第260話「三人目」
「センパァ~イ、こんな調子で本当にミスコンの参加者集められるんですかぁ~? 結局、今のところアタシと先輩の妹さんしか参加者いないじゃないですかぁー?」
(ぶぅー! せめて、藤林センパイだけでも道連れにしようと思ったのに結局、最後まで参加は断られちゃいましたし……これじゃあ、アタシだけが参加してバカみたいですよーっ!)
「まぁ、姉ヶ崎。そんなカッカッするな……。それに、大丈夫だ。俺にはまだ最後の秘策がある!」
「え、センパイそれマジですかぁー!? 是非、その最後の秘策ってやつをやってくださいよぉ~
「よし、任せろ! じゃあ、姉ヶ崎……。俺に付いてきな!」
「ハイ、センパァ~イ
(やっぱり、センパイってば最後にはこう言ってアタシを助けてくれるんですから~♪ まったく、そんなに後輩のアタシが可愛いんですかねぇ~
「と、言うわけで……ッ! 桃井さん、お願いします! どうか、どうか……ッ!
ミスコンに参加してください――っっ!!」
「でぇえええええええ!? 安藤くん、いきなり部活中に押しかけてきたと思ったら土下座で何を頼んでいるのぉおおおおおおおおお!?」
「せ、センパイぃ……」
(さ、最後の秘策って……ただの『土下座』じゃないですかぁあああああああああああああああああああ!)
「桃井さん、お願いします! どうか……どうか、ミスコンにその体操着ブルマ姿で出てはいただけないでしょうか……っ!」
「絶対にイヤだよ!?」
(もう、わざわざ部活中に訪ねてくるから何か緊急の用事かと思ったら、ミスコンのお願いかぁー)
「……因みに、安藤くんはあたしがミスコンに出たら嬉しいのかなー?」
「もちろん!」
(だって、桃井さんがミスコンに出てくれたら、巨乳好きが多い教団Oの奴らが確実にミスコンを盛り上げてくれるからね!)
「えへへ~♪ ふーん、そうなんだぁー? うーん、どうしようかなー?」
「…………」
(もう、安藤くんたら、サクラって彼女がいるくせに即答するなんて浮気者はメッ! なんだからね~♪)
(むぅ……なんだか、超イライラするんですけどぉ~
「センパ~イ、なんか桃井センパイは駄目そうですし、諦めて次に行きませんかぁ?~
「待ってくれ、姉ヶ崎! もう少しだから! もう少し押せばいけるから!
すいません、桃井さん! どうか、ミスコンに出場してくださいぃいい!」
(諦めてたまるか! 学校一の美少女である朝倉さんがミスコンに出れない以上、ミスコンの目玉となりえるのは同じ学校一(の巨乳)を名乗る桃井さんを目玉にするしかない!)
「よし……そこまで言うのなら、この桃井さんも一肌脱ぎましょう!」
「本当ですか!? じゃあ、靴下でお願いします!」
「安藤くん、本当に『脱ぐ』って意味じゃないからねー?」
「センパ~イ、いい加減にしないと……朝倉センパイに言いつけますよぉ~
「さて、冗談はここまでにしようか……」 キリッ!
「「ハァ……」」
(あたしってば、こんな人の一体何処がいいんだろう……)
(アタシってば、こんな人の一体何処がいいんだろう……)
「それで、桃井さん。本当にミスコンに出てくれるの……?」
「うん! でも、条件として……安藤くんがあたしの『魅力』を十個言ってくれたらだけどねー♪」
「え、俺が桃井さんの魅力を十個言ったら……って、何で?」
「もぉー、安藤くんは鈍いなー? そんなの……およよ~」
「も、桃井さん! どうしたの?」
「およよ……。この桃井さんはこれでもプレッシャーに弱い女の子なんだよ……? だから、ミスコンに出る自信を少しでもつけるために、安藤くんがあたしの『魅力』を十個くらい言ってくれたら頑張る気がするんだけどなー……」 チラ?
「なるほど……」
「いやいや、センパイ?『なるほど』じゃないですよぉ~? これ絶対に桃井センパイのウソ泣きですからね……?」
(というか、センパイ。こんなあからさまなウソに騙されないでくださいよ……)
(――と言うのは半分はウソで、本当はこの機会に安藤くんの口から褒めてもらいたいだけなんだけどねー♪
……でも、あの安藤くんがあたしにミスコンの出場を持ちかけるってことは去年のミスコンで殿堂入りして出場できないサクラの代わりってことだよねー? なら、これくらいの『ご褒美』は貰わないとわりにあわないよねー♪)
(……多分、桃井さんなら俺のこのお願いが、朝倉さんの代わりだと言うのは既に気付いているだろう。だとすれば……いくら面の皮の厚そうな桃井さんと言えども、このミスコンに出て去年の朝倉さんと比べられてしまうのは確かにプレッシャーになるんだろうなぁ……。
一見すると、本人はいたって冗談のつもりで言っているけど、これ半分くらいは本当に桃井さんも不安なんじゃないだろうか……? なら、自分の『魅力』を言って欲しいというのは裏を返せば自信をつける以外にも『俺におだてられて仕方なく出場した』と周りに思わせるパフォーマンスだろう。ちょうど、ここには桃井さんの部活仲間も遠巻きに俺達の事を見ているから証人もバッチリだしな)
「桃井さん、分かったよ! それで、桃井さんの不安が消えるって言うのなら魅力の十個くらい余裕で答えられるさ!」
「わーい! やったー!」
「センパァーーイ!? 何でそんな簡単に騙されているんですかぁーっ!」
(アハハ~、安藤くんってば分かっててあたしのこの冗談に乗ってくれるんだから、本当にいい人だねー。もう……本当に……なんだから……)
「フフン! じゃあ、早速あたしの魅力を語ってもらおうかなー?」
「ええっと……まず『(巨乳で)スタイルがいい』!」
「ほ、ほほう……」
(もう、安藤くんってばいきなり直球だなー。でも、悪い気はしないかなー?)
「あと『(巨乳で)美人だよね!』それに『(巨乳で)元気いっぱいなところ!』それと……『(巨乳で)笑顔がステキ』だと思う!」
「ふ、ふーん……ホッホッホ、もっと言ってもいいのだよー?」
「…………」
(にひひ……もう、安藤くんったら褒めすぎじゃないのかなー? このままだと、桃井さんはなんだか恥かしさで茹でタコになっちゃうよねー♪)
(なぁ~ん~かぁ~、メチャクチャイライアラす~るんでぇ~すぅ~け~どぉ~……
「あと六個か……うん、余裕だな! 五個目『(巨乳で)意外と気配り上手なところ!』それに『(巨乳で)面倒見が良いところ!』さらに『(巨乳で)意外としっかりしているところ!』もういっちょ!『(巨乳で)運動が出来るところ!』それでいて『(巨乳で)勉強もできるところ!』そして、最後は……」
「うんうん! 最後は何かなー?」
「…………」
(アハハ~♪ 正直、こんなに褒めてくれるとは予想外だったかなー?)
(はいはい、どうせ最後はセンパイのことだから『巨乳なところ!』とか言うんですよねぇ~? ……あとで朝倉センパイにチクってやろう……)
「なんだかんだ言って、ミスコンに出てくれるところ……かな?」
「安藤くん……。はぁ~、そこでそれを言うのは卑怯だよー? もう、そんなこと言われたら、あたしとしては……ミスコンに出るしかないよねー?」
「本当!? 桃井さん、ありがとう! ほらみろ、姉ヶ崎! これで三人目ゲットだぜ!」
「……センパイのスケコマシ」
「なんで!?」
【ミスコン参加者】現在、三人!
【次回予告】
「……ミスコンって、安藤くんのナンパ会場だったかしら?
皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「サンキューペッタン子!」 よろしくお願いします!
「一体、四人目は誰かしらね……?
じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
グーかな?
チョキかも?
パーじゃない?
パーだったりして……
本当はグーを出してくるかもしれないわよ……?
【パー!】
「皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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