第97話 いたはずなのに…
彼女と同じ時間にホテルにいたはずなのに…一度も彼女を見ることは無かった。
見れば複雑な気持ちになるくせに…見なければ寂しいような気持ちにもなる。
目に止まればいいわけではないのだが…逢うことすらできない僕は、それでしか彼女を見ることができない。
金がいるのだ。
彼女を風俗嬢として呼ぶわけではない。
彼女の部屋に行くわけでもない。
逢えても2時間ほど食事して、事務所に送るだけ。
落語の紺屋高尾のようにはいかない。
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