第240話「続・山田の一日」


 キーンコ~ンスッカーンコ~ン! 


「うしゃぁあああ! 今日も一日、学校頑張ったぞ! 今からが俺の本当の一日の始まりだぜ!」

「山田、お前の一日って放課後からの約八時間しか存在しないのかよ」

「アッハハハ! 吉田ってば何言ってんだ? 一日は二十五時間に決まっているだろ! なぁ、沢渡!」

「ウェ――エ……ウェイ?」

「おい、山田。そんなことより、もうお迎えが来てるぞ?」

「ん? お迎え……? あ、そうだ! 吉田、俺先に帰るわ! じゃあな!」

「おう~、くれぐれも通報されないようにしろよ~」


(しかし、うちの高校の前に幼女が待ち構える光景もついに見慣れてきたなぁ……)




「ふぅ……おバカのおにいたんてば、いつになったらくるんですか! もう『れでぃー』をまたせるなんて!『しんし』しっかくです!

 これは、おにいたんにはあたちがバシュ! っと、いってあげないと――」


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおい! おれだぁあああああああああああああああああああああああああ!」


「ッ!? お、おにいたん!」

「ふぁあーっ! ヒィ、ヒィ……めっちゃ走ったぜ! 幼女っ子、待たせたな!」

「べ、べつに……あたちもいまきたからあそんなにまってないです……おバカのおにいたんこそ、そんなに『はぁはぁペロペロ』いってつかれてないんですか?」

「何だ? 幼女っ子は俺の心配してくれるのか!」

「べ、べつに! そんないみじゃないです……でも、おにいたんはおバカさんですから、ここにくるのでつかれたら、その……おにいたんとあそべなくなるから……」

「ナッハッハッハ! なら、幼女っ子! その心配はナッシングだぜ! 何故なら、俺はクラスの皆から脳にまで筋肉があるって言われるくらいすごい男だからな!」

「ほぇ!? お、おにいたん……それはホントですか! おにいたんはあたまのなかにもムキムキ筋肉があるんですか!」  

「ああ! なんたって皆は俺を『脳筋肉バカ』って呼ぶくらいだからな!」

「おバカのおにいたんすごい!」

「そうだろう! なんたって、俺は、俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だぁぁあああああああああ! そう、山田さまだからな!」

「そうだね。おバカのおにいたん♪」


(クスクス♪ おにいたんってば、あたしがほめたからゴキゲンになっちゃて♪ やっぱり女子小学生のバイブル『小悪魔一年生』にあった『オトコをトリコにする小悪魔テクニック、その① オトコのいうことをなんでもほめてあげる』をやってよかった♪)


「そうだ! 幼女っ子はお菓子って好きか!?」

「ふぇ、おかし……?」


(どうしよう……おかしはママに『食べすぎはメッ!』って、怒られるくらいだいしゅきだけど……でも、イマドキの幼女が『おかしだいしゅき!』って、ちょっとこどもっぽくおもわれちゃうよね……?)


「あ、あたちは……そこまでしゅきじゃないもん!」

「そうか! いやぁ~、実は鞄の中におかしがいっぱいあるから、幼女っ子がお菓子好きならあげようと思ってたんだが、そこまで好きじゃないなら俺が全部――」

「で、でも! おかしをたべすぎるのはメッ! だって、ママもいってたし、おにいたんがどーしてもおかしをもらってほしいなら……あ、あたちがもらってあげるのも、やぶへび×やぶさかじゃない……もん!」

「およ……? ん? つまり、どういうことだ……?」

「もう! だから、あたちもおかしほしいっていっているの! おにいたんのおバカ!」

「おう! そうかそうか! じゃあ、幼女っ子! 山田さまからお菓子のプレゼントだぜ!」

「ふぁ~! キャンディーもチョコもスナックもおかしがいっぱい! おにいたんって、もしかして『サンコウ三高』ってやつなの!?」

「サンコウ……なんだそりゃ?」

「なんかね! クラスの女の子たちが『いいオトコはぁ~? 学校が高くてぇ~? 背も高くてぇ~? なんか、ついでに、おこづかいも高いみたいなぁ~?』って、言ってたの!」


(おにいたんは学校も『高校』って、あたしよりも『たかい』学校だし、背もあたしより『たかい』し! おこづかいだって、こんなにおかしを買えるんだからきっと『たかい』よね! すごい! おにいたんっておバカだけど『サンコウ』なんだ!)


「まぁ、よくわからねぇが……うん! この俺様がすごいのは確かだしそうだな! ああ、俺さまは『サンコウ』だぜ!」


(このお菓子はこの前学校に行ったら『山田……どうせ、お前のことだからハッピーハロウィンって騒ぎまくるんだろ? ほら、先にお菓子やるから今日は騒ぐんじゃねぇぞ……?』って、クラス中の皆が俺にお菓子くれたんだよな! あれは一体なんだったんだろう? まぁ、俺は十分お菓子も食ったし、余った分は幼女っ子も貰って喜んでるみたいだしいいか!)


「そうだ! 幼女っ子『ヒャッハーハロウィン』って、なんだか知っているか?」

「ふぇ? おにいたん、それって『ハッピーハロウィン』の――あ! も、もしかして……これって『ハロウィン』のプレゼントなの?」

「いや? そんなの俺に聞かれてもわからないぞ?」

「おにいたん……」


(クスクス♪ おにいたんってば、はずかしいからってウソをつくのがヘタなんだから♪)


「もう、ホントにおにいたんはおバカなんだから♪」

「んん? いや、どういうことだ!?」

「あたち、しーらない♪ ほら、おにいたん! こうえんについたよ!」

「おう! じゃあ、今日は何して遊ぶんだ! 幼女っ子」

「うーん、きょうはね! 『渡る世間は借金ばかり、おままごと』をするの! おにいたんは『しゃっきん』でくびがまわらなくなったダメダメサラリーマンで、あたちはその、おくさんで――」


「あ! 山田のにいちゃんだ!」

「あああ! 山田だ!」

「山田! 山田! ねぇ、山田! きょうはなにしてあそぶのー!?」

「山田! だっこして!」

「ねぇ、山田! あたしたちとおままごとしよー!」

「あなたなにいっているのよ! 山田はわたしとあそぶよていなんだからね!」

「なによ! あたちの方がさきよ!」


「「「「「山田ぁああ! あーそーぼ!」」」」」


「おおお! 今日も公園は幼女っ子の友達がいっぱいいるな! よし、皆一緒に遊んでやるぜ! なにせ、この俺はぁ~~そう!

 俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ! 山田さまぁああああああああああああああああああ!」


「「「「「山田だぁあああああああああああ!」」」」」


「むぅ~!」


(あたちがおバカおにいたんのさいしょの『オンナ』だったに……! なんで他の子までもおにいたんとあそびたがるのぉーっ!)


「どうした。幼女っ子? なんか元気がたりないぞ!」

「フン! しらないモン! おにいたんのおバカ!」

「どえぇええ!? なんじゃそりゃあああ!?」




「沢渡、これどう思う……?」

「ウェーイ……」


(あの後、気になって山田の後をつけてみたら……山田に群がる小学生が十人以上って……状況悪化してるじゃねぇか)



 後日、山田に『ハーメルン山田』という異名が付くようになった。






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 今回は皆に『何故かの』のアンケートがあるわ。お題は、


【『何故かの』の好きなエピソード】よ♪


 回答はこの話にコメントをするか、または作者の『近況ノート』でも同じアンケートをしているから、そっちにコメントで回答してもいいわ♪

 回答の仕方は『第何話の委員長の話が好きです!』や『第何章の委員長の全部が好きです!』や『第何部あたりの委員長が好き』(書籍化の際に章を部に切り替えてるから注意ね)など『何話か忘れたけど委員長のあのエピソード』みたいな回答でも大丈夫よ♪


アンケートの結果は、今後の書籍化作業やWeb の更新の話の参考に作者がするから……お願いね♪出番が欲しい!!


 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「未定(コメントしだいかも?)」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は――あ、そう言えば『何故かの』の表紙がMF文庫JのHPで公開されたらしいわよ?

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 











【パー】


「そうそう、詳しいことは作者の近況ノートに書いてあるからそっちを見てね?

 近況ノートの見かたは作者名【出井 愛】をクリック→【近況ノート】をクリックで見れるわよ。

 皆のコメント、評価、待ってるわ。クフフ~♪」

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