色の飲み物で最悪だけど……でも、飲んでみると抹茶の味わい深い甘みの後にほのかに残る珈琲の苦みが上手くマッチしてなかなか癖になる味だな……)


「あれ? 安藤くん、生徒会の仕事じゃなかったのー?」

「あ、桃井さん……おぉう」



 萌え萌え~、ビッグバァアアアアアアアアアアアアンン!

 ← 安藤くんの意識が打ち上げられた音


(たぁーまぁやぁ~! おっと、危ない危ない……、いきなり目の前に和風メロン服の猫耳桃井さんなんて最終兵器が視界に飛び込んできたから、意識が打ち上げ花火みたいに飛ばされるところだったぜ……)


「う、うん……ちょっと、朝倉さんが別件で呼ばれちゃったから、朝倉さんが戻るまで暇になっちゃってね……」

「へぇ~、そうなんだ……あ! じゃあ、ちょうどいいし……安藤くん、あたしにちょっと付き合ってくれないかなー?」

「え、付き合うって……てか、桃井さんは店番じゃないの?」

「えへへ、実は今から休憩で他のクラスの出し物を見て回る予定だったんだー♪ なんか、安藤くんもサクラが戻るまで暇みたいだし……サクラが戻ってくるまであたしに文化祭を案内してもらおうかなー? てね♪」

「いや、何で俺がそんなことを? そもそも、俺はこれでも生徒会の見回りの途中で――」

「安藤くんがウチのクラスに来て委員長にセクハラしてたってサクラに言いつけちゃおうかなー?」

「いやぁー! 桃井さん、実にいいタイミングだね! ちょうど、俺もぼっちで文化祭を回るのは飽きてきたところなんだ! 良かったら……いや、是非! 俺と一緒に文化祭を見てくれませんか!? お願いしますぅぅうううううううううう!」

「えー、どうしようかなー? えへへ……でも、安藤くんがそこまでお願いするなら仕方ないよねー? じゃあ、安藤くん。着替えてくるから少し待っててねー♪」

「……へい」


(そっか……メイド服は着替えちゃうのかぁ~)




「安藤くん、お待たせー♪」

「うん、桃井さん……って、何で制服に着替えたのに猫耳だけまだ付けているの……?」

「可愛くないかなー? えへへ、ちょっと借りてきちゃった♪」

「借りてきたって……」


(まぁ、制服に巨乳猫耳も……別に悪くないな!)


(それに、安藤くんてば委員長の和風メイド服ジロジロ見てたよねー? 委員長だけ見てもらうのもなんか不公平だし……でも、流石にメイド服で文化祭を歩く勇気はなかったから猫耳だけでもねー♪)


「それで、桃井さんは何処か見に行きたいクラスはあるの?」

「うーん、そうだねー♪ やっぱり、あそこかなー?」




「いらっしゃいませー! たこやきだよー! おいしいよー!」

「いらっしゃいませー! 焼きそばだよー! おいしいよー!」

「いらっしゃいませー! ケバブだよー! なんかうれてるよー! 疲れた……」


「うん! やっぱり、校庭の出店エリアは食べ物屋さんがたくさんあって、どれを食べようか迷っちゃうよねー♪」

「桃井さん、そう言いながらすでに『たこ焼き』も『ケバブ』も食べてたけど、まだ食べるの……?」


(そう言えば、桃井さんって意外に食い意地がはってるんだよなぁ……)


「しかし、まさかの振り出しに戻るとは……」


(まぁ、午前の予定は校庭の巡回だから特に問題は――)


「いらっしゃいませ~♪ おっ! そこのカップルさん、良かったらウチの出店はどうか――にゃ? え……お、お兄ちゃん?」

「い、妹……よう、また会ったな……?」

「あ! 妹ちゃん、久しぶりだねー♪」

「桃井先輩、お久しぶりです~♪」


(ところで……お兄ちゃん、これは一体どういうことかにゃ~?) ゴゴゴ! ← アイコンタクト


(いや、妹よ……? お前は絶対に何か勘違いをしている……。これには深い理由があってだな?) ← アイコンタクト


(ほうほう……では、お兄ちゃん。その『深い理由』とやらを教えてもらおうかにゃ? 場合によってばサクラお義姉ちゃんにお兄ちゃんが浮気してたって言うから……) 


(ちょ!? 妹ぉぉおおお!? それだけはシャレにならないからな!)


(おやおや~? 安藤くんと、妹ちゃんのこの意味深な目配せ……ふむふむ、これは面白い予感がするよー?)


「いや、妹よ……。これは――」

「もーう、安藤くんてば『俺と一緒に文化祭を見てくれませんか? お願いします!』なんて突然言うんだもん。あたしビックリしちゃったよー♪」 ← 棒読み

「――ちょ!? 桃井さんんんんん――っ!?」


(ここでそれを言うのは卑怯じゃありませんかね!?)


「お兄ちゃん……???」 ゴゴゴ!

「妹違う! それは……これは――」

「あ! 妹ちゃん、この隠しメニュー『カップル特製わんこ焼き蕎麦』って言うの一つもらえるかなー♪」

「てか、桃井さんこの状況でまだ食べるの!? しかも、それ二人前だよ!」

「桃井先輩まどありです~♪ あ、お代はお兄ちゃんに付けておくんで大丈夫です」

「え、本当! 妹ちゃん、ありがとうねー♪」


「ちょ! 妹ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪

 さーて、次回の『何故かの』は?」



次回「おばけ屋敷」 よろしくお願いします!



「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 因みに、今日は【二文字】ピックアップデー! なんと99.99999%の確率でわたしが【グー】か【パー】を出しちゃうわよ♪

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 パーかな?



    グーかも?



パーじゃない?




         グーだったりして……

















 本当は『チョキ』を出すかもしれないわよ……?


















【グー!】


「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」


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