第285話「妹とファッションとワンポイント」
*今回の話も前回と同じ書籍版『何故かの』2巻の前日談にあたる話です。ウェブ版でいうなら二章の映画デート前の話になりますので、ご了承ください。
「じゃぁ、さっそくデート用の服を選ぶわけだけど……まずは内面が残念なお兄ちゃんでも、最低限は誤魔化せるファツションを選ぶために全体像を見てイメージを作るから、少しそこの壁に立って起立してくれる?」
「え、妹よ……。いきなりこんな店の前でポーズを決めろって言われてもお兄ちゃん恥ずかしいんだけど……」
「恥ずかしいって、別にポーズを決めるわけじゃないんだし……それに、お兄ちゃんのことなんかどうせ誰も見てないでしょ? いいから起立する!
――って、何で『ジョジ●立ち』」するの!?」
(ポーズはいらないって言ったでしょ! さっきまで『恥ずかしい』って言ってたのは何処の誰なの!?)
「まったく……じゃあ、これでいいか?」
「いやいや、お兄ちゃん『まったく……』はこっちのセリフだからね?
ふーむ、フムフム……地味で『ぼっち』なお兄ちゃんに似合うコーディネートは……
よし! じゃあ、イメージはできたから行こう。お兄ちゃん♪」
(なんか、服のイメージ決めている間に軽くディスられた気もするが……まぁ、いいか)
「へい、らっしゃぁ~い♪」
「それで妹よ。一体どんな服を買うんだ?」
「うーん、とりあえず探すのはセーターと軽い小物かにゃ?」
「俺達『服』を買いに来たんじゃないの!?」
(なのに、何で探すのが『セーター』と『小物』なんだよ!)
「もう、お兄ちゃんのおバカ! ぼっち! ラノベオタク!」
「何で俺、実の妹にボロクソにディスられてるの!? てか『ラノベオタク』を悪口みたいに言うのは止めろ!」
(いくら、実の妹だろうと『ラノベ』をバカにするのはお兄ちゃん許しませんからね!)
「はぁ……もう、本当にお兄ちゃんは残念だな。いい? 洋服を買うって言っているのに予算が『五千円』ってことはほぼ何も買えないのと一緒なんだよ!」
「え、そうなの……でも、古着屋とか行けば五千円でも十分に買えるんじゃないのか?」
「お兄ちゃん、ふざけてるの!? 中古じゃダメなんだよ! 明日はデートなんでしょう! なのに、中古で買うとかありえないから!」
「ま、マジか……」
(そう言われてもイマイチ実感できないんだよな……。これがぼっちとリア充の金銭感覚の違いなのだろうか?)
「そうだにゃ……お兄ちゃんに分かりやすく説明するなら……
『プレゼント用のラノベを買いに来たのに百円しか予算がない』
――って、言えば分かるかにゃ?」
「百円で一体何が買えるんだよ!?」
「お兄ちゃん、百円でも中古のラノベなら買えるんじゃないかにゃ♪」
「妹よ。お前、ふざけんなよ!? 中古じゃダメなんだよ! ラノベっていうのはなぁあ! 読者と作者と出版社にいろんな人達のおかげで――」
「お兄ちゃん! つまり、私が言いたいのもそれとお・な・じだよ♪」
「ハッ……なるほど、そうだったのか」
(危うくダークペッタンコに堕ちるところだったぜ……)
「それに、五千円だけだと服を買うにしても……『上着』か『ズボン』どちらしか買えないし……」
(しかも、セール品で少し安いのを買って……じゃないと、消費税で五千円超えちゃうよ)
「だから、予定を切り替えて、今持っているお兄ちゃんの服に合わせることができるものを買うんだよ♪」
「それが『セーター』と『小物』なのか?」
「そう! まぁ、正確には『セーター』と言うよりはシャツの上に着れる物がいいかもしれないから『ニット』とか? あと、小物はお兄ちゃんの冴えない見た目を少しでも誤魔化せればいいから金属類よりも小さいバックとかね♪」
「ニットって……妹よ。もうそれ服じゃなくて、帽子に――」
「お兄ちゃん『ニット』は『ニット帽』じゃないからね?」
「なんでもありません……」
(そうか『ニット帽』じゃないのか……。じゃあ、ニットって何だ?)
「ニットなら前に買ったシャツでも上から着れば使いまわしって思われないし……うん! これなんか安いしどうかな?」
「あぁー、これが『ニット』かぁ……うん、知ってた。知ってた」
「うん、お兄ちゃん。誤魔化さなくていいから……はい、じゃあこれをカゴに入れて……あとは予算的に小さい肩にかけられるボディバッグが欲しいかにゃ?」
「ボディバッグ……妹よ、それってボクシングの――」
「お兄ちゃん、決して『サンドバッグ』じゃないからね……?」
「うん、知ってた……」
(そうか『サンドバッグ』じゃないのか。サンドバッグなら、朝倉さんがグレムリン化しても安心だったんだが……)
「ボディバッグはここら辺だね……。うん、お兄ちゃん。これなんかさっきの『ニット』にも合うしどうかにゃ?」
「これがボディバッグ……妹よ。こんなに小さくて、耐久性は大丈夫か?」
「お兄ちゃん、サンドバッグから離れていいから……」
(と言うか……お兄ちゃんは何で、殴られることを想定して服を選んでいるのかにゃ?)
「そうか……しかし、妹よ。俺、こんなバッグ買っても中に入れるものなんか無いぞ? どうせ、デートも財布だけあればいいし、その財布もズボンのポケットに入るからな」
「もう、お兄ちゃん! こういうのはファッションなの! お洋服は実用性で選ぶものじゃないんだからね!」
「服って実用性で選んじゃいけないの!?」
「それに、このバッグだっていざ使ってみると必要になるかもしれないじゃん! 小さいものなら持ち運べるわけだし」
「小さい物ねぇ……」
(そんなこと言われても、財布以外に持ち運ぶ物なんて――)
「あ! これなら『ラノベ』二、三冊持ち運べそうじゃね……?」
「お兄ちゃん……」
(こんなお兄ちゃんで、明日のデート大丈夫かなぁ……)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
今回の話で妹ちゃんが選んだ安藤くんの服が気になる人は『何故かの』2巻のカラーイラストを確認してね♪
ついに、何故かの2巻発売まであと3日よ。準備はいいかしら?
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「初めての親友(ホンモノ)」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
グーかな?
パーかも?
チョキじゃない?
パーだったりして……
本当は『チョキ』を出すかもしれないわよ……?
【グー!】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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