第141話「道場破り」
「俺のターン! 俺は『銀』を『6一』に召喚!
これで王手だ!」
「くっ……ま、まだだ! 僕は『5一』に『王』を召喚してこれを伏せぐ……こ、これならまだ僕に詰みはできていな――」
「ふっ……それはどうかな?」
「何! ま、まさか――」
「ディスティニー・ドローッ! 俺は持ち駒から『金』を取り出し『5ニ』に特殊召喚! これで『詰み』だ! 食らえ、滅びの――ぼっちストリーム!」
「ぎゅぁああああああああああああ!
ま、負けました……」
「そこまで! 勝者、安藤くん! これにより、事前の約束にしたがって将棋部には私達への支持を誓ってもらうわ。いいわね?」
「ああ、
「よろしい!」
「あ、委員長……俺、先に廊下出てるね?」
(何やってんだろうなぁ……俺? 委員長が『道場破りをするわよ!』とか言い出した時は、どうせ何かの比喩だろうと思って付いてきたらそのまま将棋部につれてこられ――
『将棋部に決闘を申し込むわ! もし、安藤くんが負けたら、貴方達の言う事を何でも聞くわ。でも、そのかわり……安藤くんが勝ったら、彼を支持しなさい!
どう、この勝負乗る?』
――とか、言い出すんだもんなぁ……
お、委員長が戻ってきたな)
「話は付いたわ。安藤くん、次の部活に行くわよ!」
「え! 委員長、このアホみたいな道場破りまだ続けるの!?」
「当たり前でしょ? 今の安藤くんが支持率を上げるにはこういう力技が一番効率が良いんだからね」
「いや、でも力技すぎるでしょ……しかも、何で将棋部?」
「だって、安藤くんは将棋強いでしょ? 前に教室で吉田くんとやってたの私は覚えているわよ?」
「ああ、あれね……いや、でも負けたらどうするつもりだったんだよ? あんな『何でも言う事を聞く』なんてこと言ってさ……あ、危ないだろ?」
「え、危ないって何が?」
「いやいや、何が? じゃないだろ……一応は委員長も女の子なんだから少しは危機感を――」
「安藤くん、何か勘違いしているようだけど――あの時の『何でも言う事を聞く』のは安藤くんが対象よ」
「あれ『俺』が言う事を聞く対象だったの!?」
「そうに決まっているじゃない? 何で私が安藤くんの勝負の犠牲にならなきゃいけないのよ? 勝負に参加するのも賭けで勝って支持をもらい得をするのも安藤くんなんだから、損をするのも安藤くんじゃなきゃおかしいでしょ?」
「そりゃそうだけど……でも、俺に了承を得ないで勝手にそんな危ない約束取り付けるなよ!」
「え、別に危なくないわよ? だって、約束は『言う事を聞く』だけで、別に『従う』必要は無いもの。つまり、用はただ話を『聞く』だけよ」
「こいつ鬼だ!?」
「あら、ヤダ。安藤くんったら仲間に向かって『鬼』なんて……優秀な『参謀』と言ってもらいたいわね!」
「優秀な『参謀』ねぇ……『勝ったら俺を支持しろ』なんて選挙のルールにギリギリアウトしてそうな約束取り付ける奴の言う事とは思えないぜ」
「え、私は選挙のルールは守っているわよ? 生徒会が決めたルールは『賭け事や脅迫による投票の強制を禁ずる』であって、私が約束させたのはあくまで『安藤くんを支持すること』でしょう? だから……もし、彼らが『安藤くんを支持』した上で、自分の『自由意志』により『誰』を選んでも私はとがめるつもりは無いわよ? それで、もし投票したのが『安藤くん』であってもそれは彼らの『自由意志』だからルールを破っているとは言えないわねぇ~?」
「うわぁ……」
(委員長って、マジで性格悪いよなぁ……)
「でも、まさか本当に将棋部の部長に勝てるなんて思わなかったわ。
安藤くんって、何処で将棋覚えたの?」
「実は『
「あ、察したから、もういいわ」
(そうよね。安藤くんのことだから、どうせ『ラノベ』よね)
「てか、委員長は俺が勝てないと思ってたのかよ? 負けたら支持も得られないのによくそれで『道場破り』とかさせたな……」
「だって、負けても私達の目的は達成されるもの」
「は?」
「いい、道場破りで勝った場合の『約束』はおまけでしかないのよ。私達の本当の目的は『三年生に安藤くんをアピールすること』よ!」
「三年生に俺をアピール?」
「そう、今回の問題は生徒会長の手によって三年生の間に安藤くんの悪いイメージが広がって支持率が上がらない事よ。そして、生徒会長は今まで運動部を中心に選挙活動を行っているわ。だから、私達は文化部の中でも三年生の多い部活を中心に道場破りをして安藤くんのイメージを書き換えていくのよ! 道場破りに勝てば御の字だし、負けても上級生に相手の土俵で勝負を仕掛ける下級生ってイメージが良いでしょ? もし、負けても約束なんて適当な言い訳で逃げれば良いし、相手も勝負に勝った後は気分が良くなるから、そこまでイメージは落ちないわよ。むしろ、今まで『評判の最悪なぼっちの下級生』ってイメージが『生意気なぼっちの下級生』に変わるだけでも、こっちにはプラスでしょ?」
「マイナス100がマイナス50に変わったくらい、意味が無さそうなプラスだけどな……」
「とにかに、さっきは勝ったんだからいいでしょ! まったく……そんなのだから、安藤くんは『ぼっち』をこじらせてひねくれているのよ」
「いやいやいや……ひねくれているとか俺、委員長だけには言われたくないからね? 自分では自覚無いかもだけど、俺からしたら委員長も十分にひねくれているから!」
「はぁあああ!? 何ですって! 私だってこんな『ひねくれラノベぼっちマン』なんかに言われたくないわよ!」
「あああああん!? 何だと! 俺だって、委員長みたいな『腹黒巨乳隠れ美少女』なんかにいわれたくねえよ!」
「は、腹ぐ――ぇ『美少女』?」
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
「安藤くん、今なんて……わわ、私が美少女!?」
「いや、別に普通だと思うけど?」
「ふん! あ、安藤くんにしては中々言うじゃない……?」
「やれやれ、敗北を知りたいぜ」
次回、何故かの 「二番目」 よろしくお願いします!
「次回はおまけssも付いてるわよ♪」
* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。
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