第27話「場所」





「起立! 礼!」


『お願いします!』


「じゃあ、今日の午後のHRはじめるぞー」


『はーい』


「皆、HR終ったら真っ直ぐ帰れよ~」


『はーい』


「じゃ、HR終り」


「起立! 礼!」


『ありがとうございました!』


「しゃあ! HR終ったぜ! 山田、何処寄っていく?」

「ゲーセン行こうぜ! ゲーセン!」

「オッケーイ!」

『ウェーイ!』


「…………」


(はぁ、やっと今日の学校が終わった……てか、山田のリア充グループ超うるさいな。先生が真っ直ぐ家に帰れって言ってただろ。それに引き換え、朝倉さんはHRが終っても、浮かれたりしないから静かで助かるよ)


「…………」


(いやったぁあああああああああああああああああああああああああああああ! HRがやっと終ったわ! これで、この後は安藤くんと二人っきりの勉強会の時間よ!)


「…………」チラチラ

「…………?」


(あれ? 何か朝倉さんが俺の方を意味深にチラチラ見てくるんだけど……何かあったっけー―って、あ! もしかして勉強会か? え、朝倉さんもしかして……今日勉強会するつもりなの!? いや、だって俺はまた今度、休み時間とかに軽く教えるつもりだったけど……)


「じーーーー」

「…………あ、あの、朝倉さ――」

「勉強会の事ね!」

「――うん」


(うゎあああああああああああああ! 朝倉さんやっぱり今日勉強会するつもりだこれ! あーそうだよな……朝倉さんって見るからに勉強好きそうだもんな。これはもう今日、勉強会をしたほうがいいか……でも、放課後に勉強会って何処ですればいいんだ?)


「朝倉さん、それで場所なんだけど……」

「それなら図書室でいいんじゃないの?」

「ああ、そうか。そういえばそうだよね。じゃあ、早速――」

「うん!」

「委員長も呼ばないとね」

「……うん?」

「え、いや、だって勉強会って委員長も一緒にするんでしょ?」

「…………」


(そ、そうだったわ! 私てっきりあの場で私しか勉強会に誘われていない気でいたけど、あの場には元々委員長もいた。ならばあの流れだとその場にいた全員で勉強会の流れになるのは自然じゃない! で、でも……せっかく二人っきりの勉強会が!)


「あ、安藤くん、ちょっといいかしら?」

「委員長! 丁度良かった。これから委員長を呼ぼうと思ってたんだよ」

「勉強会でしょ? それだけど、私は参加できないから」

「え、何で!?」

「今日は図書委員の集会があってそれに出なきゃいけないの。だから、勉強会は二人でやってくれる? あと集会の所為で今日は図書室つかえないから」

「ああ、それなら仕方ないか」

「うん、そうそう」


(ま、嘘だけどね。そもそも、この勉強会に私が出る意味は無いでしょう。ならば、安藤くんと朝倉さんを二人だけにして仲の進展を図るべき! 図書室だと校内の生徒もいてハメも外せないけど、図書室が使えなくなれば二人でファミレスにでも行くでしょう? そうしたら、二人も軽いデート気分で仲が深まるはず……フフフ、流石は私ね!)


「っと、言う事で二人は何処か『別の場所』で勉強会を楽しんできてね~」

「了解~委員長」

「い、委員長……?」


(朝倉さん、後は貴方しだいよ!)

(ヤダ! 委員長もしかして私の為に!? 分かったわ。私……頑張る!)


「委員長、帰っちゃったね。朝倉さん、場所何処にする?」

「そ、そうね~~」


(あぁあああああ! 頑張るって言ってもこの場合何処にすれば言いのかしら? 図書室以外で勉強のできる場所……私の家? イヤイヤイヤ! 確かに場所としては最適だけどあの家にはとんだ邪魔者と言う名のママがいるわ。でも、他に場所って言っても……)


「うーん、やっぱり、ここは無難に家でやるしかないわね」


(仕方ないわ……ママが家にいるとしてもこれは安藤くんと二人っきりになれる絶好の機会! 犠牲となった委員長の為にも私の家に――)


「そうか~~じゃあ、朝倉さん。ウチ来る?」


「…………へ?」







【おまけss】「テスト問題 社会 」



問題1 次の名言の【】を答えなさい


『人生には二つの悲劇がある。一つは【】こと、他の一つは【】ことである』


 *バーナード・ショー「人と超人」より



朝倉さんの場合


(よかったぁ……この問題、昨日寝る前の復習でやったところだわ! 答えは【願望が達成されない】こと! もう一つは【それが達成される】ことね!)



安藤くんの場合


(知るかそんなもん! こんなの絶対授業で習ってねえよ! 習って……無いよね? まぁいいや、とりあえずなんかそれっぽいこと書いておけば偶然当たることもあるだろう。

 えーと、確か二つの悲劇を書けばいいんだよな……)



解『人生には二つの悲劇がある。一つは【読んでいたラノベの新刊が出ない】こと、他の一つは【それが打ち切りになる】ことである』


 *安藤くん「最近の出来事」より



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