第12話「天気」





「じゃあ、今日の授業はここまでな」


「…………」

「…………」


 キンコーンカーンコ~ン♪


((キタ! や、休み時間だ))


(き、昨日は本屋で思わず変な事を口走ってしまったけど……私はついに! 安藤くんに『ラノベ』が好きだって事は伝えられた……だ、だから! もう、怯えずに彼とラノベの話をしても――

『私、安藤くんが大好きなの!』

 ――って、ちがーう! あれは私の言い間違い! 私は断じて彼に惚れてなどいないわ!)


(ヤバイな……昨日のことで朝倉さんを意識した所為か、何かと朝倉さんが気になってしまう。でも、忘れるな俺! 彼女はただ『ライトノベル』が好きなだけでぼっちの俺にはなんの興味も――

『私、安藤くんが大好きなの!』

 ――って、ちがーう! あれは彼女の言い間違い! 彼女が俺を好きなわけ無いだろ!)


(なのに……何でこんなにも! 胸がドキドキするのよ!)

(なのに……何でこんなにも! 胸がドキドキするんだ!) 


「あ、あの……安藤くん?」

「ふぇ! は、はい!」

「その……今日はいい天気ね」

「そ、そうだね!」

「…………」

「…………」


 キンコーンカーンコ~ン♪


((ダメだぁああああ! 恥ずかしくて上手く話せない!))




「吉田! 今日の部活だけど、雨降ってるから中止だって!」

「マジかーっ! 了解。沢渡、教えてくれてサンキューな!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る