第43話 モニターの向こう側

 画面に彼女が映る。

 細い身体…もう触れることは叶わないのだろうか…。


 エレベーターの前だけ音声が入る。

 時折、ノイズ混じりに彼女の声が聴こえる。

 鼻に掛かった間延びした声。

 彼女を感じるには、すべて機械を通さなければならなくなった。

 姿はモニターで…声はスピーカーで…思い出はスマホで…。


 綺麗な顔が画面を横切る。


 数秒後に違うカメラに移動する、後ろ姿しか視えない…キレイな髪。

 エレベーターに乗って…また違うカメラに彼女は移動する。


 そして…部屋に消える。

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