第125話「討論会」
『では、さっそく討論会に移りたいと思います』
「「「…………」」」
(最初の議題は何だ……フン、どんな議題が来ようがあらかじめ予習はしてある……副会長の僕に抜かりは無い!)
(最初の議題がなんだろうと、委員長と立てた作戦ではとにかく石田の意見に噛み付いて奴の脚を引っ張り朝倉さんに花を持たせる! どうせ、俺には失う支持率が無いんだから、この討論会で終始、石田と揉めて討論すれば俺と石田のイメージが下がり、その分朝倉さんの支持率が上がるという完璧な邪道の作戦だぜ!)
(今日の晩御飯は安藤く――じゃなくて、ハンバーグが食べたいわね……)
『最初の議題はズバリ「学校の学食が高い問題」です!』
「が、学食……だと?」
「あぁ~……」
「学食ね……」
『ご存知だとは思いますが、当学校にはお昼休みになると食堂が開放され、そこでは購買や学食が販売されます。購買ではパンやジュースやおにぎりなどの簡易食品類。学食では定食、麺料理、丼などの豊富なメニューがあり、生徒の皆さんはその購買か学食、またはご自身で持参されたお弁当などでお昼ご飯を取っていると思われます。しかし、ここ最近の調査で生徒達の「お弁当持参派」が増え、アンケートでも「購買のメニューは魅力が無い」「学食は高い」などの意見が多くよせられています。
ここで、立候補者達の皆さんにはこの「問題」について、ご自身が生徒会長として当選された場合どのような対策をとられるのかを踏まえて議論していただきたいと思います』
「「「ウォオオオオオオオ! 学食をもっと値下げしろぉおお!」」」 ←観客の生徒達
『おぉお! 生徒の皆さんもこの議題には思うところがある様子ね。では、最初は現副会長の「石田くん」この問題について何かご意見はありますか?』
(最初は石田が振られたか……ふう、こういうのって最初に話を振られるの嫌だから、俺が最初じゃなくて良かったぜ。さて、石田の反応は――)
「フン、くだらない内容だな。こんなの話し合う価値すらない。
僕の意見は『学食の値段は変更しない』以上だ」
「「「ブゥウウウウウウウウウ! 石田辞めろォオオオオ! このインテリメガネ!」」」
『おぉおお! 会場の生徒さん達から石田くんに凄いブーイングの嵐です! しかし、思った以上にバッサリきりましたね』
「フン! ブーイングされようが僕は僕の意見を変えない。そもそも、学校の学食を高いというが学校の学食とは生徒一人の栄養バランスを考え、その上食堂で働いてくれる人達の給与などの人権費などを考慮して決められえている値段だ。だからこそ、どこぞの飲食店みたいな安易な値引きは出来ん!」
(この手の意見は僕が副会長をしている時からしょっちゅうあったが、それでもあの生徒会長でさえ学食の値段を下げる事は出来なかった。値下げをするにもこの学校の食堂は利用率も高くなく、そして利益が少ない。今の現状を維持するのすら大変なのに新たな試みなど学校が許してくれないんだ)
「…………」
(なんか、思ったより開始早々から石田が勝手に自爆してるな……よし、利用しよう!)
「でも、確かにこの学校の学食って高すぎだろ? だって『ラーメン』が550円『そば』か『うどん』ですら350円。そして『日替わり定食』なんか、おかず、スープ、ライスだけで600円だろ? 正直、ここの学食食うなら、俺●屋で牛丼食った方がマシなんだけど」
「「「そうだ! そうだ!」」」
「フン、実に安直な意見だな。そもそも学校の学食と学校外の飲食店を比べることが間違っている。それに、昼休み中は学外に出ることは校則で禁止だぞ」
「そんなもん、知ってるわ。そうじゃなくて、つまり気持ちの問題だろ? ラーメンなんか安い所じゃ280円で食えるのに、何で高い金出して特に美味くも無い学食のラーメン食べなきゃいけないわけ? ってことだよ。誰も昼飯にそんな金の余裕があるわけでも無いし、損な気分になる学食は選びたくないでしょってことだ」
「フン! なら、お前ならこの問題をどうするというんだ?」
「え、俺? えーと……」
(所詮、そんなのは感情論に過ぎない。実際に生徒会の議題として上がっても感情論だけでは解決はできない。どうせこいつも、ロクな意見を持っているわけじゃ――)
「じゃあ、学校を『出入り自由』にするわ」
「――って、はぁああ!?」
「…………」
(どうしよう。私、まだこの討論会一回も発言してないわ!)
スカーン……
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
ついに仕掛けた安藤くん! そして、完全体になったにもかかわらず戦場で一人取り残された朝倉さん(完全体)! 果たして、石田くんは安藤くんの口から出る嘘八百に耐えきれるのか!?
次回、何故かの 「屁理屈」 よろしくお願いします!
「戦う相手は常に『自分』と言う名の『現実』だ!」
* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます