第245話「ツンデレ彼氏と――」
(わ、私の彼氏……石田くんはちょっとツンデレな彼氏さんです……)
放課後
「ね、ねぇ……石田くん」
「何だ? 藤林」
「そぉ……生徒会室、私達だけになっちゃったね? ね?」
「あ、ああ……そうだな。他の皆は用事で今は出ているからな」
(まぁ、安藤の奴はいつもどおりサボりだが……まったく! アイツは生徒会長の自覚と言うものが――)
「じゃあさ、石田くん。少しだけ甘えても……いいかな? かな?」
「藤林、ここは生徒会室で僕達は今仕事中だ……」
「そ、そうだよね……えへへ」
(むぅ……誰もいないんだから、少しくらい私にかまってくれてもいいのに……)
下校中
「い、石田くん……」
「何だ? 藤林」
「そぉ……帰り道、誰もいない……よね?」
「ああ、そうだな。今日は生徒会の仕事が長引いたから部活動の生徒もすでに帰った後だろう」
(まぁ、安藤の奴はいつもどおり、僕に面倒な仕事を押し付けて朝倉さんと先に帰ってしまったが……まったく! アイツは生徒会長の自覚と言うものが――)
「じゃあさ、石田くん。少しだけ手を繋ぐくらい……いいかな? かな?」
「藤林、ここは路上で人の目だって何処にあるか分からない……」
「そ、そうだよね……えへへ」
(むむぅ……誰もいないんだから、手を繋ぐくらいいいじゃん……)
石田くんの部屋
「わぁ……。石田くんの部屋相変わらず勉強道具とか漫画でゴチャゴチャしてるよぉ……」
「ふ、藤林! これは散らかっているように見えるかもしれないが……僕からすれば何処に物があるかは把握しているし、ある意味取りたいものをすぐに取れるように最適化されている状態なんだ!」
「じゃあ『イーふらぐ!』の12巻読みたいから、この中から探し出してくれるかな? かな?」
「…………」
「石田くん、どうしたの……? 『取りたいものをすぐに取れるように最適化されている状態』だったんじゃないのかな? なら、すぐに見つけられるよね……?」
「……す、すまない。藤林、片付けるのを手伝ってくれないか?」
「もぅ、石田くんは本当に仕方ないなぁ……。石田くんも少しは片付ける癖をつけたらどうなのかな? そんなのだと、一人暮らしとかしたら困るんじゃないかな?」
「僕はいいんだ! それに、僕が家を出ても藤林がいるから大丈夫だろ!」
「ふぇ!? い、石田くん……そそ、それはどういうことかな? か!?」
(そそ、それって……まさか!?)
(ん? 藤林は何を赤くなって――)
「って、違う!? ふ、藤林! 今のは言葉のあやで――いや、違うわけではないのだけど……」
「フヘヘ~♪ もう、石田くんってば……で、でも、私は嬉しい……かな」
(もう、お預けは……我慢しなくてもいいよね? よね?)
「……~~ッ!」
(藤林め……そんな嬉しそうな顔をするのは反則じゃないか……これじゃあ、僕が家を出る時は本当に一緒に暮らすとかいいかねないぞ……。まぁ、嫌ではないんだが、それでも僕達が学生でいる間、せめて大学を出るまでは――って、何で藤林は僕に迫ってきているんだ!?)
「ふ、藤林!? ちょっと待て! ここは――」
「石田くん……? ここは生徒会室でも路上でもない……よ?」
「し、しかし……僕の親が――」
「今日はご両親は帰りが遅い日だったよね? ね?」
「藤林、ちょっと待て! 何で君がそれを知っている!?」
「ねぇ、石田くん。私……石田くんに『愛している』って言って欲しい……な?」
「は……はぁあ!? 藤林、お前は何を――」
「むぅ……。だって、石田くんって私のこと全然『好き』とか言葉にしてくれないんだもん……! 知っている? あの安藤くんだって彼女の朝倉さんに『愛している』って言ったことがあるんだよ!」(第70話参照)
「それは流石に嘘だ!? アイツがそんな恥かしいセリフを言うとは思えないぞ!?」
「は、恥かしいって……何かな? かな!? 嘘じゃないもん! 前に、朝倉さんがそう自慢してきたんだもん!」
「し、しかしだな……そういうのは言葉にしなくても……」
(というか……さっきから、わざとかは分からないが藤林が体を押し付ける所為で押しつぶされている胸の感触が……)
「むぅぅ……分かりました。石田くんがあと十秒以内に『愛している』と言ってくれなかったら、私が『チュー』をします!」
「藤林!? それは反則だ!」
「十、九、八……」
「って、だからカウントを始めるなぁーっ!」
「六、五、三……」
「ん? ちょっと待て、カウントがなんか早く――」
「二、一ィ――」
「わ、分か――」
(僕の彼女……藤林はちょっとだけ『ヤンデレ』が入っている……)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪
生徒会、爆発すればいいのに……。
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「未定」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私はいつもどおり【
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【チョキ】
「皆のコメント、評価、待ってるわ♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます