白昼夢

@minato_hotaru

第1話

意識の半分が光に溶けて

何十年も先の海を歩く

白髪を染める気もないままで


砂浜に書いた詩を携えて

地球は僕の思想で回るのさ


高波に打ち消されたとしても

ビールの空き缶を握り潰せば

砂時計のような形をした

安っぽいおもちゃに遊ばれている


物静かな午後に憩う場所は

老いぼれた家のロッキングチェア

レコードをかけて目を閉じてみると

昔よく聴いたバンドの音楽


意識の残りが耳に届いて

光の彼方や空の向こうに

僕の何十年先を見た


足音や車の音もなくて

人々は既に息絶えていて

寿命が延びて生き残ったのが

僕だけだったらどうしようかな?


あぁせめて髪を染めて

皆んなと一緒の時代に戻り

僕が若返れば解決する

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