第228話「無意味な犠牲」
『長かった合同体育祭もついに、次の競技で最後となります! し、しかし……現在の両高の点数は北高350点に対し南高260点と90点もの大差を付けれている状況です。これは最後の競技だけでは到底覆せる点数ではないでしょう……』
「「「
「ハッハッハッハ! ミス早坂、これで僕の勝利は約束されたも同然だ、ね
「勝利を目前にして余裕のフラグ乱立……流石は坊ちゃまです」
(安藤様……頼みましたよ?)
『っと、言うことで最後の競技の得点は――「1
「「「「「な、なんだってぇえええええええええええ!?」」」」」 ← 全生徒
「あ、安藤くん……これは大丈夫なのかしら?」
「朝倉さん、心配はいらないよ。実行委員会には場を盛り上げる演出(という大義名分)でなんとか納得してもらったからね。一応、早坂さんには話を通してあるけど、あとは向こうのお坊ちゃまが何て言うかだね……」
(当初は引き分けねらいだったけど、俺の作戦が思ったより成果を出せなくて引き分けも難しくなったから、奥の手の『最後で大逆転って定番だよね作戦』を実行させてもらったぜ! ふぅ、この時のために実行委員の過半数以上を身内とスパイで固めて正解だったよ……)
「確かに、白銀くんもいきなり最後の競技は得点が一億だなんて言われたら、普通は反対するわよね……」
「朝倉さん、それは大丈夫だよ思うわよ?」
「あら、委員長! 戻ってきたのね。妹ちゃんとか、他の生徒会の皆は戻ってないの?」
「ええ、名も無き妹二名は体育祭も最後だから閉会式の準備で、石田くんはまだ保健室で藤林さんに看病されているわ」
「それで、委員長だけ休憩室でサボリっと……」
「わたしは誰かさんの策略で観衆の晒し者にされたから避難して来たのよ! ――って、それより、気になっていることがあるのだけど……いいかしら?」
「「何、委員長?」」
「……何でさっきから、安藤くんは朝倉さんに膝枕されてダウン状態になっているの……?」
「……委員長、それは――ムグゥ!?」
「あらあら!? あ、安藤くんってば少し太陽の熱にやれて、ダウンしちゃったみたいなのよ~! もう、まだ体育祭は終ってないのに心配よね? 安藤くん、は、早く元気になってね!? え、えーと……ウフフ~♪」
「そ、そう……なのね」
(まぁ、なんだか予想はできるわ……)
「でも、それだと、石田くんは最後の競技には間に合わなさそうね……。それで、委員長。さっき言っていた大丈夫ってどういうことかしら?」
「ああ、北高の生徒会長が不満を言うんじゃないかって話よね? それなら、さっき早坂さんが白銀くんと話していたけど――」
「坊ちゃま。最後の競技は得点が一億点ということで、一部の北高生徒から不満が出ておりますが、いかがいたしましょう? 実行委員に抗議いたしますか……?」
「ハッハッハ! 庶民がこの気高いリア充である僕にどう反撃するか興味があったけど……まさか、こう出るとはね。早坂、面白いじゃないか? 僕はこの勝負から逃げない、よ
「かしこまりました……。しかし、よろしいのですか? もし、この勝負に負けたら――」
「ハッハッハッハ! どんな小細工をしようとも、正面から迎え撃つ! それこそが真のリア充だよ、ね
「そうですね……ハイ、流石は坊ちゃまです」
「――って、言ってたわよ?」
「何それ……坊ちゃま、メチャクチャカッコいいじゃん」
「まるで、私達すっかり悪役よね……」
『なんと、北高の生徒会長! この特殊ルールを潔く快諾しましたぁああああああああ! よって、最後の競技は「一億点!」に決定です! そして、この一億点のかかった最後の競技は――「北高VS南高 生徒会リレー勝負」です! このリレーを征した方が今年の体育祭の勝者となります!
両校の生徒会リレー代表者五名は入場ゲートへお集まりください♪』
「安藤くん、最後の競技だけど、石田くんが保健室に行っちゃったから私達メンバーが足りないわよ?」
「朝倉さん、それなら大丈夫。石田の変わりのメンバーは既に申告してあるんだ。多分、もう直ぐこっちに――」
「安藤くん、サクラ! お待たせ~♪」
「え、モモ!? どうして、モモが代わりに? そもそも、いつメンバー変更の申請なんてしたのよ?」
「石田の体力が持たないのは昼休憩の時点で分かっていた……。だから、アイツは保健室に置いて来た。それで、昼休憩の間に桃井さんに代理をお願いしたんだよ」
(それに、石田のタイムは学年でも最下位で、しかも、足を捻挫だろ? 正直、この
「石田くんは一体何処のチャ○ズよ……」
「安藤くん、それで他のメンバーは誰なのかなー?」
「俺と朝倉さんと桃井さんがいるから……後は姉ヶ崎後輩と藤林さんが来れば、それで全員だね」
(お、そう言ったら、ちょうど姉ヶ崎後輩が走って来たようだな。てか、アイツ集合ギリギリすぎだろ……)
「センパーイ! お待たせしましたぁ~、テヘ
「テヘ、じゃねぇよ……。お前集合するの遅すぎ」
「だってぇ~、実行委員が長引いちゃったんだから仕方ないじゃないですかぁ~!」 プンプン!
(センパ~イ? ホーラホラ、可愛い後輩のぶりっ子攻撃ですよぉ~
「姉ヶ崎後輩……残念ながら俺にそんなぶりっ子攻撃は効かないぞ? 何故なら、その攻撃は妹で十分だからな」
「効かない理由がマジでサイテーすぎるんですけどぉ!? てか『後輩』と『妹』は別ジャンルですぅ~! このセンパイのシスコン!」
「べ、別に……シスコンじゃないわい!?」
(……でも、ぶりっ子ポーズなら、俺の妹の方が百倍可愛いけどな!)
「アハハハー! ねぇ、サクラ。お昼の時も思ったけど、安藤くんと後輩ちゃんって仲良いよねー?」
「モモ、そうかしら? 私はあれが仲が良いと言うのは、少し微妙だと思うのけど……」
「そういえば、藤林センパイはまだ来ないんですかぁ~?」
「あれ? そういえばまだ来てないな……」
「藤林さんが遅れるなんて珍しいわね? 保健室に行って探した方がいいかしら?」
「ねぇ、サクラ。でも、探してる時間なんてないよ?」
「おいおい……これって下手したら失格に――」
メロォ~ン♪ メロォ~ン♪ ← 何かが揺れる音
(――ハッ! この、音は!)
「……来た!」
「安藤くん? 来たって何が――」
「み、皆ぁ~……ッ!」 メロォ~ン♪ メロォ~ン♪ ←Dカップのメロンがメロンメロンしてる音
「「「藤林
「フッ……」
(やはり、あの音は藤林さんだったか……ん? なんか、藤林さんの隣に誰か担がれているぞ……?)
「み、皆……あの、遅れて……ゴメンね?」
「皆、すまない……! 戻るのが遅くなった!」
「「「い、石田
「はぁあ!? おい、石田……何でお前がここにいるんだよ? ねぇ、藤林さん。石田の捻挫は大丈夫なの?」
「あ、あのね……。実は石田くんがどうしても皆に迷惑をかけるわけにはいかないって、言うことを聞かなくて……そ、それで――」
「連れて来たと……」
「う、うん……で、でも! 石田くんもやる気とか意気込み『だけ』は十分なんだよ! それは少し……暴走してどうせ残念な結果にはなると思うんだけど……でも、私! い、石田くんには頑張ってほしいから! だから……生徒会リレーださせてくれないかな?」
「安藤、僕からも頼む! 僕のことを気遣って変わりのメンバーがいるのは聞いているが……しかし、僕の不注意が原因で迷惑はかけたくないんだ!」
「なるほど……」
(いや、正直に言って桃井さんが代わりに出る方が勝算も高いから嫌なんですけど――なんて、言える雰囲気じゃないよなぁ……))
「えへへ、何だが青春って感じだねー?」
「アタシはぁ、そういうのあまり好きじゃないですけどぉ~? でも、今の石田センパイはカッコいいと思いますね~
「ッ!?」
(あ、ヤバイ! なんか周りの空気が石田を出そう! みたいになってる!? え、石田を出しちゃっていいの? そ、そんな事したら勝てる勝負も勝てなくなっちゃうよ?)
「ねぇ、安藤くん。どうするの?」
「朝倉さん、それは……」
(いや、マジでどうしましょうね……? し、仕方ない……こうなったら――)
「なぁ、石田……足はもう、大丈夫なのか?」
「ああ、安藤! これくらいの捻挫なんか大したことない! 何故なら、僕には生徒会の一員として皆の期待に応える義務が――」
「ていや! ローキック!」
「――ぐぁああ!? あ、足がぁ~……」
「「「
「……へ? って、ぇええええ!? い、石田くん! しっかりして!」
「ぐ、ぐぉ~……ッ! 安藤……貴様、何をする……!?」
「何してるはこっちのセリフだよ……。まだ全然痛がってるじゃん。って、わけで
桃井さん。やっぱり、石田の代わりを頼んでもいいかな?」
「……あ、うん、オッケーだよー……」
「センパイてば、良くあの空気でローキックなんか放てますねぇ……」
「えーと……ほら、心が鬼になるってよく言うじゃん?」
「ねぇ、安藤くん? それって、ただのバーサーカーじゃないのかしら……?」
(しかし、今の石田くんの姿……ものすごくヤ○チャっぽいわ……)
「あ、足がぁ……うっ」 ガクッ
「い、石田くん……? 石田くーーん!?)
『南高の生徒会メンバーはまだですか~? 早く来ないと、失格にしますよー?』
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪
この体育祭、石田くんロクな目にあってないわよね……。
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「揺れる決意」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【グー】
「え、手ならもう上で出したじゃない? そう、それよ。クフフ~♪
皆のコメント、評価、待ってるわ♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます