第10話 望むモノ
「思い出つくろうね」
彼女は、毎日出勤する。
デリヘルだけではなく、コンパニオンもやっている。
お金を払わないで逢うようになったといっても、普通にデートという関係ではない。
彼女のアパートまで迎えに行って、事務所まで送るか…その逆だ。
途中で食事をして、10分ほどキスをするだけ。
何度も、このまま連れ去りたいと思った。
店なんて出なくてもいい、そう言いかけた。
ねぇ…思い出ってなにが欲しかったんだい?
僕はね…僕も…思い出が欲しかったよ。
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